劇場公開日 2021年6月11日

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ブラックバード 家族が家族であるうちに : 特集

2021年8月27日更新

安楽死を選択した母、そして家族ぐるみで
付き合う母の親友は、父の愛人だった…
実力派俳優陣が魅せる鮮烈な家族ドラマ

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話題の映画を月会費なしで自宅でいち早く鑑賞できるVODサービス「シネマ映画.com」。本日8月27日から「ブラックバード 家族が家族であるうちに」の先行独占配信がスタートしました。

2014年製作のデンマーク映画「サイレント・ハート」をリメイクし、「ノッティングヒルの恋人」のロジャー・ミッシェル監督がメガホンをとったヒューマンドラマ。スーザン・サランドンとケイト・ウィンスレット、オスカー女優2人が初共演、そのほかサム・ニール、ミア・ワシコウスカら実力派が顔を揃え、安楽死を自ら選択した主人公リリーを取り巻く家族の物語です。

誰もが経験する肉親の死、家族の愛情と隠された秘密……、自分がどの登場人物に共感するのかで作品の見方が変わり、豪華俳優陣の演技合戦に引き込まれる見どころの満載の一作、この機会にぜひお楽しみください。


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「ブラックバード 家族が家族であるうちに」(2019年/ロジャー・ミッシェル監督/97分/PG12/アメリカ・イギリス合作)

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<あらすじ>

ある週末、リリーは夫ポールと暮らす海辺の邸宅に、娘のジェニファー、アンナとその家族、そしてリリーの学生時代からの大親友リズを集める。それは、ある理由によって死を覚悟したリリーが、“家族が家族であるうちに”過ごすために自ら用意した最後の時間だった。それぞれ平静を装いながらリリーの願いである最後の晩餐を共にする彼らだったが、あることをきっかけに緊張感が弾け、それぞれの秘密が明かされていく。


座談会参加メンバー

駒井尚文(映画.com編集長)、和田隆、荒木理絵、今田カミーユ


駒井編集長 安楽死が合法になってる北欧の話がオリジナルですよね。

荒木 本作では「違法」になっていて、リリーの選択について「通報する」「しない」が話のネタになってますよね。しかし、安楽死自体がテーマというわけでもないんですよね、この映画。

和田 見る側の倫理観や家族観も問われる作品ですが、秘密を共有する家族をユーモアも交えながら静かに描いていて、死や家族について考えさせられました。

今田 安楽死、大麻(合法)の使用、家族とは別の人間の存在の重要さ、個人の選択や幸せを尊重するという姿勢、家庭内で性をオープンな話題にする……など、日本映画では描かれないようなエピソードが興味深かったです。

駒井編集長 前回の「ビーチ・バム」もそうでしたけど、アメリカの家族は大麻が好きですねえ。家族の一体感を形成する最重要アイテムは、大麻!w

荒木 母の死を突き付けられた家族がめちゃくちゃに動揺して、いままで隠していた本音やら、辛さやら、数年分のモヤモヤが1日のうちに噴出してもう、大変。タテマエとか言ってられない状況ってこうだよな……って感慨深かったです。死がドーンと目の前に来た時の反応って、その人の本質がすごい出ちゃいますよね。しかも、それがかなりドライに描かれていて面白かったです。

和田 自分をあの家族に置き換えて見ると、安楽死を容認し、最後の晩餐をともにして、しかも残されて生きていかなければならないというのは、結構精神的にはヘビーですよね。

荒木 ケイト・ウィンスレットとミア・ワシコウスカが演じる対照的な姉妹も面白かったです。

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和田 共演のサム・ニールなど実力派の顔ぶれも見ごたえあるドラマにしていたと思います。製作前のニュースを見返すと、母役は当初ダイアン・キートンだったようですね。

駒井編集長 IMDbに載っていますが、「レイン・ウィルソンはケイト・ウィンスレットとのセックスシーンがあることを知って、この映画への出演を承諾した」とジョークを飛ばしています。キャストは8人だけ、ロケーションも1箇所なので、けっこうローバジェットではないかと推測します。

今田 ディカプリオ気分で臨んだんでしょうねw

荒木 ナイスジョークw 確かにワンシチュエーションですよね。めっちゃくちゃオシャレな家でした。

駒井編集長 ビーチ沿いに立つ、ポツンと一軒家。撮影が良かったです。ロケーションはイギリスのウェストサセックスだそうです。行ってみたい。 あの家Airbnbで泊まれないか調べてみよう。

和田 撮影は家族の内側に入っていくように凝っていると思ったし、海辺の映像も美しかったです。


●家族は素晴らしい……そんな簡単な物語ではない

荒木 登場人物も、結構身近にこういう人いるよなって感じで絶妙でしたね。ジェニファー(ケイト・ウィンスレット)とアンナ(ミア・ワシコウスカ)の姉妹対決、正反対な性格のふたりのバトルがリアルでした。ジェニファーみたいに頑なに正しさを求める人も、アンナみたいに心を閉じてしまう人もいて。一番身近だけど分かり合えない人って、いるよねー。

今田 同じ親から生まれた姉妹でも、全く別の人間ですよね。エンディングもやっぱり家族は素晴らしい……みたいな簡単な話ではないですし。誰かの病や死、誕生が絡むと、家族や血縁という集団を強く意識するきっかけになりますが、実際、姉妹も既にそれぞれ別の生活を営んでいて、それぞれリリーとの別れという大イベントを経て、それでも日常は続く……という。

和田 サム・ニールが演じた夫は最後、本当に散歩に出ただけでしょうか……なんて考えてしまいます。

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荒木 家族は素晴らしいっていう話ではないのが良いですよね。それぞれの秘密があって当然だし、正しさがすべてではないという。さみしいけど、とてもいいエンディングだと思いました。

駒井編集長 不倫の設定とか、脚本の詰めがけっこう甘いなあと思う一方、これは完全に「役者の映画」だなあと思いました。IMDbによると、 8人のキャストは、アカデミー賞を2回、ゴールデングローブ賞を4回、エミー賞を1回、SAG賞を7回、BAFTA賞を4回、AACTA賞を2回、グラミー賞を1回、合わせて受賞しています。

今田 このキャストだったら、映画ではなく演劇でやっても大成功しそうです。

荒木 演劇版とかきっと面白いですね! 役者たちの演技が良いから、深く見入ってしまいます。

和田 最近見た「ライド・ライク・ア・ガール」でもサム・ニールが父親役を演じていて、円熟味が増してさらにいい役者になったなと。今回は妻の決意に医者として理解を示すいい夫でありながら、父親としての威厳と男としての弱さを絶妙に演じていたと思います。出演俳優それぞれの過去作をチェックしておくと、より味わい深く見られますね。

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