「貴方は誰に尽くしますか?」シン・仮面ライダー 機動戦士・チャングムさんの映画レビュー(感想・評価)
貴方は誰に尽くしますか?
冷静さを 売り飛ばして
泡になった僕を 世界は笑ってくれるだろう
想いに仕掛けた罠を全部外して
刻もう どんな意味だって構わないと
喜びよりも悲しみよりも
ただ君のことを考えているよ
今夜 君のもとへ
鬼束ちひろ 「Sign」
大切なものを失くす哀しみに、他者は共感しません。大切なものが、ひとりひとり違うからです。ひとりで生まれてきたように、ひとりで哀しみと向き合うしかない。それは、力なき者だけでなく、強き力を持つ者とて、同じこと。むしろ強き力が更なる辛さを呼び込むことに…。
ところで、ヒトはひとりで生まれてくるのでしょうか。少なくとも共に苦しみ、貴方が生まれてくることに力を貸してくれた人、貴方が生まれてきたことに、安堵した人は、いるのではないでしょうか。
今の世の中、嫌なこと、辛いこと、思い出したくないことで、溢れています。そんな苦しみを、強大な力で蹴り飛ばしたら、楽になれそう。でもその力とは、他者を傷つけるものなのか、他者の幸せに寄り添うものなのか。どっちがいいと思います?。
貴方の力は、誰の為にあるの?。何の為にあるの?。巨大な力を持つ代償として、他者の報復を恐れるヒトが、疑心暗鬼をミサイルに換えて飛翔させる時代です。貴方の力は、貴方自身も含めて、ヒトを幸せにするものなのか、ヒトを辛くするものなのか。泡になって消える前に、決断する猶予は、あまり残っていない気がします。
自分に共感しない人の幸せを願うのは、無理。それができたら神様だよね。でも、他者に解ってもらえないことが辛いなら、他者を解ろうと試みたほうが、幸せだよね。私の生体エネルギーのベクトルは、零号と同じなのか、壱号と同じなのか、私自身、分かんないけど。ベルトに風あてたら、分かるの?。
庵野監督にしてはストレートと云うか、屈託がないと云うか。個人的には、森山未來の零号が、もう少し蝶のように舞うシーンが欲しかった。ま、それは次回作に期待します。
とにかく、「シン」が付いているだけで観たくなる私です。次回作は、日本映画史に燦然と輝く大コケ映画を「シン・デビルマン」として、甦らせてほしいものです。