劇場公開日 2021年8月20日

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「【”中学生の男女が何度も身体を交わした哀しくも切ない理由”吹き荒れる嵐も、何時かは通り過ぎ、きっと穏やかな時が来るよ・・、と思いながら二人の若き男女の関係性を観ていた作品である。】」うみべの女の子 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【”中学生の男女が何度も身体を交わした哀しくも切ない理由”吹き荒れる嵐も、何時かは通り過ぎ、きっと穏やかな時が来るよ・・、と思いながら二人の若き男女の関係性を観ていた作品である。】

2021年9月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

ー ”男と女は、何でキスをし、セックスするんだろう・・”などと年甲斐もなく、考えてしまった作品。ー

◆感想
<Caution 内容に触れています。>

 ・海辺の小さな町。誰も来ない忘れられた海。
 そこで、小梅(石川瑠華)は捨てられたゴミ。誰のか分からない帽子などを、父親に買ってもらったカメラで只管に映す。
 ー まるで、卒業間近のチャラい先輩から手酷い仕打ちを受け、振られた事を無理やり忘れるために、無心で海岸に流れ着いた様々なモノにファインダーを向けているのかなあ。ー

 ・一年生の時に小梅に告白した同級生の磯部(青木柚:凄い若手俳優が出て来たぞ!と思ったら「教誨師」つい最近では「MINAMATA」に出ているとの事。いたかなあ・・。)は、小梅から逆にアプローチされるが、態度は素っ気ない。
 ー 小梅とのセックスシーンは、彼女がイニシアチブを取っているように思える。
  徐々に明らかになる、彼の脚が悪かった兄が3年前の磯部の誕生日に、入水自殺した事実。
  彼にしか見えない、傘を差した兄らしき姿。
  そして、自殺した理由も・・。
  磯部の中学生とは思えない発言”来月には俺、死ぬから・・”
  倦怠感漂う風体。ー

 ・小梅は頻繁に磯部の部屋に突然やって来る。そして、機械的なセックスをして帰る。小梅は磯部が好きなのに、磯部はもう小梅など、眼中にないのだ。兄を殺したチャラい先輩を始めとした連中への復讐しかないのだ。
 ー 磯部の家庭は、兄が死んでから父(村上淳)も母(母に至っては、タイに行ったという説明があるだけで、一度も登場しない。)も不在がちで、既に崩壊している事が分かる。
   こんな背景を抱えていたら、ニヒリズムにも走るよなあ・・。ー

 ・小梅の幼馴染(前田旺志郎)は、小梅が気になるのか、磯部のツッケンドンな小梅に対する態度が気に入らず・・。

 ・そして、嵐の晩、磯部はスタンガンを手に、兄を殺したチャラい先輩がいるビリヤード場に向かう・・。

 ・嵐が過ぎ去った後に、呆けたように喫茶店にいる磯部。
 店の中には、明かりが差し込む。
 店を出ると、そこには昔海岸で拾ったフロッピーディスクに映っていた美少女が偶然立っている。
 だが、彼は家に向かう途中で、警察に尋問され、連行される。

<思春期の、人生経験も薄い男女が、必死に生きる術、死ぬ術を見出そうと足掻く姿が、観ていて切ない。
 高校に進学した小梅は、新しいボーイフレンドと神社でそっとキスを交わす。
 まるで、”私は処女なの・・”とでも言わんばかりの細やかなキス。
 あの繊細だった”うみべのおんなの子”は、今や様々な経験を重ねた女性になったのだ。>

<2021年9月26日 刈谷日劇にて鑑賞>

NOBU