東京クルド

劇場公開日:

  • 予告編を見る
東京クルド

解説

日本で生きる2人のクルド人青年を5年以上にわたって取材し、日本におけるクルド難民の実情を切り取ったドキュメンタリー。故郷での迫害を逃れ、小学生の頃に日本へやってきたトルコ国籍のクルド人のオザンとラマザン。難民申請を続け、入管の収容を一旦解除される仮放免許可書を持つが、身分は不法滞在者だ。いつ収容されるかわからない不安を常に感じながらも、2人は夢を抱き、将来を思い描く。しかし、現実は住民票もなく、自由に移動することも働くこともできない。そんなある時、東京入管で長期収容されていたラマザンの叔父メメットが極度の体調不良に陥る。しかし、入管は家族らが呼んだ救急車を2度にわたり拒否。メメットが病院に搬送されたのは30時間後のことだった。2人のクルド青年の日常から、救いを求め懸命に生きようとする難民、移民に対する国や人々の在り方を問う。監督はドキュメンタリーディレクターの日向史有。

2021年製作/103分/G/日本
配給:東風

スタッフ・キャスト

監督
プロデューサー
牧哲雄
植山英美
本木敦子
撮影
松村敏行
金沢裕司
鈴木克彦
編集
秦岳志
カラーグレーディング
織山臨太郎
サウンドデザイン
増子彰
MA
富永憲一
全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4
  • 画像5
  • 画像6
  • 画像7
  • 画像8
  • 画像9
  • 画像10
  • 画像11
  • 画像12

(C)2021 DOCUMENTARY JAPAN INC.

映画レビュー

5.0ここのところ、日本の入管行政のまずさが指摘されることが多いが、何も...

2021年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ここのところ、日本の入管行政のまずさが指摘されることが多いが、何も昨日今日ひどくなったのではない。日本の難民認定は昔から1%以下だった。
多くの人、は難民のことをつい最近日本に逃れてきた人々のことだと思うかもしれない。もちろん、最近になって日本にやってきた人もいるが、日本の入管が国外に追い出そうとしているのは、何もそういう人たちばかりではない。幼い頃に家族とともに母国での迫害を逃れるために日本にやってきて、幼少期から青年期までこの地で過ごして、文化的にも生活の基盤も日本にあるような人々をも追い出そうとしているのである。
本作の2人の主人公はまさにそういう人だ。難民申請を続け、仮放免許可書を持つが、それはこの国で働けるわけではなく、ただ「いるだけ」の状態に留め置かれている。日本で育った彼らに対して、入館職員が「帰ればいいんだよ。他の国行ってよ」と吐き捨てるように言う。多感な時期を日本で過ごして日本に染まった人に対して、どこに帰れというのか。
そんな状況に1人は絶望し、1人はまだ希望を捨てずに進学の夢を追いかける。2人はすでにこの国で生活する僕らの仲間ではないのか。仲間を見捨てるような国にしてはいけないのだと強く思う。

コメントする (0件)
共感した! 14件)
杉本穂高

3.0クルドの難民

2022年11月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

主人公が子供の頃、日本にやってきたクルド人一家、主人公は長男で仮放免許可証をもらっている。
学校に行くことはできるが、働くことはできない。
高校を卒業し、日本語もペラペラなのでなんとか、と思うが入管は許可しない。
入管行政は国の方針に従っているだけで、難民には閉ざされている日本が浮かび上がる。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
いやよセブン

5.0「おもてなしの国」が聞いて呆れるニッポンの腐った実情

2022年1月29日
iPhoneアプリから投稿

この作品が一人でも多くの日本人に届くことを心から願う。
だから初めて星5つを付けた。
まず知ることからしか事態は動かない。

「帰ればいいんだよ、他の国行ってよ」
働くことも滞在することも正式には認められない"仮放免"という立場に長年苦しむクルド人の若者に対して、嘲笑気味に吐き捨てた入管職員の言葉は、私たち日本人の無神経で無関心で無理解な実情を象徴しているようにも思えた。
やり場のない怒りと情けなさと恥ずかしさを覚えるシーンだ。

まずは知るべきだろう。
私たちと同じように日本で生まれ育ち、同じように日本語を話し、同じように夢や希望を抱きながらも、ひとりの人間としてのアイデンティティーを持つことすら許されず、就労や就学、移動の自由も与えられない人々がこの国にこれだけいることを。
自分と家族の将来を思い描くことも、いつ収監されるか分からない恐怖の前で閉ざされてしまっている人々の絶望感を。
「おもてなしの国」「安全で平和で優しくて美しい国」なんて聞いて呆れるニッポンという国の腐りきった実情を。
そのことを気づかせてくれた点で、この作品はどんな名作よりも価値がある。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
SG

4.5【”入管職員はにやけた声で”帰ればいいんだよ、他の国行ってよ他の国・・”と難民認定に行ったボクに言った。”難民条約を守れない国の民として、恥ずかしく、且つ物凄く腹が立った現代日本に警鐘を鳴らす作品。】

2021年10月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

ー 名古屋出入国在留管理局で、小役人の杜撰な対応により命を奪われたウィシュマ・サンダマリさんの無念さや、ご家族の怒りに対し、日本人であり、愛知県に住む者として心からお詫び申しあげます。
  法務省管轄の出入国在留管理庁の、腐り切った隠蔽体質、人権を尊重する欠片もない体質は、民主主義を謳っている日本に住む者にとっては、”恥”意外の何物でもなく、あのような行政を野放しにして来た責任は、選挙権を持つ私たちにもあると思う。ー

◆感想(鑑賞中から余りに腹立たしく・・トーンがオカシイです。)

 ・名古屋出入国在留管理局で、ウィシュマ・サンダマリさんに、今作でも描かれた様態が悪くなったラマザンの叔父メメットさんの妻からの救急車要請を断った東京管理局の姿勢と同じように、適正な対応をしなかった“殺人致死罪”に問われてもおかしくない行為を行った小役人達は、今作を正座して5回鑑賞すべし。

 ・出入国在留管理庁の本来の責務を、今一度、研修により学ぶ事。
 ー 法務省のHPに分かり易く、書いてあるだろうが!ー

 ・”難民条約”を端から端まで、キチンと読む事。
 ー 描かれているように、オザンやラマザンやその家族は、命の危険がある歴史的に迫害されてきたクルド人に生まれたため、難民として遥々日本に来たのではないか。
   フセインが、且つて、クルド人に行った蛮行を知らないのか!
   ”難民鎖国”などと、諸外国から呼ばれている事を”恥”と思え!ー

・ここで、伺えるのは日本とトルコの良好な友好関係である。1890年に和歌山県沖で座礁したエルトゥールル号海難事件に端を発した友好関係が、関係しているだろうことである。
  ー この事件は「海難1890」で描かれている。ちなみにこの映画は日本・トルコ合作である。つまりは、トルコにとっては厄介な存在である、クルド人と、日本の関係性を、入管が”忖度”したとも見て取れるのである。ー

 ・2カ月に1回、わざわざ仮放免許可期間延長に来る方々への言葉遣いを、日本人に対して話す言葉と同じように、丁寧語にする事。
 ー 至極、当たり前の事である。
   他の役所の方々の言葉遣いは、ここ数年で格段に向上している事は敢えて記載します。
   殆どの役所の方々は、頑張っているのである。ー

<今作は、クルド人として生まれ、日本に辿り着いた将来に夢を持てないオザンと、苦しい中、夢を諦めずに努力するラマザンの聡明な姿を中心に描かれる。異国で助け合う二人の姿。
 だが、徐々に日本の、出入国在留管理庁の建前と本音が見えてくる。
 そして、その腐敗し切った体質と、人権侵害どころではない恐ろしい実態が見えてくる。
 流石に、入管法改正案は廃案になったが、そもそもあのような法案が平気で出てくること自体がおかしいのである。
 日本が、”難民条約”に批准しながらも、国際的な役割を果たそうとしない姿勢。
 ”日本は、大和民族単独の国なので、多民族国家にはしたくないのです・・。”
 とどこかから聞こえてくるようだ。

 微かな救いは、ラマザンが無事に大学に入学したシーン。ご両親の姿にも涙腺が緩んだし、メメット叔父さんが530日振りに、少し元気な姿で、何の罪もないのに勾留されていた入管監獄から、外界に出て来て、大きくなった長男と奥さんと再会するシーンが観れた事であろうか。

 今作をきっかけに、日本国内でイロイロと大きな問題が発生する懸念(かつてのフランスの様な難民受け入れ反対運動。)は十分承知しつつ、日本が、国際的な難民支援の役割をきちんと果たす、成熟した多様性を認める国に、一刻も早くなるように願っています。
 それには、私達の様な一般市民がカントリージェントルマンの如く、現在の政府の動向を注視し、選挙の際に正しい行動を取る事なのである・・と思った、現代日本に多大なる警鐘を鳴らす作品であります。

<2021年10月10日 刈谷日劇にて鑑賞>

コメントする 2件)
共感した! 6件)
NOBU

他のユーザーは「東京クルド」以外にこんな作品をCheck-inしています。