劇場公開日 2023年11月17日

「語り口、アニメーションともに非常に高い水準の作品だけど、レーティングをよく確認してからの鑑賞がおすすめの一作」鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5語り口、アニメーションともに非常に高い水準の作品だけど、レーティングをよく確認してからの鑑賞がおすすめの一作

2023年12月1日
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鑑賞方法:映画館

「萌えキャラ化」したという猫娘を本作で初めて見た観客による感想です。

『ゲゲゲの鬼太郎』の前身的な作品『墓場鬼太郎』の前日譚に相当する設定となっている本作、キャラクター造形は現代アニメの画調ですが、背景や諸々の要素の描きこみは水木しげるの世界観を踏まえたもので、その美術的な質の高さもあって劇場で鑑賞する醍醐味を実感できました。

物語はかなり陰惨で、しかも後半に差し掛かるに従ってさらにその影が濃くなっていきます。いわゆる「鬱展開」な訳ですが、台詞による説明だけじゃなく直接的な残酷描写もちらほら。劇場内には結構小さな子供連れの観客が目立ちましたが、「この子ら大丈夫かな…」と途中から映画よりもそっちの方が気になりました。キャラクター造形が現代アニメーション的であることが、むしろ表現上のクッションになっていて、ちょっと救い…。PG12というレーティングも納得の作品なので、テレビアニメの『ゲゲゲの鬼太郎』を期待してお子さんを連れて行こうと考えている方は、ひとまずこのレーティング通りの内容である(場合によってはそれ以上)であることを含めて十分検討をおすすめします!

とはいえ横溝正史の小説を連想させるような旧家の跡目争いをめぐる人間同士の諍いと、そこに怪しい世界観が入り込む展開は非常に見応えがあり、また『墓場鬼太郎』第一話に丁寧につなげていくところにも巧みさが際立っています。アニメーション作品としての完成度は高いので、鬱展開を受け入れる心構えがあればぜひ鑑賞をおすすめ。

また劇場パンフレットは品薄のようなので、本作が気に入った上でパンフレットの在庫を見かけたならば、こちらも購入をおすすめ!

yui