「いろいろな点ではっきりしない作品だった」ノイズ ハルヒマンさんの映画レビュー(感想・評価)
いろいろな点ではっきりしない作品だった
面白くないと言い切るほどの駄作とは思わないが、見終わった後のすっきりしない感覚にはそれなりの理由があるはずだ。この作品を成立させる前提として、「島の風土」への理解が必要だ。それなしに主人公たちの行動が理解されない。島に入った変質的な前科者を殺したと言うが、あれはもみ合ったときに弾みで死に至らしめたわけで殺人罪には問われないし、伏線を考えれば情状酌量の余地が十二分にある。それでも隠さなければならない「島の事情」が表現できているとは言いがたい。
その後の展開もややシリアスさに欠け、一本筋が通っていない感じがする。ちょっと失礼な言い方になってしまうかもしれないが、幅広い層の観客を拾い上げようとする意図があったのだろうか。
印象に残ったのは、個人的な好みだが、鶴田真由さんの母親役で、息子が自殺したところに駆けつけて泣き叫ぶシーンは心を打たれた。
大石吾郎さんはずいぶん久しぶりに見て大変懐かしかった。
最後に、私は柄本明さんを高く評価しているが、この映画の役ではもったいないと思った。
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