流浪の月のレビュー・感想・評価
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映像と、横浜流星が良かった。内容には違和感。
李相日監督には「怒り」でズーンと暗くさせられながらも、考えさせられて、すごいなと思っていたので、本作も体調良い日に覚悟決めて鑑賞。
なんだろう。演者も素晴らしく、噂通り映像も美しくて印象深くて、キャラクターは皆闇を抱えながらも愛おしいところもあるのに、キャラクターそれぞれに感情移入はできなかった。
すごく端的に言ってしまえば、松坂桃李演じるフミに寄り添いたい思いもあるが、共感できなかった。
横浜流星が、スパイスになってて、非常に良かった。
李監督最強!!!
ひとつひとつの映像の連なりがとても美しい上に、そのひとつひとつのシーンが日本の気候の美しさや雰囲気や世相を見事に表現していました。
そしてそこに現れる人物たちの価値観がそれぞれ違い、その描写も演技も本当にリアルでした。上場企業に勤める旦那がいれば幸せと妄想するバイト先にいる女や、サラサの彼氏のような、脳みそがスポーツとビジネスでできてるような男とか、本当にいるよなと思った。
そしてサラサとフミが、世間から色々言われるから抑えているが、心が揺れ、愛のままに行動するシーンの映像と音楽のダイナミズムは本当に本当に素晴らしく、涙が出ました。
こういう作品が作られるということこそが、
現代の日本のような個々人のつながりがどんどん薄くなり、世間の声ばかりが大きくなってきているように思える社会に、必要な癒しであり表現ではないのかと感じ、そこにも感動しましや。本当に感動をありがとうございました!
優しかった
ほぼ5点(4.9999)
下調べ無しでの感想
あの少女は保護されてしまったのか?
好きな作品でした。
でも、文とさらさが受け入れ合うシーンはもっと長くてもよかったなぁと思いました。
また、小説と違っていたのですが、そのような付け足しは確かにいらなかったのかもしれないなと思いました。
小説では感じなかったけれど、
映像化されると、警察の雑さや
ありうる恐ろしさよりも、
あり得ないよね?こんな状況という方に寄ってしまった気がした。
小説で読んでいた文との再会シーンが
映像化された時、同じ感覚で見れたことが嬉しかったです。
文とさらさの思い出では、
キラキラした音が、キラキラした思い出を想起させて、
よかったです。
事実を自分の持つ基準で捉えて、
その人の気持ちを知らずして、
かわいそうだと思う。
かわいそう
とはなんだろう。
そもそも、そう考える時点で、
守りたいという愛とは逸脱し
相手を対等ではなく下に見ているような感じがする。
自尊心を保ちたいのか
支配的で依存的な関係を築きたいのか
でもその感情が人間に備わったのだから、
それは自分のエゴのものと愛からくるものか見極めたいものです。
読んでみようと思う
見上げればそこにある
「魂の結びつき」?
「流浪の月」この寂しげなタイトルは、そのまま文と更紗の心情を表しているようだ。ずっと悲しみと痛みを抱えてきた二人だが、その本当の気持ちは実はよく理解できない。二人が10歳と19歳の時の「誘拐事件」がすべての始まりである。その真相は何だったのかは二人にしか分からない。警察をはじめ世間一般はロリコンの変態男がいたいけな少女を自宅に監禁して弄んだ、という風にしか見ない。少女が男から離れたがらなかったのは、一種のマインドコントロールを受けたからだと見る。確かに自分もそういう週刊誌的な見方を面白がるだろうと思ってしまう。しかし実際はそうではなく、同じ心を持った者同士が共感しあい、お互いを大切に思う純粋な「人間愛」で結ばれていただけではないか。しかし「ロリコン」などと決めつけなくても、二人の間に「性愛」のようなものがあっても全然いいと思うのだがそれはないという事らしい。
大人になって再会した時も、あの時と同じ心持なのに気づく。何を考えているのかよく分からないが、更紗の「自分のせいで文を苦しめてしまって申し訳ない」という気持ちと、文の「自分にはもう関わらない方がいい」という気持ちは素直に心に響く。
二人の関係性は、最後までよく分からないのだが、男と女を超えた「魂の結びつき」というやつかもしれない。しかしもう少し日常的な感覚でもいいのではないかと思ってしまう。松坂桃李と広瀬すずはこの特異なキャラクターで明らかに新境地を開いた。今後の活躍が楽しみな二人だ。
トラウマ映画
切な過ぎる
孤独の影
何の言葉・映像に感化されたのか、タン塩が食べたくなった。『マイスモールランド』を観た後にもチキンケバブが食べたくなった。コンビニ行けばチンするだけの食材があるものだ。わたしはひととは異なる・・・何を書こうか迷ってしまうほど、この映画からは自分の心にある孤独さを浮き彫りにさせてくれたのだ。
中心になった土地は松本市。横浜流星演ずる亮の実家は勝沼町。長野自動車、中央自動車道で1時間ちょっと。特急あずさでも1時間ちょっと。個人的にも懐かしい距離感だ。それにしても松本市が中心になっているのに、国宝松本城が一度も映ってない。地域を特定させない、田舎町というイメージを醸し出すためかもしれないが、もっと意味があるようにも感じた。
城の中でも大好きな松本城には月見櫓があり、月との親和性も高いし、お堀にはスワンボートこそ無いが、月や天守を映すと幻想的な絵にもなるのだ。この天守の雄壮美はもしや男根をもイメージすることができるため隠していたのか?などと勝手な解釈も可能だ。
婚約者からのDV、幼少期の性的虐待。広瀬すず演ずる更紗は伯母に育てられたという孤独の上に、セックスに対するトラウマが強かったように感じられた。セックスシーンでも時折見せた更紗の嫌悪する表情、唾を股間に塗られていたのも濡れないことを意味していたのかもしれません。と、エロさを強調するつもりはさらさらありませんが・・・
とにかく、性的コンプレックスからくる陰を不気味なまでに表現した松坂桃李の演技は震えがくるほど凄みがあった。2ヶ月間一緒に過ごしたために逮捕されたという恐怖体験から来ているものだと思っていたが、最後にはその秘密が明かされる。文のアパートの隣室まで借りて無邪気に引き寄せられる更紗の様子を見れば過去に性的関係があったとは一切思えないし、週刊誌や警察の動きやSNSの悪の面などに腹立たしくなりましたが、さらにそこへ亮のストーカー体質まで絡んでくる。
「自分を愛してくれる人がいれば誰でもいい・・・」という投げやりな更紗の生き方。ロリコンと蔑まれても孤独に生きている文。両者を繋いでいる「月」。そこには周囲の人間にはわからないほどのプラトニックな愛があった。伝わらない・・・やりきれない・・・誰にも認められない純愛を見た気分になった。
そんな真面目に書くつもりはなかったので、ここで江口寿史氏の名言を記す。
「マッチ一本火事のもと。ポーの一族萩尾望都」
ポー詩集というアイテムも重要だったけど、どちらかというと『ポーの一族』を思い出してしまう(読んだことありませんが)。多分、原作者も「ポーの一族」を読んでるのだと推測します。今敏作品を観てるかどうかは知りませんが・・・
彼らは自分の居場所を探しもがき続けていた
人は無意識に自分を必要としてくれる誰かを追い求め生きているのかもしれない。
そこが自分の居場所になってほしいと願いながら…
文と更紗は出会うべきして出会ってしまった。
しかし、世間は若い男と小学生の関係。それを誘拐、拉致監禁、幼児虐待、小児性愛者と判断する。文は初めて自分を必要としてくれる存在に出会い、更紗も自分ではどうにもできなかった生活から抜け出させてくれた大切な存在だった。そして、この二人の関係性には何一つの性的要素はないのだ。
最後に明らかになる真実には驚きがあったが、文には生きることを根底から覆すほどのコンプレックスがあったのだ。そこから考えると実際、彼は小児性愛の性癖がなかったのだろう。
ただ一番の彼の問題点は、子供に判断を委ねさせたことだ。それが自分の首をさらに締めることになっていく。
15年経ち更紗は普通の大人の女性として、亮と同棲をしている。仲睦まじい様子なのかと思いきや、やり取りを聞いているとあら、この男なんかあるなと感じさせる。そして、更紗との間に気持ちのズレがあるのがわかる。
文も亮も母親という存在に固執している。
無償の愛を与えてくれるはずの母から、文は自分の存在を否定され、ほぼ抹殺されたも同じだった。亮の母のいきさつはあまりわからない。彼を置いて出て行ったのか、亡くなったのか。
結局ありのままの自分を受け入れてくれる存在はどこにもいなかった。
文と更紗お互いにそうだった。
彼らは初めから決まっていた運命のように一緒に生きていくのだ。
「悪人」「怒り」に続き、同じく重たい独特の空気感が漂う李監督の作品。
松坂桃李、広瀬すず、横浜流星の3人がそれぞれが心に闇をも抱えた難役に挑んでいました。
松坂さんもただでも細いのに折れそうなほどに減量されていて、病み感が滲み出ていました。
流星くんも今までに見たことがない役柄で新境地が開けたのではないでしょうか。更紗に執拗にせまり罵声を上げているときの目は血走り、狂気に満ちていました。
広瀬さんも役者としてのキャリアも積んで着々と成長しているとは思うのですが幼さがどうもちらついてしまうのは否めない。
頭に残り、涙してしまった文の台詞
「更紗は更紗だけのものだ。誰にも好きにさせちゃいけない。」
これには文の更紗に対する深い慈愛を感じずにはいられませんでした。
過剰な設定ではないのか
最初、みんな演技がいいなと思ったの。「松坂桃李はいい役者になったなあ」とか。
横浜流星がカフェに入ってくるところとか「いいなあ」って感じで。
監督の演出がいいんだろうな。李相日監督の他の作品も観てみようと思ったもん。
画も良かった。「松本は良い街だ」って感じで撮れてる。
ロケ期間は冬だったのかな。夕暮れの空の色がとても良かった。
だから映画としては良いと思うんだよね。
でもノリきれなかったのは、元々の話に原因があんの。
この話、事情説明劇になってる気がすんの。
「登場人物はこう動きました。それは実は、こうだったからです」ってやってくのね。
何かを描き込んでいるというよりは、事情をどの順番で、どう呈示していくかに心が砕かれるね。
話としては、周囲にどんなに認められなくても、引き裂かれた自分の半身ともいえる相手と添い遂げるってことなんだよね。
それを描くのに、ここまで設定いるかな。ここまで設定を作り込まないと描けないのは、作り手の弱さなんじゃないかと思っちゃったのね。
そして、登場人物たちは、その作り込まれた設定に翻弄されて終わるね。
翻弄される中で出会えた半身と、一緒に翻弄されていこうと決めたっていう。
そんなこんなで、そこまで良い作品とも思わなかったけど、事情説明劇は人気あるんだよね。
でも、そうじゃなくて、僕が観れてない、読めてないだけかも知れない。
他の人のレビューを読んで考えてみようと思ったよ。
映像が
フィクションだけど本当
広瀬すずって顔がいいなあ。天才的に優れた容姿以上に、人を引きつけずにおかない顔をする人だと思う。CMで見せる笑顔もそれは素敵だけど、ほの暗いものを溶かし込んだ瞳は訴えかける力がすごい。出力何ワットみたいに、数字で表せそうに他より一段強い。どこだったか、亮と対峙しているシーンで、まなざしが下弦の月みたいに弧を描いてゆっくり動くのを見て、怒りの深さが伝わってきて、私はその怒りに共感しているのに、それでもちょっと怖かった。
松坂桃李も横浜流星もすごい。悲しさって普通は他人から簡単に見えないもので、見せようとしたら滑稽に映ってしまうし、だから映画で悲しさを撮るのって難しいだろうなと思うんだけど、三人とも素敵な表現だった。
またバイプレーヤー秀逸。「脇を固める」っていう言葉があるけど、この映画、脇をがっちり固めすぎじゃない?っていうぐらいの強力布陣で。白鳥玉季さんのこの少女と女性のあわいの感じ。趣里さんの新境地。文の母の内田也哉子の静かなド迫力。わー、映画だ映画だ。楽しい映画じゃないけど、視聴体験としてめちゃくちゃ楽しい。
ただ、同じ監督の映画で同じ俳優の演じる役がまた性暴力を受けているのが、ちょっと引っかかりはする。
最近はどうにも心配事が多い。それでも、“ある”のに“ない”ことになっていた時代よりは今がマシだと思うしかない。この映画は、性のことが時にこれほど人ひとりの人生に濃い影を落とし続けることがあるのを伝えている。フィクションだけど本当。噛みしめる。
二人だけの世界
思い込みの激しい人間が正義感を振りかざすほど鬱陶しくて目障りなものはない。
世の中そんな人間だらけで成り立っていると思えてしまう。
自分の目で足で直接確認した訳でもなく人から聞いた話を世間の風評を
マスコミの話題を鵜呑みにして信じ込んでいる人間ほど厄介な存在だ。
この下世話な社会では真実を伝えることは困難で無理なことなのかもしれない。
あなたは私の何を知っているのか?解ろうとしたのか?なぜそんなことが言えるのか?
あなたのその自分勝手な思い込みと価値観はどこから来ているのか?
私はあなたの思うほど可哀想な人じゃない。
事実とは違う事を言われたら人は必死で否定する。だけど言えない人間もいる。
またかよ もういいよ 何も知らないくせに 怒りと憎しみと諦めの感情が昂って、
それはまるで必死で言い訳しているかのようで情けなくて自分で自分のことを言えなくしてしまう。
言えない言いたくないこともある。
どうして私のことをわかってくれないの?
真実を知ったところで他人は理解しようとしないだろう。
もう誰にも理解してもらわなくていい。二人だけの世界でした。
脚本家にシナリオを書いて欲しかった。
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