劇場公開日 2023年11月17日

「『リスペクトとはこういうこと。見事!』」鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 ティンクさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0『リスペクトとはこういうこと。見事!』

2023年12月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

なんで、こんなに評判いいのか。よくわかりました。

我が家には、貸本まんが復刻版の「墓場鬼太郎」があるので、再読したうえで鑑賞。原作を読んだことがあるかどうかで、本作の印象は大きく変わるかと思います。
(紙芝居作家了解のもと描いた「幽霊一家」のエピソードから発展して「墓場の鬼太郎」が誕生。その中で鬼太郎も目玉の親父もその誕生が描かれています)

手塚治虫氏を「一番病」と揶揄していた水木しげる氏。(手塚治虫、鬼太郎が流行ると悔しくて「どろろ」を描いていたくらいですからね。Mを使ってたのかも)はからずも同時期に公開された「火の鳥 エデンの花」より本作が圧倒的に話題になっているのはなぜか。

とにかく、水木サンと原作の「墓場鬼太郎」を愛してやまない人たちが、全力で優れた作品を作ろうとした、ただそれだけだと思います。

原作を改ざんすることなく、逆にあそこにきれいにつながる物語をこんなに豊かに澱みなく紡ぎだすことができるとは・・・。しかも、

・幽霊族という存在を違和感なく生かし、しかもカッコいい鬼太郎父!
・鬼太郎母、こんなに綺麗な人だったら原作と違うじゃんと思ってたら、まさかの展開
・鬼太郎につながる、鬼太郎父のバトル技の数々
・霊毛ちゃんちゃんこの由来
・従軍経験に基づく水木氏の戦記物も取り入れた反戦メッセージ(手塚氏は従軍経験なし)
・横溝正史ばりの土着ミステリーのエンタメ要素
・ルパン対クローン的ラスボス要素
・現代腐女子を直撃するバディ要素(しかも声優ガ・・・)
・最新のアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」第6期とのつながり
・「ゲゲゲの鬼太郎」ではないので、あの主題歌は流れませんが、エンディングでは、あの曲が絶妙なアレンジで!

等など、あらゆる要素が過不足なく取り入れられ、完全に調和し成立しています。

 見事!

としか言いようがありません。

エンドロールが始まったとたん帰った人がいましたが、肝心要のシーンがその後に出てくるのに帰るなんて、「ばかだなっ」という水木サンの声が聞こえたような気がしました。

(冬コミに向けて薄い本を作成するためにどれくらいの人が悲鳴をあげてるのだろう)

【追記】
第一弾も第二弾も速攻無くなってしまった入場者特典。手に入れられなかった人々が狂骨と化して日本が滅びかねないので、1月には両方とも大量配布できるべく準備しているそうです。転売ヤーからの購入は熟考しましょう。

ティンク