劇場公開日 2021年7月23日

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ココ・シャネル 時代と闘った女 : 特集

2021年11月5日更新

フィクションを超える波乱万丈! あの高級ブランドを創設した女性実業家の人生を濃縮した55分

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話題の映画を月会費なしで自宅でいち早く鑑賞できるVODサービス「シネマ映画.com」。本日11月5日から、フランスの高級ブランドの代名詞として知られる「シャネル(CHANEL)」創業者の人生に迫ったドキュメンタリー「ココ・シャネル 時代と闘った女」の先行独占配信がスタートしました。

貧困の少女時代から自らの才気で身を起こし、その後、政治家や王侯貴族との交流、幾多の恋を通して得たインスピレーションと人脈を駆使し、第2次世界大戦前までにモードの帝国を築き上げ世界的実業家となったココ・シャネル。そして1944年、シャネルはナチスドイツから解放されたパリを脱出してスイスへと向かい、1957年まで沈黙を続けます。

女性を因習から解放し、実業家として成功を収めた輝かしい栄光、そして悲惨な生い立ちやナチとの関係など隠された顔も持つシャネルの驚くべき人生を映す本作について、映画.com編集部が感想や見どころを語り合いました。


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「ココ・シャネル 時代と闘った女」(2019年/ジャン・ロリターノ監督/55分/G/フランス)

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<あらすじ>

高級ファッションブランド「シャネル(CHANEL)」の創業者ココ・シャネルの人生に迫ったドキュメンタリー。第1次世界大戦後、女性を因習から解放し世界的実業家となったココ・シャネル。政治家や王侯貴族との交流、幾多の恋を通して得たインスピレーションと人脈を駆使し、第2次世界大戦前までにモードの帝国を築き上げた。

そして1944年、シャネルはナチスドイツから解放されたパリを脱出してスイスへと向かい、70歳にして劇的な復活を遂げる1957年まで沈黙を続けた。その真相は、近年になって開示された様々な公文書により明らかになりつつある。その内容を踏まえながら、多種多様な映像とシャネル本人や関係者らの証言を通し、波乱に満ちた生涯と実像をひも解いていく。「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」などの俳優ランベール・ウィルソンがナレーションを担当。


座談会参加メンバー

駒井尚文編集長(映画.com編集長)、和田隆、荒木理絵、今田カミーユ


和田 想像していた以上に、強い女性だったようですね。知らなかったことも多く、副題にあるように、まさに“時代と闘った女性”ではないでしょうか。

駒井編集長 ココ・シャネルって、単にファッションデザイナーの印象しかなかったんですが、とんでもない人物だったんですね。目からウロコがたくさん落ちました。

今田 非常におもしろかったです。55分のドキュメンタリーですがフィクションの映画以上の濃い内容で。時代にも戦争にも翻弄されながら、あんなにたくましく生きた女性だとは知りませんでした。

駒井編集長 パーティー開くと、ストラヴィンスキーやピカソがやって来るし、英国の王室やチャーチルとも親交があるし、ヒットラーとも繋がってた!

荒木 ものすごいバイタリティを持った人だったんですね。イギリスの公爵と付き合ったりして……貧しい生まれからの大躍進!

今田 デザイナーから、史上初の世界的女性実業家という歴史に残るキャリアですね。服飾学校などを卒業したのではなく、修道院で針仕事を覚えて、その後自分でデザインもやって、帽子や衣料だけではなく香水など多角的に経営を展開するのは本当にすごいです。

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和田 スポンサーや経営パートナー、お金持った恋人つかまえる才能もすごい!

駒井編集長 安い帽子を買ってきて、鳥の羽をちゃちゃっとつけてオシャレにして、競馬場に来ているお金持ちの婦人に高く売るってのがスタートだったんですね。商才が半端ない。

和田 シャネルの有名なロゴは、修道院のステンドグラスの影響というのは本当なんですかね?

荒木 「彼女から本当の話を聞くのは難しい」って言ってる人がいましたねw PRとしてはものすごくよい触れ込みですが。

駒井編集長 あのロゴの話は作り話という説もありますね。まあ、シャネル本人がいっぱい作り話を語っていたというのは、この映画にいろいろ出てきましたね。

荒木 女にとっては厳しい時代で自分を強く見せるために、いろんな手段を使ったのだろうなという想像ができますね。

駒井編集長 彼女の負けず嫌いっぷりがよく分かる映画でしたよね。

今田 舞踏会でライバルのドレスに火をつけた話に驚きました。化繊が使われてなくてよかったよ……と思いました(笑)。

駒井編集長 あわや殺人未遂……。

今田 自分の事業や目的のために財力や権力ある男性に近づく策略家だったのかな?と思っていましたが、とてもモテて、年下男性からの求婚に喜んだり、その後も還暦近くなってナチの愛人になるなど、意外と本気で恋愛体質だった感じですね。

和田 スパイだったのでは?という話も恋多き故でしょうか。

駒井編集長 香水ブランドとしてのシャネルの話も大変面白かった。自らは反ユダヤ的な人間なのに、香水のブランドは、ユダヤ人が経営してる。で、売上の取り分を巡ってユダヤ人と大もめ。だけど、そこからの寝返りっぷりもまたすごい。

今田 戦後、香水をアメリカ人に無料で配ったというエピソードも商魂たくましいなと思いました。出自や愛国心、イデオロギーなどより、まずは生き抜く力が大事、ということを見せつけられました。

駒井編集長 シャネルスーツも、パリでは総スカンだったのが、アメリカに持って行ったらバカ売れ。もう、逆境からのV字回復が何度も何度も出てくる。

今田 挿入される映像も面白かったです。香水の瓶から作る工程など、良く残っていたなあと思いました。

和田 シャネルの洋服はやはりいまなお時代を超えて愛されるデザインなのでしょうか。女性の視点からいかがですか? 多くのセレブたちにも好まれてますね。

荒木 ココ・シャネルが自分でデザインしたスーツを着てインタビューに答えている映像出てきますが、あぁシャネルのスーツだ!って感じです。今も昔も変わらない、すごく特徴的なラインですよね。デザインの根本が変わらないというか、着ているとなんか強そうに見えるんですよね。

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今田 高級ブランドというフィルターがかかるので、個人的に身近には感じませんが、シャネルスーツはやはり機能的なんだと思います。ひらひらしてなくて動きやすい、でも素材や色はエレガント。男性のスーツ同様上下揃ってるからコーディネートもすぐ決まる。

駒井編集長 この、55分という尺は、フォーマットとして決まってるんですかね? ドキュメンタリーの作り方としては、「マラドーナ」とか「AMY エイミー」みたいに、新しい撮影を一切行っていないスタイルですね。過去フッテージも、シャネルと関係ないものをうまく使って構成しています。55分で短いんだけど、濃縮率が凄くて、とても大事な出来事もさらっと語られるケースもあるのですごく集中して見ていました。

和田 よく映像や写真、資料が残っていたなと思います。

荒木 突如ジャン・コクトーのコメントが出てきたり、退屈しないですよね。

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駒井編集長 歴史上の人物の一生を、55分で十分に理解できるので、個人的には他の人物の映画もこのフォーマットで作ってほしいなと思います。チェ・ゲバラとか、日本人なら渋沢栄一とか、是非見てみたい。

荒木 あぁー! 良いですね。当時どのような雰囲気だったのか、映像で見られると想像がつきますし。モノクロ映像に色を付けてたり、なかなか面白かったです。

和田 この監督の次回作はチャールズ・ブロンソンに関するドキュメンタリーとのこと。

駒井編集長 ある程度、映像が残っていることが条件になりますが、これはシリーズ化してほしい。チャールズ・ブロンソンも楽しみだなあ。

今田 ここまで、歴史に残るような女性の経営者ってほかにも世界にいるのでしょうか?

駒井編集長 グウィネス・パルトロウとかジェシカ・アルバは新しすぎるか……。極貧から這い上がるってのが必要だよなあ。

今田 そういえば、当時のシャネルの労働環境はブラックだったような話題も出てましたね。

和田隆 すぐ解雇してましたね。今の時代だとアウトでしょう。

今田 その辺の当時の意識も、いろんな意味で興味深く語れるドキュメントです。

荒木 「お店は完全に自分のものだから勝手にやって何が悪い」って感じでしたね……優しさをどこに置き忘れたのでしょう。

駒井編集長 あの時代にストライキを打つ女子たちの行動力がすごいと思いました。さすがフランス。そう言えば、エールフランスもすぐストライキやるよなあって。フランスの経営者は大変そうですよ。

和田 ファッションに興味のある方だけでなく、経営を学んでいる方にもおススメですね。

今田 やはり極貧で孤児院にいた少女が、自分の才能で事業を立ち上げ、現代の高級ブランドの代名詞になるというのが、すごい物語なんですよね。

和田 その物語だけでも映画が作れますよ。

駒井編集長 そうですね。お金持ちの紳士たちの間をうまく渡り歩けたのもデカい。

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今田 男性たちには賞賛されてましたが、「文学界のシャネル」と呼ばれたフランソワーズ・サガンに性格悪いって言われるのは相当な女性だったのでしょう……。才気あふれるブルジョワ娘だったサガンはドラッグで体を壊し貧困に陥りましたが、シャネルは晩年の映像でも矍鑠(かくしゃく)とされてましたし、88歳まで長生きされました。

和田 ナチスドイツから解放されたパリを脱出しスイスに行ってから、70歳で復活するまでの間、何をしていたのか気になります。

駒井編集長 21世紀には、もう起こりえないサクセスストーリーだと思いますね。20世紀でもっとも成功した女性経営者のドキュメンタリーってことで間違いないでしょう。

荒木 シャネルのお洋服を見る時の視点がちょっと変わりそうな作品です。スーツは戦闘服!!

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