アフター・ヤンのレビュー・感想・評価
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「記憶」に関する物語を静謐な世界観で描いた一作。
短編小説を原作として、ノスタルジックな雰囲気とSF的な描写が絶妙なバランスで調和した作品。予告編を見ただけでも抑制的なトーンが伝わってくるけど、不思議な余韻を残すラストシーンまでゴゴナダ監督の語り口は終始一貫しています。さしずめ派手な見せ場を省いた『DUNE/砂の惑星』(2021)といったところ。ミニマリスト的、と表現しても良いような、簡素かつ静かな語り口が最近のSF映画の潮流なのでしょうか。
細部まできっちり描写しつつ、柔らかな光を多用するという画面作りは、静謐な作品の語り口と調和していて、より世界観の一貫性を高めています。SF的な要素は随所にちりばめられているけど、どれももう少ししたら実現しそう、という現実との地続き感があって、だからこそヤンの残した映像に奇妙な生々しさ、親近感を感じさせます。
コリン・ファレル(ジェイク)もジョディ・ターナー=スミス(カイラ)も、もちろんみごとな演技を見せてくれますが、二人の娘を演じたマレア・エマ・チャンドラウィジャヤは特に素晴らしく、印象的です。またヤンを演じたジャスティン・H・ミンは、人型ロボットの雰囲気を漂わせつつも、人間的な温かみのある視線、表情がとても良く、彼の演技によって物語に強い説得力が加わっています。
鑑賞前は『デトロイト:ビカム ヒューマン』のような作品なのかと思っていたら、サイバーパンクじゃない『サイバーパンク2077』だったとは!ブレインダンス的な技術も出てくるし。
SF好きでなくてもそうでなくても楽しめる作品ですが、静かで謎めいた描写が続くので、心身に疲労が溜まっている時の鑑賞は、人によってはよい導眠剤になるかも。作品を存分に味わうならば、おめめぱっちりの時に観るのがおすすめ。
ダブルミーニングなのか?
知人に勧められて観ましたよ。
前作「コロンバス」も勧められてたけどタイミング合わず未見。
お茶やらラーメンやら、住居もアジアのリゾート風。
映像も話の進みも緩やかで静謐。美しい。
家族も人種、養子、アンドロイドごちゃ混ぜで少し違和感感じたが近未来はそんな感じかも知れない、、、
慣れとかなきゃね。
新古品、認定中古という触れ込みで購入したが、ある日突然動かなくなったアンドロイドのメモリーを辿る話。
間違ってたらごめんなさいなんですが、、、、ヤンが昔支えた女性の血縁者をカフェで見つけて好きになったってはなし?
メモリーかなり使い回してるうちにAIが好意や恋愛感情持った、、、って話?
ある家族のアフターヤンと
感情を持ったアンドロイド、アフターヤンとダブルミーニングなのかな?
各自見て確認してみて下さい。
ヤンのメモリー空間が宇宙みたいで美しかった。
果てしない感じでメモリー探しするの絶望的だなと思う一方、記憶の美しさ大切さを感じられる良いカットであった、、、にしても父さん感傷的すぎやしないか?
お茶屋さんの経営が心配だ。
まあ、母さんキャリアでバリバリ稼いでるぽいから大丈夫か、、、。
俺たちはロボットじゃない人間そのものだ
コゴナダは韓国系アメリカ人らしいがそのせいかはわからないが、欧米人のシノワズリ、オリエンタリズムを感じてしまう。日本茶飲んで、座禅組んで、兵法読んでるようなIT系の人みたいな、ノリを感じてしまう。
何より、親が黒人、白人でその養子とそのケアをするロボットが黄色人って構図から差別的に思える。黄色人は黄色人から生まれるし、ケアするために生まれているわけでもない。黄色人男性優しそうというステレオタイプを踏襲している。
これ事態が差別的な見方かもしれないが、黒白カップルの間に黄の養子をもらって、黄ロボットに面倒みさせていたら、自らのルーツを認識するときにどうしたって黄ロボットに懐くだろう。そのあたりの考えをもっと聞いてみたいが、この映画ではそこに全く触れない。アメリカの養子文化を知る良い機会なのに。
アジア的循環型世界観に驚いてもいいけど、アジア人の私にはそれをロボットに言わせることで、アジア人をロボットかのように思ってしまうのでないか。欧米の他の肌の色の人がこれに感心するのはいいけれど、日本人がこれ観て感心するかな?
ラーメンすするのを下品と思い、ジャンプカットしてしまうのは悲しい。
【人形ロボット(テクノ)ヤンの"故障"により残された"家族"が、喪失感からヤンの過去を追体験する事で、癒やしに包まれて行く静やかで、美しいSFファンタジー。(寝不足での鑑賞は危険な映画でもある。)】
- 茶葉の販売店を営むジェイク(コリン・ファレル)には、妻のカイラ、中国系の養女ミカに加え、家庭用ロボット(見た目は人と変わりなし。)ヤンと家庭の様に、仲良く暮らしていた。
だが、ある日ヤンは故障して動かなくなってしまう。-
◆感想
・落ち込んだミカや家族の為に修理方法を探すジェイク。
そして、ヤンの体内に主観的な記憶を動画として記録する装置がある事を知る。
但し、その動画は一日、数秒間のみ・・。
- そのメモリーを再生、巻き戻しを繰り返しながら、ジェイクが見たモノ。
それは、エイダと言う女性であったり、彼が何に関心を持っていたかを知るのである。-
・ヤンの記憶が、鏡の様に機能し、生き残ったジェイクは自分自身のヤンに対する思いを再発見する過程がフラシュバックの様に映し出され、美しくも面白い。
・ヤンのメモリーには、ジェイクの家に来る前の記憶も刻まれている。それを観る事で、ジェイクの中にはヤンを失った悲しみと共に、ヤンに出会えた喜びを感じたのではないだろうか。
<近未来、人形ロボットは、人間にとって、家族の様になって行くのであろうかと思った、喪失と癒しの静やかで美しい、SFファンタジーである。>
A24 Ada lamb
ラーメン
ラーメンを啜るお茶屋さんのコリン・ファレル
じわっと染み込んでくる。
見た目や役割に、序列や優劣を持ち込み、社会の中で固定化する。
肌の色や人種、民族が異なっても互いを理解し合うことで、より深い絆を得る。
悲しいかな、いずれも人間の所業。
このテーマを扱った作品はもとより、毎日のように報道を通して触れるものの、ここまで穏やかに、そして問題の凄惨さや押し付けがましさもない。「考える」ことではなく「感じる」きっかけを与える、そんな作品だったように思う。
このテーマでこの表現様式は、自分にとっては斬新だった。
私はなりたい
前情報なく観て正解
まさかのリリィーシュシュの曲流れてびっくり!
そしてA24だったのね
ヤンがとても良い子
ミカも可愛い
パパ、ママも素敵
多民族な家族像が未来的
大事な家族が亡くなってしまう
壊れてしまう
寂しさ
亡くなった家族と重ねてしまいました
ヤンが観ていた世界が一瞬一瞬
綺麗で儚く
女装したヤンとかどんな意味だったのか
亡くなったエイダになろうとしたのか
いろいろ想いを馳せる
テクノ、クローン未来の世界のストーリー
映像とても綺麗だった
雰囲気は良い
それだけかなー。
絵は綺麗だし、雰囲気もいいんだけど…
ちょっと話が…
思わずグッとくる、ということもなくずーっと日常を流し、合間合間で何か匂わすようなことが展開されるも、さしてそれが話の盛り上がりになることもなく。
まぁ雰囲気を楽しむ作品なのだろうが、設定が、設定だけにちょっと期待してしまうよね、あおっ?と思う展開を。
美術館で絵画を見てる感じでした。
へー、という。
ハマる人にはハマるだろうが、自分はそうでもありませんでした。
I wanna be
繰り返されるシーン、記憶、思い出。
記憶の断片、まるで何度も転生しているヤンの人生。
ヤンはもういないのに、ヤンの存在ばかりがどんどん大きくなっていく。
終わることからまた始まる何か。
ああ、なんて胸に迫ってくるのだろう。テクノ(ロボット)であるヤンが、ペットやAIのような存在を越えている。そしてそれは、中国人であるがゆえに東洋的な神秘性も加味される。「有」が存在しなければ、「無」も存在しないという。まるで、禅の世界だ。禅でも「自己があってはじめて非自己がある。」と説く。非自己(他人とか)があるからこそ、自己の存在も成り立つ。非自己が目の前に存在するから自己を見つめ直すことができる。そう、ヤンがいたことで、ジェイクの家族がそれぞれを見つめ直すように。思考は飛躍して、ヤンにプログラムされたシステムのように、もしかしたら人間もプログラムされているのかもしれないとさえ思う。それはよく言う、前世の記憶、だろうか。
そんな脳内で錯綜する思考のさざ波が凪いで来ると、柔らかく丸い感情が水面から浮かび上がる大きな泡のように膨らんで、何になりたいの?どうなって欲しいの?と問いかけてくる。自分はどんな答えを探しているのだろう。I wanna be・・・。I wanna be・・・。そう、禅ではこう言っていた、答えはすでに自分自身の中にある、と。
なんなのだろう、よくわからくて、どちらかと言うと迷いに近いものなのに、この沁み込んでいくような心地よい感覚は。
こういう「仕掛け」が他にもあるんでしょうね
映画の呪縛、人間の呪縛
丁度SF小説『鋼鉄都市』(アイザック・アシモフ)を読書中だったので、ロボットもの作品が観たくなり、本作も含め配信でも同類作品を探して観ていました。
本作は一応SF映画に分類されていますが、テーマが人間とは?家族とは?という非常に哲学的なテーマだったので、あまりSF映画という趣は感じられませんでした。
更にはテーマが完全に人間の側のみの視点だったので、SF感が薄かったのでしょうね。しかし、“哲学SF”というは私の大好物なので面白く観ることが出来ました。
本作のコゴナダ監督の作品は初めての鑑賞ですが長編二作目だそうで、元は評論家で小津の信奉者らしくテーマが“家族”というのも頷けますが、少し技巧に走り過ぎている様にも窺えました。映像はお洒落で、まるで美術館などのアート映像の様なイメージで物語には入り難かったです。
例えば同じ題材で、日本人のアニメ作家が作っても面白い作品になったかも知れません。
ストーリーを要約すると、近未来ある一家のベビーシッターロボットが突然動かなくなり、故障修理の過程である機能を持ったロボットであることが分かり、それは一日の任意の数秒だけ動画を記録するという機能で、その記録の任意の切り取りを観ることにより、AIの視線(選択)がまるで人間以上に人間らしさを感じられる動画であり、自分が見失っていたものを気付かされるというお話であり、人間の特性とプログラムの特性の比較が興味深くて色々と考えさせてくれました。
さて、ここからは本作の感想から脱線して、作品を観ながら関係ない事に色々と思いを馳せましたのでそれを書き綴ります。
アメリカ映画は誕生した時から様々なものと戦ってきました。例えば人種・男女・性差別等々、絶えず弱者の味方としての立場をとってきたように思います。
で、現代の多様性の時代では昔では考えられないようなキャスティングを配置するようになってきて、本作の家族も父親→白人、母親→黒人、娘→中国人、ベビーシッター→ロボットといった具合です。これは、最近のポリコレ問題も含み本作に限らず今のアメリカ映画の大半がそのようになっています。
但し、映画業界が推進していない差別が一つあります。(というか感じてしまいます)、それはルッキズム(外見を重視する価値観)です。
本作の多様性家族を見ても分かるように全て美しい人ばかりなのです。本作だけでなく大半の映画を観ても分かると思いますが、近年の映画は益々その傾向が強くなってきているのを感じられます。嘘と思うなら昔の映画のエキストラの顔を見れば分かると思いますよ。50年前の映画と見比べれば、主役だけでなく悪役から端役・エキストラまで綺麗で、醜いものは排除する傾向が強くなっています。
これは“美術”などにもある傾向なのかも知れませんが、元々“美”を表現するものだからという言い訳もありますが、現実世界には確実に美醜は存在しているのに美だけ描くのは、明らかに“真実”からは遠ざかります。
真実を追い求める媒体が何故ルッキズムには寛容なのか?これは映画だけでなく全ての媒体や社会にも通じる傾向の様に思われます。これだけ様々な差別に対して闘ってきたのにも関わらず、美醜に対する差別だけは受け入れてしまう社会傾向というか人間には、やはり闇を感じてしまいますね。
しかし、正直言って私自身“美”に対する関心や憧れは当然強く、敢えてこの問題は今まで扱いませんでした。というのが本音です。
ちょっと擬人化しすぎな感が…。日本と中国の区別がない黄色人種感もちょっと…。
コロンバスから続く絵の撮り方は素晴らしいものがあるが、ロボットを少し擬人化しすぎてはいないだろうか。
そこまで人間そっくりにロボットをつくることができる時代はいつ頃のことかわからないが、人間がそのまま演技をして、人間のような振る舞いをすると、ちょっと違和感がある。
また、ミカは日本人の名前ではないだろうか?中国からの養女ということであれば、名前は中国風にした方がよかったかもしれないが、西洋人は区別なく日本風の名前を付けてしまうかもしれないので、そういうことなのだろうか。
ラーメンを出したり、ボトルに日本語のロゴがあったりと、コゴナダ監督に日本趣味があることは明らかだが、そうであれば、もう少し正確な知識でつくってもらいたいと思う。
小津安次郎に傾倒し、その時代に活躍した脚本家の野田 高梧(のだ こうご)からコゴナダという名前を付けたらしい。
A24が配給なので、これはこれで成功と言えるのかもしれない。 SFとしてアーティスティックでもあり、おもしろいということかもしれないが、人間の家族観なんて、未来もそれほどは変わらないものだと思う。
#177
ラーメンは落ち着く
中国と日本と韓国の文化の区別がついてるのか若干あやしい夫婦。そもそも未来に「中国」あるのかな。もしかして日本も韓国も中国になってるとか…?!
東アジア文化に憧れる白人と黒人のカップルと中国人の養子。好きな文化の背景を持つ子供を養子にするの? 儲かってなさそうなお茶屋さん、家具ひとつひとつが高級品で、ハイカルチャーな家。
と、この辺りの設定に乗れない部分はあるものの、ヤンの「記憶」が美しくて、それだけで十分。きらめく木々、寝顔、笑いかけるあなた、口ずさんだ歌、振り返る姿、浮かんで沈む茶葉…
毎日数秒、最も美しい瞬間を記録できて、それを永遠に残せたらいいね。残された映像からはヤンが家族を愛していたように解釈してしまう。愛ってなんだろう。それともただのプログラムで、愛らしきものを捉えるように設定されているのだろうか。
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