異動辞令は音楽隊!のレビュー・感想・評価
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阿部ちゃんのキャラ変が圧倒的!
ドラマチックに描ける事を淡々と描いてるので、後からジワジワきます。成瀬と関わる人々を特別に掘り下げることなく、あくまでも成瀬目線で描いてるから、彼の心の動きがストレートに伝わります。ぶっきらぼうな彼が叩くドラムの音は生きる歓びに溢れてました!
人は変われる、変わらなくっちゃ。
コメディだと思ってた。
こんないい映画なのに危うく見逃すところだった。
30年間、家庭を顧みず、仕事一筋に、身を粉にして働いてきたのに、今の世の中に合わないからといって否定される。主人公と同じような思いをしている中高年は多いはずだ。
変わったのは世の中だ、しかし理不尽だろうが、自分が変わるしかない。阿部寛演じる主人公の成瀬は、しぶしぶながら音楽隊の仲間と関わりを持つことで、音楽を通じて、変わらざるをえなかった、そして自ら変わった。
変わった結果、今までの非を認めることができるようになった。素直に謝ることが、感謝することができるようになった。
愛想を尽かされた娘と一緒に演奏ができるようになった。こんな幸せなことがあるだろうか。このシーンは泣くところじゃないんだろうけど、涙が止まらなかった。
そして最後のセッションを終えた鳴瀬の笑顔のなんと清々しいことか。
出演者も、脇役に至るまで贅沢で勿体ないと思うくらいだけど全く無駄でなく(小沢さんを除く)いい使われ方だった。俳優さんたちの本気度が伝わってくる。(「それ」とはえらい違い)
犯人逮捕のところだけ少し残念だったけど、映像も音楽も良く、個人的に刺さるところの多い作品だった。
映画っていいな。
残念だったのは
登場人物たちが演奏するシーンに合わせて別の音楽をかぶせる演出があったこと。これが本当に残念。せっかく吹き替えなしで奏でているんだから別の音楽やBGMを流さないでほしい。
世のパワハラ中年男性はこんなにすぐ改心するだろうか、と疑問が湧くものの、きちんと過去の自分の行いを反省できる主人公が良かった。しかし阿部寛を大画面で2時間見ると圧がすごい・・・
現実味が薄っす…
阿部寛はこういう不器用な男がやはり良い
ストーリー設定や予告を少し見て、コメディ風の映画なのかなと思って見に行ったら割とシリアスな話だった。
テンポは悪くない。
けど、最後の大捕り物は犯人1人を警察が取り囲んでいてあんな簡単に逃すものかね?と思ったし、定期演奏会を間に合わすために楽団をパトカーで誘導は職権濫用がいきすぎかなと思ってしまった。
刑事課から音楽隊に移動っていうのは面白いけど、ところどころの話の纏め方はリアリティーに欠ける。
音楽隊って左遷なの?
思った通りにホッコリできた。
音楽隊は閑職ではないですが
↑この前提が頭ん中に居座ってたので(警察、消防、自衛隊のコンサートに嬉々として参じる)、「観たいんだけどなー、うーん。」でしたが観て良かった!音楽隊をベースに世知辛さをリズム良く活写出来ていたのではないでしょうか。
阿部寛の主人公は前半ちゃんとムカつく「職人気質」を履き違えた化石だし、周りを彩る面々がひっそり抱えるモヤモヤもちゃんとコチラに刺さってくる。このストーリー唯一の許せない点は「最高の善人」に対する処遇だが、そこまで言うのはそれこそ世知辛い。
それこそ音楽隊という存在価値をそのまま映画にフィードバックしたような快作。物語の中心にある事件は「誰にでもある危険」としてちゃんと怖い。自分の親を含め、年配の方々には「自分の明日」として観て頂きたいと強く思いました。
観終わった後に心が温かくなる映画
気分良く終われる映画(個人差あり)
映画としてはよくまとまっていて最初に徹底的にクズな主人公を見せてからそこから音楽隊を経て最後には爽やかな風が吹くように心地いい気持ちになって終われる映画だった。
役者さんもみなさん素晴らしい演技で中でもすごいなと思ったのは磯村勇斗さん。
もちろん前々から素晴らしい役者さんだと認識はしていましたが、最後先輩に震えながら自分が告発したと告白するシーンは震えました。
ただ、まとまってはいるものの脚本で「それでいいの?」という箇所も幾つか。
例えば音楽隊をよく観に来ていたおばあさんが事件の被害者になって殺されてしまう所。
それまで主人公にしか因縁がなかった強盗事件を音楽隊全員の因縁に結びつけるのは「成程」と思ったのと同時に、その以前のシーンで音楽隊から強盗に気をつけるようにという呼びかけのチラシをもらっていたことから釈然としない気持ちも残る。
後半問題になる「警察に音楽隊は必要か?」の問いにはっきりNOを突きつけてしまうように思えてならない。
最後音楽隊の存続が決まったのも本来の業務とは関係ない所だったし・・・
そこだけ引っかかった。
やや駆け足に感じるけど、よかったです
映画作品でしばしば感じる「2時間にまとめるために駆け足してない?」というのは、この映画でもありました。
「30年も刑事一筋のガチガチの変人が、たったあれだけで見違えるように人柄が変わったりするだろうか?映像になっていない部分で、もっと色々な経験をしたんじゃないか?」とか、「娘との関係はあんなにガタガタだったのに、たった1回の演奏で修復されるとは思えない。きっともっと時間をかけて丁寧に修復したんだろう」とか、そういう部分です。
あとは、実際の警察とかけ離れていると感じる部分も気になりました。
例えば、捜査会議に本部長が来ているからひと言話してもらうって、普段来ない本部長が今日は来ているということであれば、捜査会議に毎回参加している捜査本部の本部長ではなくて、県警本部の本部長ですよね?
県警本部の本部長は、普通来ないでしょう。
末端の警察官からすると雲の上の人ですもの。
若い人は機動隊などに配属されて年頭視閲式(正月に開催する本部長による部隊視察)に参加すれば、挨拶するために台へ上がったところが遠くから見えるかも知れません。
せいぜいそんなものです。
本部長なんて、採用されて警察学校の入校式などのときにチラッと見る以外は、年に1回見れば多い方です。
それに、人事異動で音楽隊へ飛ばされるのも、春の人事異動か夏の人事異動か、だいたい年に2回くらい人事異動の時期は決まっているので、1人だけ偉い人に呼び出されて「お前は異動だ」っていうのはないでしょう。
さらに、ヒロインの女性が人事に音楽隊の除隊希望を出したっていうの、嫌ならやめられるというものではありません。
警察官を退職して音楽隊を抜けるのならわかるけれど、音楽隊を除隊するといって除隊できるわけがないでしょう。
それができるなら「やりたくて音楽隊をやっているんじゃない」なんて腐る人はいません。
辞令が出たら嫌でもやらなきゃいけないのがお役所仕事です。
でも、全体的にいいお話だったと思います。
音楽隊を応援してくれていたおばあさんが事件の被害に遭って、主人公が現場へ押しかけて行ったとき、つまみ出されたところでなぜ年寄りが狙われなければいけないのかと腹を立てて言ったセリフにはドキッとしました。
刑事一筋で、写真の男を5年でしたっけ?、ずっと追いかけていて、ひどく執着していたのに、元部下が犯人と接触すると言ってきたときには音楽の発表会があると言ったのには、人間的に成長したと思いました。
警察って、世間の常識と警察の常識がズレていて、警察しか知らない人は変な人も結構いるんですよ。
そこに30年もどっぷり浸かっていた人が、30年の執着よりも大切なものを見つけたっていうのは、立派な成長だと思います。
追い詰めた犯人が棒を振り回して反撃してきたときには、抱えた洋太鼓を鉄棒で叩かれたことに対して「俺のドラム」といって腹を立て、太鼓を庇うようにして自分の背を殴られた。
僕が警察で働いていたときには、さすがにもうなかったけれど、パトカー勤務で上司とペアを組んで当直のたびに24時間一緒にいるので、昔の話を聞くんです。
昔の警察官舎では、勤務のない日に先輩の部屋へ飲み会に呼び出される。
で、先輩は寿司の出前をとってくれるけど、寿司桶が空になったところからが本番で、開いた寿司桶に酒を注いで一気飲みだそうですよ。
で、酒だけならいいけれど、中には調子に乗って墨汁やシャンプーを入れて飲ませようとするのがいたので、自分が先輩になったときには「やりすぎだから飲食物以外は入れないように」と注意していたと、当時の上司が言っていました。
体育会系の大学のサークルとどっちがひどいか知れない、閉ざされたメチャクチャな時代が昔はあったらしいです。
(いえ、僕が勤務していた平成20年頃に退職間際の60手前の上司が言っていたことなので、そこからさらに30年や40年前、昭和40年代や50年代の話です。近年はそんなメチャクチャはどこへ行っても罷り通りません)
ただ、警察というのはそういう何処か閉鎖的で社会の常識とズレた独特の社会が形成されがちな場所で、そこで30年も刑事をやってきた人が、物語を通してきちんと成長するっていうのは、お話として素晴らしい、僕の好みです。
ぜひ、次は文庫版を買って読んでみたいと思います。
阿部寛✨最強説✨
税金の無駄使いかもしれないが人生には無駄がない
2022年映画館鑑賞47作品目
9月20日(火)イオンシネマ名取
ハッピーマンデー1100円
監督と脚本は『全裸監督』『獣道』『ミッドナイトスワン』『雨に叫べば』の内田英治
独善的で組織のコンプライアンスを無視したスタンドプレーを繰り返す捜査一課の刑事が周囲の反感を買い警察音楽隊に左遷される話
ポンコツメンバーがなんやかんやでまとまって最後はうまくいくという邦画ではよくある王道的展開
ハートフルコメディ
作り話なんて大体がご都合主義なんだからいちいち指摘するのは野暮ってもの
『蜜蜂と遠雷』や『ミュジコフィリア』と違って面白いのはそこに警察組織という要素が加わりコメディに仕上がっているから
やはり映画には娯楽要素が欲しい
古めかしいバス停留所待合所の隣に野菜販売所
その側に座る婆さんという光景が好き
警察音楽隊の事務所もまた黒々と年季が入っている
成瀬が事務所でハンコをリズムカルに押していくシーンが面白かった
主犯逮捕シーンでラスボスがパワフルで強すぎるのがかえって興醒め
寄生獣じゃあるまいし人間離れしすぎてあり得ない
ラグビーのトッププレーヤーみたいに次々と振り切ってやたら逃げ足がはやいとかならスッと受け入れる事ができたのだが
阿部寛と親子役を務めた見上愛という存在を今回の作品で初めて知った
小松菜奈系で阿部寛同様眉毛が逞しいので親子役ハマった
腕時計を剥ぎ取り踏みつける行為は怒りを表現するのに充分だった
モトーラの顔もだいぶ見慣れてきた
引いた映像だとモトーラのスタイルの良さが光る
子供の頃の和太鼓の経験を生かし音楽隊ではパーカッション担当の成瀬司に阿部寛
交通課所属のトランペット奏者で一児の母の来島春子に清野菜名
自動車警邏隊所属のサックス奏者で実はいやいや音楽隊をやっている北村裕司に高杉真宙
自動車警邏隊所属のチューバ奏者で警察音楽隊をこよなく愛する国沢正志に板橋駿谷
県警本部会計課所属のカラーガードリーダー柏木美由紀にモトーラ世理奈
交通機動隊所属で成瀬のパーカッション指導係の広岡達也に渋川清彦
元劇団員で一般職として警察音楽隊隊長兼指揮者になった沢田高広に酒向芳
捜査一課巡査部長の刑事で成瀬とコンビを組んでいた坂本祥太に磯村勇斗
捜査一課の警部補主任で成瀬とよく衝突した井上涼平に六平直政
刑事部捜査一課長の篠田誠に岡部たかし
音楽隊解散を目論む県警本部長の五十嵐和夫に光石研
成瀬の娘でアマチュアバンドを組んでいる成瀬法子に見上愛
成瀬の母で認知症の成瀬幸子に倍賞美津子
警察音楽隊のファンで着物姿の上品な老婦人・村田ハツに長内美那子
アポ電強盗グループの西田優吾に高橋侃
アポ電強盗グループのリーダーに小沢仁志
つまらなくもなく、おもしろくもなく、でも観てられる
抑えた渋い演技の中に、笑みを感じさせる阿部寛
◉鬼刑事の本気と健気と切なさ
予告編で成瀬(阿部寛)の音楽隊への異動が伝えられた時に、上役が吹き出したのに騙されました。エモーショナルなコメディ風の物語だと思ったのです。
でも違った。叩き上げ刑事が行き着いた先の音楽隊で、嫌々ながらドラムの習得に身を委ねる。元々が一途な性格だから、子どもの頃の思い出を蘇らせたりしながら、覚束なくもドラマーの道を歩み出した。やがて恋も生まれてと思ったが、それはなかった。
と言う一本道の筋書きに、アポ電強盗事件が絡んだ物語。部署が変わっても捜査を忘れられない刑事魂の本気と健気な意志が、主犯確保に結実した物語でもあります。そしてもう一つ、父親としては未熟すぎる男の切なさも味わえます。
とは言っても「成瀬刑事」の人物設定や、コンプライアンス一本槍で成瀬を追いやる筋書きの単純さ、定期演奏会を使った囮作戦や、子供みたいな掌返しをした署長など、話の骨格は決して練り込まれてはいなかったと思います。
しかし月並みな言い方ながら、音楽隊のメンバーのごく自然な「等身大感」があり、音楽隊とアポ電強盗の二つのストーリーの合わせ技で、作品に綾が織り込まれた、そんな感じでした。
◉言わずとも溢れる心情
ところで阿部寛さんの演技は、ストーリーの盛り上がりに引きずられることなく、逆に演者としてのテンションは、次第に内側に静かに秘められていくところが、凄いなと思います。簡単には物語の先行きが見えてこない。
そして喜怒哀楽のどのシーンであっても、苦笑いとか諦めの笑いとか、何とはなしの可笑しみが含まれていると思います。
光石研さんも笑顔の中に重厚感をにじませた俳優ですが、あんな軽薄な役回りもやるんですね。小沢仁志さんは知能犯にして腕力もある、悪辣な主犯を演じてさすが。身近で暴れられたら絶対に嫌だなぁと言う妄想が生まれました。
音楽の素晴らしさを再認識
やっぱり音楽映画は良い
ツッコミ所満載で、都合良すぎる展開、突然心変わりし過ぎだし、全く意外性の無いストーリー。
でも、たまにはこんな映画もいいよね!と思える作品でした。
昭和気質の現場一筋30年の刑事が、パワハラ告発によって音楽隊へ左遷されることから始まる本作は、「多分この辺でトラブルが起きて、でもラストは絶対ハッピーエンド」という予告からの予想を何も裏切ることなく、良くも悪くも王道のエンタメ映画。
普通過ぎてつまらないと思う人もいるかもですが、私はこの予想外のことは起きないと身を任せられる安心感や、へっぽこ音楽隊がだんだんと団結して素敵な音楽を奏でるという展開が大好きなので、しっかり楽しめました。
やっぱり音楽演奏シーンで終わる映画は余韻も含めて好きです。
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