劇場公開日 2021年8月21日

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「哲学のような硬派な作品、上質で良質な映画体験」あらののはて たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0哲学のような硬派な作品、上質で良質な映画体験

2021年9月4日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

初のシネマロサインディーズフィルムショーでの鑑賞。ホントはのんびり夜風に当たりながらすぐに感想を書きたかったけど、このご時世なので翌日になっちゃった。

なぜこんな前フリをしたのかと言うと、個人的には今後も記憶に残るような上質で良質な映画体験だったから。今年21の自分からすると、作中で綴られる"8年の空白"はかなり興味深い。それが新鮮な余韻をもたらしてくれるから。

鑑賞後に関係者と監督さんが来ていたので少し談笑した。聞くと、舞台も手掛ける監督さんで、固定された視点は意図したモノらしい。目線を画一的にすることによって生まれる空白、そしてそこに幾重にも巡らせた自分の想像が入り込む。その感覚が今まで味わったことのない世界を開かせてくれる。

作品の内容は非常に硬派でなんとも理解しにくい。なぜなら、絶頂体験に巡る想いとその行方による人間的本質を探るのだから。そりゃ今カノみたいな気持ちにもなるし、デッサンのモデルで絶頂する人の理解ができる方が少ないに決まっている。しかし、初恋が"衝動的"だったらいつだって脳裏にこびりついて離れないと考えれば同情できる。その先を観たかった気もするが。

やましい事を一つも入れず、精神的な愛を問うような深みがかなり心に響く。大胆に挑んだ構図も今なら納得できるし、このポテンシャルに凄みを覚える。観てよかった。

たいよーさん。