「あんまりロックじゃないロック・オペラ」アネット bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
あんまりロックじゃないロック・オペラ
オペラです。ロック・オペラです。ダンスのための演奏と歌じゃないのでオペラだと言う、音楽家のプライド。「ロッキー・ホラー・ショー」「TOMMY」と同分類。カルト感しか無かったロッキー・ホラーショーやTOMMYからすると、映像・音響が21世紀クオリティで、アダム・ドライバーと言う当代きっての名優をキャスティングするだけあって、見応え十分、聞きごたえ十分で、ウォーってなります。
でもですね。なんかですね。オペラなら哲学を求めたくなる訳ですよ。全てのものに意味を探したくなるわけですよ。
まずはAnnette。フランス語で「慈悲深い女性」の意味ですが、Automata(機械人形)と言うところがミソ。母親の唄声の再生装置たる存在であり、キリスト教が禁止する偶像崇拝の象徴となり、最後には生身の人間となり唄を唄わなくなります。オカルティックで神秘をまとう存在でタイトルにもなっています。刑務所でのアダム・ドライバーとのやり取りは見どころです。
でも「哲学的」ってんじゃ無いよな、って思うんです。アンとヘンリーの恋は今風な設定ですが、物語りのプロットはフランス奇譚的な悲劇。レオス・カラックスっぽいと言えば、ぽい。スパークスがオペラを構想したのだとすれば、オカルト仕立ても「ありそう」な感じはします。
ごめんなさい。でも、良く分からないw
「ひとつの悲劇」を「オカルト仕立て」で「ロックオペラ」にしたずら!
ってだけでしょうか?エンタメですよね、あくまでも。
Annette役のDevyn McDowellちゃんについて調べてみたら、ブロードウェイミュージカル"Waitress"に出演しているらしく。彼女が主役のCMフィルムもYoutubeに上がっていました。今後、色んな映画に出て来そうな注目株の様で。
取りあえず、ロック・オペラとしてはキレイにまとまり過ぎてて、かつ音楽の方も無難に過ぎて、正直なところ、ハミダシだらけでギラギラのインパクトを期待したワタクシ的には、物足りなかったです。実は、前半部分で寝落ちしそうになりましたw