「人生は甘くはない」レッド・ロケット ミーノさんの映画レビュー(感想・評価)
人生は甘くはない
極悪人こそいないけど、善人というか褒められた人も出てこない。
LAで仕事が上手く行かなくなり、どうしようもなくなって長年別居していた妻と義母の家を訪ねて土下座せんとばかりに泊めてくれと頼む主人公マイキー。AV男優以外にろくな職歴がないので、就活も上手くいかず結局同級生の家のマリファナの売買をして金を稼ぐ。妻と義母にご馳走しようと連れて行ったドーナツショップで、レジの女子高生ストロベリーに一目惚れし、年の差無関係に口説き落とす。彼女の野心と「好きもの」であることを見抜き、彼女をポルノ女優として売り出し、自分も復活しようと企む。この間ら全方向に嘘つきまくり。何の罪悪感も感じていない彼の望みが上手く行けば良いななんて思えない。自分の計画を得意げにロニーに車で話していた時、高速を下りるタイミングを間違えてギリギリにハンドルを切ったら、その後22台の玉突き事故が起こる。ロニーに自分と一緒だったと絶対に言うなと強く言い、律儀なロニーはそれを守ってくれたことを知る。今のうちにとストロベリーを連れて明日カリフォルニアに行くことにし、義母と妻に家を出ることを告げる。腹を立てた2人は、大麻の元締めの一家と手を組み、彼の貯めた金と大麻を取り上げる。犬にもソッポを向かれ、ゴミ袋に数枚の服を詰め、ストロベリーの住むピンクの家に迎えに行くが…。
妻には保護施設にいる息子がいるようだが、売春で金を稼ぎ薬物依存状態なので親権がない。また同級生の家族もなかなかすごくて、お母さんはマトモかもしれないが妹が怖い。隣家のロニーも退役軍人のフリをして小銭を稼いでる。みんな普通に仕事をしていないのだ。近所にある巨大な製油工場で働けたら良いのに。彼らはそういう仕事を望んでるようにも見えないが。
金網のフェンス、正面に窓が1つとドアだけという、ストロベリーに嘘をついて送ってもらう家はもちろん、ストロベリーの実家と比べても明らかに見すぼらしい家。住む所があるだけ良いのか。アメリカの底辺の社会を映し出した作品。