「たった1ドル79セントの犠牲に」ラターシャに捧ぐ 記憶で綴る15年の生涯 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
たった1ドル79セントの犠牲に
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ロス暴動。
アメリカで1992年4月末から5月頭に掛けて起きた大規模な人種間暴動。
事の発端はスピード違反の黒人男性に白人警官が暴行を加えたものらしいが、単なる黒人/白人に留まらず、多くの人種を巻き込んだ暴動になったという。
…その約1年前、火種とも言うべき小さな、悲劇的な事件があった。
“ラターシャ・ハーリンズ事件”。
従姉妹シャイニー・ハーリンズと親友タイビー・オバードが彼女について“語った”ドキュメンタリー。
そう、ラターシャは死んだ。
1991年3月16日に。
普通の女の子だった。
…いや、タイビーに言わせれば、輝くような女の子だった。
気軽に話し掛けてくれ、友達になってくれた。
利発的で、夢や希望にも満ち溢れていた。
もし生きていたら、どんな素敵な女性になっていただろう…?
その日ラターシャは、たまたま買い物を頼まれた。飲み物を買いに。
手には2ドルを持って。
近くの商店へ。
1ドル79セントの飲み物を選ぶ。
…そして、ラターシャは死んだ。
店主に殺された。
万引きされると思って。
黒人だから。
1ドル79セントより軽い黒人少女の命…。
その後の裁判も不条理。
30年経っても、アメリカは同じ過ちを繰り返し続ける。
一体、いつまで繰り返し続けるのか…?
この世から、人種差別は無くならないのか…?
“ラターシャ・ハーリンズ事件”はその悲劇性から人種問題の象徴として取り上げられたり、度々映画などの題材になったりするという。
本年度アカデミー賞短編ドキュメンタリー映画賞ノミネート作品。
受賞は間違いないだろう。
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