「実は普遍的な家族の物語。」泣いたり笑ったり ゆめさんの映画レビュー(感想・評価)
実は普遍的な家族の物語。
男性同士のラブストーリーなのかと思いきや、どちらかというと2組の家族の物語だった。
ユニークで普遍的な家族の物語。
結婚の面白いところ(大変なところとも言う)って、愛し合う個人対個人の関係では完結できないところだと思う。
縁を切っていない限りは、パートナーの家族や親類と否が応でも向き合わなくてはならない。
しかも本作のカップル、カルロとトニに関してはまだマイノリティと言わざるを得ない同性同士の結婚な上に、彼らには娘や息子たちがいるのだ。
この設定がまず面白いなと思った。
同性同士の結婚に対してフラットに考える人でも、自分の親がそうなった時にはおそらく事情は複雑になるよね…。案の定カルロの長男サンドラとトニの長女ペネロペはなかなかその事実を祝福できない。
彼らは最終的に父親の結婚をどのように受け止めるのか(受け止められるのか)は、ハラハラしながら見ていた(私は他人目線なので「何がそんなにダメなんだ!祝福してあげなよ!」と歯痒くもあったが…)。
最初的に2人は父親の結婚を祝福するんだけど、ここの結末は良かったなと思う。
特にカルロがペネロペのもう一人の父親(しかも実の父親では叶わなかった彼女が望んでいた愛情深い父親)になっていき、それに彼女が救われていくところは良かった。
結婚相手との家族との関係は難しい。
異性と結婚した私にも身に覚えがたくさんある。
でも結婚したことで家族が増え、「家族」というものの尊さとままならなさを改めて見つめ直すきっかけになったのも事実。
その意味で、まだ設定に現実味が薄く感じるこの作品は普遍的なテーマを扱っていたんだと感じる。
私も彼らのままならなさが他人事には思えなくて、自分の体験を思い出しながら観ていた。
個人的には後半の人情家・カルロの悲哀が好き。
(前半はトニと比べてカルロは割と幼い印象だったのに、観終わってみると印象が変わってることに気づく。)
しかし、ペネロペ、結婚相手の息子(既婚、子ども有)にキスするのはだめよ!!