ココ・シャネル 時代と闘った女のレビュー・感想・評価
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シャネル本人の映像
自分の生い立ちなども脚色しがちだったこと。
貧民層出身の彼女にとって最も優先すべき事項は経済的自立であり、そのためにモラルは二の次であったらしいこと。錚々たる面子との恋愛・交友。
2度の大戦に際しても全く怯まず、動きやすい洋服を考案・販売し続けたり、当時勃興してきたドイツ軍のスパイを担って身の不利を察知すると亡命したりと、己の勘を頼りに切り抜けたこと。
戦後は「退屈しのぎ」のためにパリのファッション界に舞い戻り、アメリカにも進出して大成功をおさめたこと。
逞しすぎて驚いた。
間に挟まれる本人のトーク映像が印象深い。
本能と独自の美意識で時代を乗り回してきた女帝
因習に囚われないモードファッションと香水「No.5」で一世を風靡し、今なお語り継がれる逸話と名言。
本作はココ・シャネルの生涯を新たに発見された事実と数々の証言を元に改めて振り返る「戦記」である。
彼女は元来抱いていた「世界」に対する違和感にファッションという形で対抗し、数々の「戦い」の中、ついに渇望していた自由と富を勝ち取る。
それは世の女性を因習から解放し、新時代をつくる契機となる。
「コルセットなど、女優や娼婦に身につけさせるものだ」と言い放つ様は特に印象的で、当時としては実に怖い者知らずな発言だ。
伝統はもちろん、未来にさえ牙を剥き続け、
孤独よりも退屈を恐れる生き様は毀誉褒貶あるものの、私はその姿勢に憧れに近い感情を抱いた。
晩年、次の次元たる「死」が楽しみだとインタビューで語っている。
もしかしたら、死してなお、かつて自身の「コレクション」を遠くから眺めていた時のように、私たち次世代がどう着飾り、どう時代を闊歩しているのか退屈しのぎに覗きに来ているかもしれない。自分のことしか興味のないように見える人だったとしても。
寵愛を受けながらも、自立を求め、生涯を
譲れないスタイルで戦い続けた伝説の女帝の存在は、迷える我々「未来人」にとっての指針であり、乗り越えるべき壁なのかもしれない。
脚色のないココ・シャネル
ココ・シャネルの人生を描いた映画なども観たことはあるけれど
これは、とても率直?な作品になっていると感じた
映画などでは取り上げられるロマンスもあっさりさっぱり
それゆえに、飾りたてられていないココ・シャネルがいるような感じ
人間くさい、というか
それでも、すごい女性だな、というのは変わらずにある
そして、そばにいたら、友達にはなれないなというのも
いろいろ強烈な人だから
でも、それだからこそ、名を残す存在になったのだろうけれど
それにしても、ラストの方で
流行りを見ながら、時代が変わったと嘆くココが、なんとも人間くさくて笑った
自分こそが、当たり前の価値観を壊しまくって、作品を生みだし、築き上げてきた先駆者なのに
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