あらののはてのレビュー・感想・評価
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新しい演出なのか、先人が無いと結論付けた演出なのか
逆光の照明無し、カメラ固定でフレームアウトも関係無し、ドン引きの画角など、変わった演出をしようと創意工夫した監督の意図は分かります
ですが、それらは先人が無いと結論付けた演出でしかありません
せめて、主人公の1番最高の表情を切り取るために、そっちを引き立てるために敢えてそれ以外をオフにしたとか一貫性があればと思ったんですが、意外と表情が見える画もところどころある……
1番最高だと思ってるんだろうな、という画ももちろん主人公の表情がよく見えましたが、それ以外も見える時は見えるし、見えない時は見えないしで、その一貫性の無さで結局すべての演出が監督の無駄な遊びにしか思えませんでした
絶頂期の8年前、高校時代は顔が見えるけど、喪失期の現在は顔が見えないとか、荒野に会えて再び表情が見えだすとか、そういう使い分けでも良かったと思います
主人公の表情をオフにしまくるのに、荒野の彼女のアップはちゃんと入れるのも意味不明でした
観客は主人公の感情に共感して物語に没入したいんです
主人公の顔は見せないように見せないように編集されたら没入できません
荒野や彼女や脇役のアップは見せるのに……だと余計に困惑します
(どうでもいいですが、彼女のアップでピンボケしてる画もそのまま使ってるし……)
観客を主人公に共感させる、それをサポートするために演出があると踏まえてもらえれば、演出の仕方も変わったんじゃないかと思います
脚本は普通に描けば短編30分ほどの内容しかなかったです
ワンカット長回しによる不要な間とか、いらない会話とか、いらないシーン、いらないカットが多くて、回想みたいに同じ画の使い回しとか、どうでもいい脇役だけのシーンとか、編集もルーズだったので、まるで薄めたカルピスのようです
こっちは早く先が見たいのに、展開が遅いからどんどん気持ちが離れていきます
あと、なぜ8年経ってようやく荒野に会えたのかが意味不明でした
実家に電話して住所を教えて貰えるなら、翌日に電話しても良かったはず
というか実家が変わってないなら直接家に行けばいつでも会えたはず
荒野が会うのを避けていた、とありましたがその理由も不明瞭だし、主人公が8年間ずっと探していて、ようやく新たな手掛かりが見つかったから物語が動き出したとかでは無いんですよね
この辺がすごいご都合な脚本だなと
それに荒野の彼女もご都合で主人公に協力的だなと思いました
空手やってた時の知り合いとかすごい不自然でご都合な設定とセリフが急に入ってきて、こっちが恥ずかしくなりました
基本的に脚本は主人公に不利に不利に働かないといけないのに、8年後からは有利に有利に展開していくから、それはちょっと無いなと思いました
そして、1番頂けないのは最終的に付き合う付き合わないの低俗で在り来たりな話に収束したこと
結果、主人公は振られてしまいましたが、ただの恋愛感情ではない、それ以上の未だ名前もない感情、新しい形の人間関係を見せてくれると思っていたので、付き合う付き合わないの在り来たりなオチで終わったのが非常に残念でした
青春恋愛映画は在り来たりですが、導入の切り口は確実に新しかったので結構期待しましたが、終わり方も新たな何かを見せてくれていたら……と思います
細かいことですが、主人公が口から出したガムの置き方が超不自然でした
あれは、前に座ってる荒野が次に食べやすいようにしてあげている置き方です
あと、ケンカしてる主人公と荒野の彼女が、意味あるセリフを言うときにフレーム内に戻ってきたりとかも不自然でした
自然体みたいな演技・演出を押している割りに、こういう不自然な演技を役者にさせて、それをそのまま活かしてるのが、監督本来の演出レベルを表していると思いました
そういう最低限の演技を付けられるようになってから、新しい演出を探しても良いと思いました
哲学のような硬派な作品、上質で良質な映画体験
初のシネマロサインディーズフィルムショーでの鑑賞。ホントはのんびり夜風に当たりながらすぐに感想を書きたかったけど、このご時世なので翌日になっちゃった。
なぜこんな前フリをしたのかと言うと、個人的には今後も記憶に残るような上質で良質な映画体験だったから。今年21の自分からすると、作中で綴られる"8年の空白"はかなり興味深い。それが新鮮な余韻をもたらしてくれるから。
鑑賞後に関係者と監督さんが来ていたので少し談笑した。聞くと、舞台も手掛ける監督さんで、固定された視点は意図したモノらしい。目線を画一的にすることによって生まれる空白、そしてそこに幾重にも巡らせた自分の想像が入り込む。その感覚が今まで味わったことのない世界を開かせてくれる。
作品の内容は非常に硬派でなんとも理解しにくい。なぜなら、絶頂体験に巡る想いとその行方による人間的本質を探るのだから。そりゃ今カノみたいな気持ちにもなるし、デッサンのモデルで絶頂する人の理解ができる方が少ないに決まっている。しかし、初恋が"衝動的"だったらいつだって脳裏にこびりついて離れないと考えれば同情できる。その先を観たかった気もするが。
やましい事を一つも入れず、精神的な愛を問うような深みがかなり心に響く。大胆に挑んだ構図も今なら納得できるし、このポテンシャルに凄みを覚える。観てよかった。
一点に凝縮された青春の思い出
高校生時代の一つの傷心を抱えた出来事が数年後に疼いた物語で、シンプルなストーリーなのだが、どこか普遍性もあり、それが我々大人の心に響く。ただ、あの絵の扱い方が難しく、それがこの映画への満足、不満足の評価を分けるだろう。
こういう拾い物があるから池袋時々来る。
恋愛未満、モヤモヤしたままべつべつに大人になってしまった男女が、描きかけのデッサンを完成させて、とりあえずスッキリする話。
思春期を拗らせたのは女子だな。
へたれ男子は実は少し成長していた。
トレーラー見て絵が凄くカッコよくて仕事の後、雨の中頑張って池袋まで行ったよ。目が覚めた。
ストーリーとかテーマとか内容は置いといて、
音楽、撮影、編集、監督のビジョンが面白い。
アイディアがある。
演劇もやってる人だからかな?
「映像ならでわ」の遊び方を楽しんでいる気がした。
わざとフレーム外で話が進み、喧嘩したり。
わざと遠くて会話が聞こえなかったり。
逆光の教室。
夕陽とシルエット。
何にも見えないけどどの絵も自信満々で美しく、記憶に刻み込まれた。
雰囲気重視の若々しい内容だけど、見せ方の面白さで退屈しなかった。
自作に期待します。
みえるもの、浮かぶもの
8年前、高校2の冬に味わった同級生の荒野君のデッサンモデルになった時の感覚を忘れられない女性の話。
自身の映画感を聞いて貰いたい教師に始まり、キレイとも純粋とも異なる、ただ揉まれた脳内visionに何一つ揉まれることごないまま歳を重ねてしまった主人公ですかね…。
耳年増にもなっていない子どもの初めての妄想か、超ニッチな保守的な思想を地で行く20代スノッブにはハマるかも知れないファンタジーという風にしか感じられなかった。
自分が搾りカスなだけですかね?
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