隔たる世界の2人のレビュー・感想・評価
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よくあるタイムループものかと思いきや…
アカデミー作品賞おめでとうございます。
定番のタイムループものに準えて
アメリカの現実をさっぱりとでも印象的に
伝えている作品
監督が授賞式で
人の痛みに無関心にならないでください
と言っていたのが胸に響いた
式の日に来ていたタキシードの裏には
殺された人たちの名前が刻まれてるんだって
【哀しくも、愚かしき”負のループ” アメリカ白人警官による多発する黒人に対する暴行致死の行状に対して、強烈な怒りを込めた映画。】
ー 劇中とエンドロールで流れる、ブルースホーンズビーによる”The Way It Is"(仕方がないよ・・)が、何ともアイロニカルに聞こえる。ー
■感想<Caution! 内容に触れています。>
・昨晩会った女性ペリーのベッドで目を覚ますカーター。家にいる犬に餌をやるために、家を出ると、白人警官に呼び止められ、身体検査を無理やり行われ、抵抗したカーターは、死を迎える・・。
そして、目を覚ますとペリーのベッにいる自分に気が付き愕然とする・・。
・一番恐ろしいのは、毎回カーターを呼び止め、殺す白人警官が、自分もタイムループに巻き込まれているのを知りつつ、”楽しみながら”毎回カーターを殺していた事が分かるシーンである。
”今回は、良い演技だったよ‥”とにや付きながらパトロールカーで、彼を自宅近くまで送るふりをして、”背後”から撃ち殺すシーンである。
<エンドロールで流れる、”The Way It Is"。そして、テロップで、ジョージ・フロイトさんも含めた、犠牲になった方々の多数の氏名と死の状況が静かに流れる。
そして、”彼らの名前を心に刻め”と言う強烈な怒りを込めたコメントが流される・・。
タイムループを効果的に使った”隔たる世界の二人”を描いた意義深い社会派作品である。>
ある被害者の息もできない社会派タイムループもの
息ができない --- 妙なタバコ。未だに何も抵抗していない黒人が警察官に殺される事件が後を絶たないアメリカ。だけど、もしそんな殺される朝が何度も何度も繰り返される内に、分かり合えない両者がコミュニケーションを試みたら?それでも……また明日会おう。犬ジーターの待つ家に帰りたいだけなのに異色の社会派タイムループもの。そう、彼らは皆、普段と変わらない生活を過ごしていただけだったのに、それらは突然奪われた。ということを改めて実感させられた。終わらぬ恐怖と反骨、それでも諦めない。いわゆる感動とかそういう安易な気持ちいい終わり方じゃなかったのが良かった。
彼らは被害者の一部に過ぎない
SAY THEIR NAMES
REMEMBER THEIR NAMES
小気味良いが…
アカデミー短編作品賞
タイムループものだが、作品の意図は明確に警官によるレイシズム批判。
どうやっても殺されるし、描かれたすべてのパターンが実際にあった事件での実例。ヒントはありながらも解決策が提示されないのもまたリアル。
描写も小気味良くて観やすいが、考えれば考えるほど絶望的な気持ちにもなってくる…
どうせなら『パーム・ストリングス』とセットで観たい、新たなタイムリープものの傑作
舞台はニューヨーク。グラフィック・デザイナーのカーターは知り合ったばかりの女性ペリーのベッドで目覚める。それなりにムードのある朝を過ごしたものの昨夜放ったらかしにしてしまった愛犬ジーターが気になってしょうがないカーターは帰宅しようとペリーのアパートを出て一服しているところで警官に呼び止められる。そつなくやり過ごそうとするカーターだったがタバコの匂いがおかしいと因縁をつけ始めた警官に所持品検査を求められたところで揉み合いになり、警官に首を押さえつけられて窒息して意識を失ってしまう。しかし次の瞬間目覚めるとそこはペリーのベッドの中。妙な気分で同じような朝を過ごしたカーターはまた警官に出くわし殺されてしまう。そしてまた目覚めると・・・自分が同じ朝に閉じ込められていることを悟ったカーターは何度も帰宅を試みるが・・・。
カーターが清々しい朝にタバコを吸いながら聴いている曲はBruce Hornsby & The Rangeの”The Way It Is”。高らかと響く美しいピアノのイントロがカーターの気持ちをこれでもかと鼓舞するも、その後に続く鋭い社会風刺に貫かれた歌詞がその後のカーターの運命を暗示していることに気づいた瞬間に鳥肌が立ちました。
“That's just the way it is
Some things will never change
That's just the way it is
Ah but don't you believe them?”
物語はこのサビが語りかけていることを延々と繰り返すわけですが、その最中ニューヨークの街並みを俯瞰するカットにチラッと映り込むのが昨年5月に警官に窒息死させられたジョージ・フロイドの名前。あの事件以前から延々と繰り返される悲劇がなぜ起こるのか、その真相に辿り着いたカーターの決意がズッシリ重い29分です。
そして本作のテーマを裏打ちするのがエンドクレジット。物語はこれのイントロに過ぎないと言っても過言ではないくらい重要ですので飛ばさないで最後までしっかり鑑賞して下さい。
得をする人生と損をする人生では済まされない
逃れなれない現実を突きつけられて
気持ちがすごく滅入ってしまいます。
きれいな映像でおしゃれな感じに作られているけど
約30分間、「なぜ?」「どうして?」とタイムループで映し出される物語に
憤りを感じるしか術がありません。
生まれた時から白人で得をしている人生と
生まれた時から黒人で損をしている人生
あまりにも理不尽すぎて絶望してしまいます。
エンドロールも憤りが続いたままでした。
32分間100本勝負
今日速報でアカデミー最優秀短編映画賞を受賞したと知り、今夜ダッシュで帰宅してNetflixで鑑賞。ショートフィルムとは思えない濃密で熱いメッセージが薄い色どりを早い筆遣いで幾重にも塗り重ねられてゆき、最後には人種問題に対する告発が、見事に放たれた矢の如く魂を射抜く作品だ😳
悪夢は今も繰り返し続けているという事実を突きつけ、決して黙ってはいない、戦うと宣言して映画は終わるのだ
【続けること】
2021アカデミー賞短編映画部門の最有力候補。
Netflix作品。
4月21日、ジョージ・フロイドさんを殺害した罪で、陪審員は速やかに、白人警察官に対し第二級殺人罪の適用を認めた。
量刑は後日改めて言い渡される。
白人警官が黒人を殺害した咎で有罪となるケースは珍しく、訴追もされないことが多いが、第二級殺人罪の適用は、更に画期的なことと、今後の警察官の対応に一石を投じるのではないかと期待されている。
このタイムリープを繰り返す物語の果てにあるのは、一見、絶望だ。
さまざまな試みを繰り返しても、白人警官の黒人に対する殺害の衝動を抑えることは出来ない。
なだめても、逃げても、手を差し伸べても、説明してもだ。
同じ世界に生きても、共有できる価値観がないのだ。
人に命はひとつだけだ。
しかし、この作品で主人公が示したように、いつか来るかもしれない隔たるものがなくなることを期待して、世界は繰り返し、何度も続けるしかないのだ。
それは、何も黒人や、今アメリカやヨーロッパで起きているヘイトクライムの対象のアジア系の人々だけではなく、国籍や人種や宗教や階層を超えて、より多くの人々が、いかなる差別も許されるものではないという思想を社会全体に訴え「続ける」ことなのだ。
絶望的な殺人があるからとかいうだけではなく、差別自体がおかしなことだいう考えを、社会はもっと強い意志で伝え続けなくてはならないのだ。
日本にも、差別は根強くあるではないか。
シンプルだけどスゴいアイデア
伝えたい事をたった30分強で伝えきったって感じで
とても分かりやすくて良い短編だと思った。
分かり合えると言うラストを期待してたけど、
そうじゃない。
それが現実なんですよ、とズシンと来たけど、
これはあくまで黒人目線であって、
誇張してると思いたいけど、実際こうだもんなぁ。
白人からのこれのアンサー映画が欲しい。
こんな事あってはならないし、
台詞の中で白人は白人に生まれただけで保護を受けている
と言う言葉があって、
黒人は白人に虐げられてもいつか分かってもらえるよう
努力を惜しまないと言うラストにかすかな希望が見えた
けど、
先日、黒人がアジア系の女性に暴行する映像を見て
僕の中ではアジアンヘイトを黒人はどう思ってるのかな?
と黒人に完全に同調出来ない気持ちも持ってる。
ただ、映画としては別々の事件に見えてるものを
1人の男がタイムループする事で同じ事件なんだと
見せる手法は上手いな!と感心しちゃいました。
レビュー
白人警察官に殺されては、夢から起きる黒人タイムループ短編映画。
約30分という短い中に、人種差別が凝縮されており、メッセージを非常に強く感じました🦊
短時間に色々な事件の目撃者になった感じですが、雰囲気と音楽で出来るだけ重くならないようになってます✨
32分だがつまらなかった!!
社会問題を扱うのにループさせるのはどうなのかと思いましたが、ループの使い方はチープですし、特に必要性を感じませんでした。キャストは良くも悪くもなく、オサレな選曲が鼻に付きました。32分ですが他の多くのネトフリ映画のように特に何も得られなかったので、観ない方が良かったです。長編ですが「フルートベール駅で」や「デトロイト」等を観た方が有意義な時間を過ごせると思います。
シンプルなようで考えさせられる
約30分なので気楽に観れる、かつメッセージ性が強い作品。
大切なのは相手のことをよく知るために話そうとすること。というメッセージは素晴らしいけど実際には綺麗事かもしれない?
シンプルなメッセージで終わらせず、意外なオチを持ってくることで、娯楽性が高まるとともに、白人黒人問題に対して深く考えさせられる。
主人公が拳銃で警官を殺すという選択をしなかったことも興味深い演出。
何より犬が待っている家に帰るという設定からして面白い。
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