「音に取り付かれた男が導き出した答えは正解なのか?それとも妄想なのか……」ブラックボックス 音声分析捜査 バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)
音に取り付かれた男が導き出した答えは正解なのか?それとも妄想なのか……
天才が故に孤立してしまうことは現実社会においてもも、映画やドラマにおいてもよくあること。そんな人物がここぞというときに能力を発揮し、ヒーローになりえるのだが、同時にひとつ間違えば最悪の結末をむかえることもある。
はじめは飛行機墜落の原因は、イスラム過激派のテロという回答を導き出したマチューではあったが、音に取り付かれ、何度も何度も聴き続けているうちに、新たな疑惑や、内部から隠蔽されているような気配も感じられようになっていく。
新たな発見や疑念から、意見を二転、三転させるマチューだが、結論によっては航空会社の身内のミスを世間に公表することになりかねない。
それがマチューの妄想である可能性もあるため、動き回られること自体が迷惑で仕方がない。テロの仕業としてしまった方が、いろいろと都合の良い身内の航空関係者からは煙たがられ、友人や恋人からも妄想にとらわれた男を見るような目で見られてしまう。
ジェイク・ギレンホール主演でリメイクもされた映画『ギルティ』のように、主人公の想像力の暴走によるミスという可能性もあって、観ている側も、この主人公の妄想ではないかという疑念を抱くようになってしまう。そして実際に分析ミスをした過去もある。
真実は何なのか、そしてマチューの推理は本当に正しいのか……何を信じたらいいのかわからなくなってくる疑惑が疑惑をよぶ、二重構造のループ。
ついには、ネタを持っているからと近づき、マチューもそれを理由としたジャーナリストにまて見限られ、会社では担当も外されてしまう。
自分のキャリアや恋人との関係を捨ててまで、音を探求するマチューは、天才なのか、それとも奇人なのか…….とにかく最後までわからない!!