「ナイト・シャマランが描くミステリー」オールド bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
ナイト・シャマランが描くミステリー
ホラーやオカルトを練り込んだミステリアスな異次元空間に引きずり込む、ナイト・シャマラン作品。最後には必ず、サプライズを用意し、観る者に驚異の世界を突き付けてくる。そんな監督の新作。決して期待を裏切ることなく、その謎に満ちた展開は、シャマラン・ワールドらしい内容だ。
舞台はあるリゾート・ホテルのプライベート・ビーチ。特殊な磁場を含む岩に囲まれたそのビーチは、外の世界とは隔離され、時間の過ぎるのが異常に早く、1日で外界の50年の年月が過ぎていく。
そこに、リゾート・ホテルに宿泊している何も知らない3組の家族が、閉じ込められる。
そこからは、不思議で、不吉な出来事が、3組の家族に襲い掛かり、一人、また一人と原因不明で命を落としていく。脱出を試みても、岩の磁場が影響して頭を圧迫されて、途中で気絶してしまい、脱出も不可能。それぞれの家族が、サバイバルな命懸けの時間が過ぎていく。
こうした閉ざされた恐怖の異空間の中に、各家族と一人一人の曰く付きな役割を、明確に配置することで、身勝手な思惑や他者との信頼関係が崩れていく醜悪な人間模様をも、鋭く描いてもいる。しかし、そうした滅びのシチュエーションの中、主演の家族の家族愛だけが、一つの明かりとなって灯される。
また、時間が早く過ぎていくという時空間を描写するのは、なかなか難しいが、子供の急成長、赤ちゃんの誕生、視力や聴力の低下、病気の進行、顔のしわ、そして死…というような様々な演出で描かれていた。爪と髪が伸びない理由は、やや無理があったかも…。
ラストは、ネタバレになるので詳しくは書けないが、ナイト・シャマランにしては、意外にも、ホラーでもオカルトでもない、現実的なミステリーとして締めくくっていた。最後のホテルでのサプライズも、ちょっと見え見えだったかな。
ナイト・シャマラン自身も、最初と最後の重要な役で出演していました。(笑)