猫は逃げたのレビュー・感想・評価
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猫が好きな方か、関連作品「愛なのに」を見た方向けかなぁ。
今年90本目(合計363本目/今月(2022年3月度)32本目)。
関連作品「愛なのに」も見ています。こちらは猫がちょろっとしか出てきませんが、こちらはタイトル通り、猫が主人公とは言わないにせよ、かなりのウェイトをしめます。
また、R15指定なのでそこそこ描写(特に大人の営み)関係はきついです(「愛なのに」よりもきつい)。
…とは書いたのですが、この映画、ものすごくレビューがしにくいのですよね…。
結局、このような結末(ネタバレ回避)になったのも猫のおかげ(気まぐれ)というところに尽きてしまいますし、まさかR15指定に過ぎない映画を「不純な目的で」見に行くこともないし、それら(「愛なのに」も含めて、R15でどこまで扱えるか、をチャレンジする目的もあった模様)を除くと、何が残るんだろう…というと微妙です(まぁ、ドロドロ不倫があるのは事実ですが、それ書いても仕方がないし…)。
結局のところ「家庭に関することは、よくよく考えてやらなきゃダメですよ」「ましてや不倫なんてダメですよ」というところに大半つきてしまい、それらは当然過ぎる上に、それ以外だと結局タイトル通り、猫を見に行く映画…になるのですが、この映画をそう解するのも微妙だからです。
「観てなんぼ」で、レビューがしにくい映画の代表例なんじゃないかなぁ…という印象です(まさか、R15の大人の営みの感想をかけとか言われても困っちゃう)。
採点にあたっては下記のようにしました。
「部分的には正しいが、混乱してしまうようなセリフが多い」というところです。
二捨三入で4.5にしています。
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(減点0.3) 「(離婚するなら)裁判でも起こして弁護士立てようか?」
部分的には正しいのですが、当事者どうしの話し合いでまとまらない場合、いきなりの裁判はできず、家事調停という手続きを踏まないと裁判は起こせません(家事事件手続法。調停前置主義という)。
これに弁護士の方が来ることなどは事実なのですが、一方で家事(離婚)調停(「夫婦関係調整調停」というのが正しい用語)は非公開で、純粋たる一般の裁判とも違います(裁判は原則公開)。ここは「部分的には正しいが、趣旨的に言わんとすることが微妙に違う」ので、いきなり(一般用語でいう)裁判で争えるのかと思われても仕方がないところです。
(減点0.3) 猫の扱いについて
これは映画内ではフォローが微妙にしかないので微妙ですが、特に迷い猫(犬など含む)を発見した場合、いわゆる「動物愛護センター」のようなところに連絡して、さらに警察・保健所(地域によっては保健所も)に届け出るのが正しいやり方です(「動物愛護センター」といった施設は、地域ごとに違います)。間違っても映画内のように勝手に持っていくとまずいです(映画内で触れられている通り)。
ただ、刑事上も民事上もまずいものの、刑事事件として被害届を出しても起訴するかどうかは警察より向こうの判断でありこちらで「強制的に起訴せよ」とは言えませんし(例外除く)、特に迷い猫・拾い猫のような事案で全部起訴していたら裁判所はパンクしますので、実際にはよほどの事案(虐待事案等)がないと、まずないものです。
一方で民事で争う場合は普通に所有権を根拠に訴えれば良いだけの話で、こちらは自由にできます(訴えるも訴えないも自由)が、その話は出てこず…。
要は「勝手に自転車持っていっちゃだめよ」の話と同じになるわけで(これも、よほどのことがない限り起訴はされないが、民事では争いうる)、ここのフォローが中途半端なので、補って見ないと理解困難になるところが結構多いです。
(減点0.1) 勝手に私人宅の窓の中までカメラ等で撮影する行為に関して
プライバシー上問題になることは言うまでもありません。
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こんな愛もあるんだろう
漫画家・町田亜子と週刊誌記者・広重の夫婦は、広重が同僚の真実子と浮気中で、亜子も編集者の松山と体の関係を持っていた。2人は離婚の話し合いをしていて、飼い猫のカンタをどちらが引き取るかで揉めていた。そんな時、カンタが家からいなくなってしまった。2人はカンタを探すが見つからず・・・実は・・・てな話。
「愛なのに」に続いて観賞したので、雰囲気の似た作品だなぁ、と思ったら両方とも城定監督と今泉監督のコラボ作品みたいで、なるほどと思えた。
これも夫婦とお互いの不倫相手との話だが、女子高生の代わりが猫なのかな、って思って観てた。
基本的に猫が好きではないので、猫がらみの作品は好きじゃないし、この作品の中でもテーブルでシッコするなどヒヤヒヤした。小道具としては良いけど、出来れば猫無しがの方が好み。
雨降って地固まる、じゃないけど、夫婦の危機は去ったのかな。
不倫してた相手同士が引っ付く事も有るかも。
亜子役の山本奈衣瑠、真実子役の手島実優とも濡場での脱ぎっぷりが見事で美しかった。
猫はかすがい。
W不倫中の町田広重と亜子夫妻。愛猫カンタの親権を巡って離婚の話し合いも停滞中。4人の男女と1匹の猫が織り成す物語。
W不倫と言えばドロドロの昼ドラパターンもありますが、こちらは揉めてるはずなのになんだかほのぼと見えてしまいます。カンタを口実に結局付かず離れずな2人の距離感。一方、広重をなんとしても手に入れたい真実子の作戦は予想の斜め上を行ってました。そこなん?ってなりました。終盤の4人での長回しによるやり取りは絶妙な空気の極みでジワジワ笑えてずっと面白かった。あの女同士の引くに引けない意地の張り合いはなんともリアルやった。
そしてなんといってもカンタことオセロの名演技が光ってます。まさに爪痕を残したでしょう。猫だけに。更にオズワルドの伊藤が哲学者みたいなこと言うのにめちゃめちゃ薄っぺらい映画監督にぴったりでした。
今泉力哉&城定秀夫監督コンビの今後の作品にも大注目していきます。
人が人といる時の気まずさ
城定秀夫と今泉力哉のコラボ企画の今泉篇。城定篇がすごく面白かったので、期待して観た。
離婚の時に子供の親権を争うのはよくある話だが、飼い猫の親権という着眼点がまず面白い。そのワンアイデアでストーリーを作っていったような感じ。
城定篇は冒頭からアクションシーンだったが、今泉篇は、人と人との関係、会話のやりとりに、とことんこだわっていく。そこで浮かび上がってくるのは、人が人といる時の気まずさ。
画面づくりでも、人と人とをきっちり写し込んで、じっくり見せる。ただ、編集のリズムで見せるタイプではないので、冗長に感じてしまうところも。
クライマックスは、登場人物4人が一同に会する長回し。女性陣がやり合っている中で、じっと黙っている、あるいは突然立ち上がってお茶を淹れようとする男性陣の姿がいじましい。
全体として男性目線だった城定篇と比べると、今泉篇は女性目線と言えるが、女性陣のセリフ回しが自然ではあるものの、ところどころ聞き取りづらかったのは残念。
カンタとミミの演技は見事。「アガペーからエロースへ」の繰り返しが、一番笑えた。
今泉監督ファンです2
「愛なのに」も観ました。
今泉監督ファンです。
日常の普通の生活の中のありきたりなシーンなのに、刺さるセリフが好きです。
今作は、ホンワカした日常の雰囲気と、R15前提の映画なので、少し大人なシーンが良かったです。
猫好きなのでニヤニヤしてしまいました。
煮え切らない4人の感情が面白おかしくて良かったです。こっちもニヤニヤしてしまいました。
今泉監督が、刺さるかと言われれば、今回は刺さらなかったけど、映画として面白かった。
「愛なのに」の方は、あるシーンが刺さりましたが。
2人の監督がお互いに脚本を書いて、R15作品という縛りで映画を撮ると言う試みがとても良いと思います。
好きな監督が関わる映画を連続で観られるは幸せなことです。
やはり恋はうたかた
猫好き必見の1作。
#20 結局好きなんじゃん
離婚届に判を押すところから始まるのに、いつまで経っても別れられない夫婦のお話。
今時不倫相手が離婚して自分と結婚してくれるなんて信じる女がこの世にいるのか?
嫌だからこの発言がジェンダー差別なんだって(笑)。
泥棒猫と猫泥棒、言葉の順序を変えただけでこんなに笑える言葉はない。
泥棒猫は犯罪じゃなくモラルの問題だけど、猫泥棒は立派な犯罪だもの。
傑作ってわけじゃないけど、チラチラ笑える小ネタが詰まった作品です。
終始ニヤニヤしながら観ていられる
そりゃ逃げるわ。
で、どうなったんですか?猫の親権。
恋愛関係であるだけなら、くっついた離れたがドライでもいいけど、離婚の話が出て、譲れない事実もあって、なのに結果そうなる?、とまあ、それが僕の言い分。自分には無理。だけど、この結末はこれはこれで成立しちゃってるのがすごい。監督の力技。というよりは、かわし技。ひょろひょろっとして、𠮟りつけようとする気分もうまくいなされてしまうような。鰻のような。だってこれ、ギラついて生きてる40代や嘘ばっかりついてる50代の夫婦だったら、けっこうドロつくよ?なのに、なんだろうこの、ふんわりとした幸せを感じてしまうのは。アガペーでもエロースでも、言葉にするのはほんと嘘っぽいね。こむら返りしてツボを押さえて処置してもらって、ついつい泣いちゃう、そこにこそ愛はあるよ。嫌いじゃない。嫌いじゃないけどちょっとめんどくさい。
人と人の繋がりってなんだろう
監督も脚本も力のある方なので、ストーリーとしては予想している結末へ展開して行く安心感はあるけれど、その中に笑いあり「あー、それそれ!」と言った頷ける部分あり(足がつった時の対処の仕方とか、そこで涙ぐむとか)、飽きることなく観られました。
パートナーと鑑賞後の意見が割れたのは、作品の意図は何処にあったのだろう?であり、私はタイトルが(猫「は」)で(猫「が」)では無かったことから、猫的な、厄介なものとはつかず離れず(例えば4人で言い合う際の男性陣の言いぐさなど)な位置関係かな?と思ったのですが、パートナーは作品の中で何度も繰り返される「アガペーとエロース」が、あの夫婦の在り方を象徴していたのでは?と感じたそうです。
どちらが正しいとかではなく、どんな作品も捉え方は様々なのだなぁと改めて感じました。
ドロドロせず、会話劇としても楽しめる作品だと思います。
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