「興味深いがストーリーに難」決戦は日曜日 LSさんの映画レビュー(感想・評価)
興味深いがストーリーに難
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ベテラン国会議員の父が倒れ急遽後継に担ぎ出された娘と、父に長く付いてきた中堅秘書が選挙に挑む物語。
政治経験ゼロの候補は、議員事務所の秘書たち、地元の県市議会議員、後援会役員など海千山千の者たちが作り上げてきた慣習、しがらみに抵抗するが、父のスキャンダルや、地元の利益配分をめぐる争いに疑問がピークに達し……
基本はコメディで誇張があるが、選挙区での議員活動をめぐるドロドロした部分を凝縮して描いており、呆れつつもとても興味深かった。特に父の大臣時の収賄疑惑で当然のように秘書が責任をかぶるところや、ベテラン秘書が父議員の威光で裏で取り仕切ってきた地元議員関連業者への公共事業分配(談合)のバランスが、父が危篤になると即座に崩れ出すところはさもありなんと感じた。
ここまではよかったのだが、幻滅した候補と秘書が選挙期間中にとった行動と有権者の反応が荒唐無稽で、それまでのストーリー展開と質感が変わってしまった気がして楽しめなくなった。本作中での政治家に高潔さや誠実さは求められてないにしても、人物造形の一貫性は必要だろう。
まあ、世襲議員は何をやろうが当選するし、当選してからが(よくも悪くも)全ての始まり、という点は受け取ったが。
日本では政治コメディは難しいと感じる。自己規制があるというか、最後は綺麗事を言うしかないみたいな雰囲気が見える。本作は途中までは頑張っていたと思うだけに残念。
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