クーリエ 最高機密の運び屋のレビュー・感想・評価
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リアルなスパイ映画は退屈しがち
スパイというと007シリーズやミッションインポッシブルシリーズを想像してしまうが、実際はあんなに派手ではないのだろう。地味に情報を集め、目立たぬように生活し、細心の注意を払って本国に報告するんじゃないか。
本作は、キューバ危機前に核戦争の可能性が高まっていた時期の米ソのスパイを描いた物語。しかも実話ベース。だから序盤から中盤にかけてはかなり地味な展開。正直退屈で少し寝てしまった時間もある。
ところが後半、そんな眠気は吹っ飛んでしまった。カンバーバッチの俳優魂をこれでもか!と見せつけられたからだ。この肉体改造はすごい。それだけで観た価値はあったと思う。1.0は点数がプラスになった。
この手のリアル系スパイ映画って、退屈なんだけど男の友情物語としていい話になりがちだから侮れない。あまりおススメできるものではないけれど。
リアルで過酷
実話を元にした冷戦時代のスパイもので、諜報戦でいかに核戦争を回避するかというよりは、諜報活動に携わった人々のドラマに焦点を当てているという印象です。
派手な銃撃戦などはありませんが、硬派なスパイものとして、冷戦時代の不穏な空気感、小道具を使ったアナログな手段など、リアルな諜報活動の描写が良いです。
ストーリーはシンプルで、どんでん返しの頭脳戦などもありませんが、登場人物の心情や緊迫感が伝わり、見応えがありました。
段々と不穏感や緊迫感が高まってゆくスリリングな展開に、主人公役のベネディクト・カンバーバッチ、ソ連側情報提供者役のメラーブ・ニニッゼの迫真の演技で引き込まれます。
後半の非情な展開は、どうにもやるせないです。
妻の妊娠はフラグっぽいなとは思いましたが……。
予想外の収容所生活にKGBの拷問描写も、過酷で辛い。
収容所で二人が対面する場面では、二人の友情や信念に目頭が熱くなってしまいました。
実話が元になっているとのことですが、この話は知らなかったので、最後までどうなるのかとハラハラしながら観ました。
個人的には、素人がスパイになって大丈夫か?でも結果キューバ危機を乗り越えた!みたいな、エンタメよりなスパイサスペンスかなというイメージで観に行ったのですが。
予想以上に非情で過酷な展開に唸らされてしまいました。
任務や国を越えた友情、平和への熱い信念も切実に伝わってきます。
そんな平和を願う人間が国に翻弄される理不尽を考えさせられる作品でした。
米ソ・東西の軍拡競争が激しさを増していた60年代、ソ連側の動きを掴...
米ソ・東西の軍拡競争が激しさを増していた60年代、ソ連側の動きを掴もうと躍起になっていた西側。
ソ連側高官に内通者はいるものの、西側への情報の運び屋(クリーエ)を欠いてしまった。
米CIAと英MI6は、情報の運び屋としてひとりの中年英国人ビジネスマン(ベネディクト・カンバーバッチ)に白羽の矢を立てる。
男の名はグレヴィル・ウィン。
東欧でのビジネスを行っていたウィンの、販路拡大でソ連へ足を延ばすという触れ込みでだ。
ウィンが接触したソ連側高官はペンコフスキー(メラーブ・ニニッゼ)。
政府に近い位置におり、機密情報にも易々と近づける・・・
というところからはじまる物語で、監視国家ソビエト下での息も詰まるような情報の受け渡しが始まる。
ただし、息も詰まるような緊張感であるが、ドンパチなどはほぼない。
実際の諜報活動は、探っていること、情報を流していることがわかってしまえばそれまでなのだから、そんなドンパチはあり得ない。
こういうあたりを丹念に描いていくのが面白いわけ。
ウィンもペンコフスキーも、互いに家族と引き合わせ、心から互いを信じあうようになる。
そして、ペンコフスキーは諜報活動の大きな一線は越えてこない。
ウィンが運ぶ情報の中身そのものは、ウィン自身には知らせない。
これが後半、活きてきます。
米英諜報機関は、ペンコフスキー家族の西側への亡命を約束していたが、ペンコフスキーがスパイだとソ連側に感づかれるやいなや、あっという間にペンコフスキーを切って棄てようとする。
信頼するペンコフスキーを救出すべく、単身乗り込もうとするが、女性諜報員(レイチェル・ブロズナハン)が助け舟を出す。
脱出ルートを確保し、自身を報道官としてソ連に潜入、ペンコフスキーを救い出そうと計画を立てるのであるが、ウィンもペンコフスキーもソ連側に捉えられてしまう・・・
ここのところ、どちらかといえば暑苦しい雰囲気になってしまったカンバーバッチだけれど(この映画の前半でも、肉の付いたアル中中年呼ばわりされている)、獄中では驚くべき変貌を遂げている。
イッキの減量、骨と皮だけの姿は本当に痛々しい。
役者としては、やり甲斐があったのでしょうし、その証左に製作総指揮にも名を連ねています。
『13デイズ』でも描かれたキューバ危機の裏側に、こんな物語が隠されていたとは驚きでした。
なお、60年代のソ連を再現したロケーションはチェコのプラハで撮られたようです。
そうそう、観ていて感じたのは、次のジェームズ・ボンドは、ベネディクト・カンバーバッチでいいんじゃないかな、ということ。
ただし、本作同様、東西冷戦時代、もしくは第二次世界大戦勃発以前を舞台にしての本家返りで。
傑作
久しぶりに心を揺さぶられる映画を観ました。
アメリカ、ロシア、イギリスそれぞれのお国柄を登場人物に落とし込んでいるのも良かった。
カンバーバッチの役作り、、いやーすごい。
スパイ映画としても、友情ものとしても、家族ものとしてもみられる素晴らしい作品。
もっと注文されるべき映画ですね。
素晴らしい脚本
史実を元にした映画のわりにとてもよく出来ている。
ノンフィクション系は淡々と進んでカタルシスもないまま終わるというイメージがあって苦手だが、これは違う。
演出、編集かなり良い。
脚色はあるだろうが男たちの友情(絆)がメインに描かれていて、感情移入しやすい。
時代は広島と長崎に原爆が落とされてから20年経っていないくらいの頃の話。
米ソ間で再び核戦争勃発の危機がある中で
命をかけて奔走する二人の男の物語。
最後にバレエ団を観劇するシーンで、涙するウィンが印象的。
これから起こりうる運命に対してどうか抗ってくれと願わざるを得ない。
ラストシーンではスパイ行為という重大な反逆罪を犯したペンコフスキーにも救いがあった。
二人の男たちの深い友情に胸打たれます。
もっと注目されて良い作品!
「クーリエ最高機密の運び屋」鑑賞
冷戦時のキューバ危機の舞台裏で繰り広げられた
事実を基に描かれたスパイサスペンス映画
世界のみんなのために!よりも
1番身近な人のために!人は命をかけて動ける。
そんな思いを体感させてもらえました。
そして、なによりカンバーバッチの演技力、役者根性の圧巻さ!すごかったです。
コマーシャルとかあまりしてないせいか
上映ランキングにも入ってきてないけど、、
とっても魅了される映画でした。
本当に怖いのはお化けや幽霊ではなく、人権を蹂躙する独裁監視国家。
フルシチョフといえば、東西の雪解けとか、米ソのホットラインとか、ソフトなイメージを抱きがちだったけど、それは昭和の義務教育の印象操作か。
とにかく、スパイに同情心は禁物だ。運び屋なんて、どんなに煽られても素人がなってはいけなかった。
しかし、配役はバッチリだった。機転のきくビジネスマンであったばかりにCIA に白羽の矢を立てられたウィン役のベネディクト・カンババッチもはまり役だった(タイトルバック近辺で実物の本人が出ていた。実際、頭の回転が良く人当たりの良さそうな紳士だった)一方、ソ連側のスパイ役ペンコフスキーを演じたメラーブ・ニニッゼという人、とてもフレンドリーで好きになってしまった。
当時の女性のファッションの再現も楽しめた。女性は職場でも家庭でもスカートで女性らしく、奥様同士の会話は表面上優しくも、水面下ではちょっと意地悪な腹の探り合い、、、
予習なしでも楽しめる
あわや核戦争という歴史の鉄火場を舞台にしたストーリー、ものすごくヒリヒリする。どこまでが本当のことかは分からないけど、キューバ危機を二人の男と家族の人間ドラマに落とし込んでくれたので、私みたいな不勉強な歴史オンチでも難なく面白がれた。
命を賭けた信念と友情のドラマで、捕まった後のペンコフスキーとウィンの再会シーンは泣ける。処刑という結果は同じでも、あの情報を知って死ぬか、何も知らされないまま死ぬかは大違い。それが大違いになるのが人間という生き物だなあと思ったり。
ベネディクト・カンバーバッチが本当にすごいし、ジェシー・バックリーの気丈な妻役もよかった。ペンコフスキー役のメラブ・ニニゼの表情も見ごたえがあった。彼が演じた焦燥も諦観も覚悟も、やりすぎてないけどドラマチック。
目玉スープは何の目玉なんだろう。DHAは多分に含んでそう。気持ち悪いとかの前にとにかく不味そうなのが見事というか。私ならハムを見せられて1秒ももたずに陥落してる。
スパイ行為のスリリングなシーンはしっかりエンタメになっていたし、全体に画づくりもかっこよくて、上質な映画にありつけたなーという満足感でいっぱい。監督の次回作はミュージカルを下敷きにした作品らしくてこれも楽しみ。
平和な世界を守る配達人
公開二日目の夕方の回
チケット買おうと思ったらほぼ満席
この手の映画で満席、流石カンバーバッチ効果かと思ったが女性は2割ほど
何故ここまで人気なのかは分からない
いつもより緩い体型の主役が冴えないサラリーマンを演じるも、どうしても敏腕スパイに見えてしまう
この体型が後の伏線に
音楽は緩やかなのだが何故か漂う緊張感
画作りやキャストにも妥協がなく
50年代末からキューバ危機までの、大国のチキンレースで世界が破滅に向かっている時代の雰囲気を魅力的に描いている
いざ亡命作戦開始となり、ハリウッド映画なら息をつかせぬカーアクションで最高潮に持っていくのだろうが、イギリス映画の脚本ではそんなに上手く事は進まずあっけなく全員拘束
その後の監禁生活でみるみるやつれていく主人公
そうか、これはカンバーバッチの減量チャレンジ映画だったんだ
ラスト近くに主人公とソ連側の協力者が取調室で再開するシーン、
実際にあのやりとりがあったら主人公が帰国することはできなかったと思われるので脚色なのではないかいと思うが、
政治家ではなく市井の一個人の正義感や勇気が世界を破滅から救うという頭の下がる映画だった。
彼らが守ってくれた平和な世界を私たちは当たり前と思わず大切にしていかないといけない
日常と剃刀
シビレマスご用心。
「007」の前でも後でもセットで楽しんで頂きたい。この手の、静かにじわっときて、気が付けばフルスロットルなスパイ映画大好きです。勿論、ヒーロースパイなやつも好きですけれども。
事実ベースと言う事ならば、毛色も結果も色味が違うけれど「バリー・シール」とセットにすれば、陰陽みたいに楽しめます。
夫婦間の妙な緊張感が良いエッセンスになっていて、最後まで「どうする??どうなる??」が止まらないしナイスなオマケもある、良い作品でした。
水面下で起こる緊張感
2021年劇場鑑賞23本目 佳作 59点
本当に珍しく劇場で観た洋画作品。
8.9月だと他にもオールドやモンタナの目撃者、ペクトゥサンなども観る予定でしたが、今もなぜか観ておらずそれもそのはずで、やはり私には洋画が肌に合わず、今作の次はよっぽどひかれたテーマでないとないなあと思ってしまった。
テーマは非常に面白かったですし、実話ベースで進んでいき後半に差し掛かる前らへんは少し退屈で珍しくうとうとしましたが、ラストは素晴らしい演技と展開には見応えありました。
割と日本でもプッシュされていた洋画だったと思うので、気になる方は是非。
我々のような人間から、世界は変わるのかも。
「4分間、つながらない電話をかけ続けるのか?」とは、見事な誘い文句だ。民間人でありながら、その任務の重大さに押しつぶされそうになっても貫く責任感。相手との間に奇妙にも友情が芽生えてくるのは、お互いへの信頼感が深まったがゆえだろう。
この成り行きはどうなるのか、とヒヤヒヤし、カンバーバッチの変わり様に息をのむ。それほどの任務なのだと視覚的に訴えてくるようだ。そしてそれだけの覚悟を負えるほどの友情なのだと。
現実問題、彼らのミッションがなかったら、キューバ危機は現実として核戦争に発展してのだろうか。今、平和な(と一見見えるだけかもしれないけど)米ロ関係を見るにつけ、こんな緊張状態はもう遠い過去なのだなとしみじみ思う。
激やせ
タイトルの「クーリエ」、宅配便のことですね。日本では、小規模なバイク便や、逆に国際的な業者(FedExとか)の意味で耳にすることが多い。英語圏では、犯罪行為に関連した運び屋の意味でも使われるらしい。
というわけで、本来はただのセールスマンのはずの主人公が、モスクワからロンドンへ機密情報を運ぶ定期便になっちゃったお話。
一部のシーンのために10キロ減量したらしい、主演のカンバーバッチ。太ってたならともかく、元からスリムな人が10キロ落とすって、かなりきついはず。実際、健康を心配したくなるやせ方してた。すげーな。
それだけ真摯に撮影にのぞんだってことでしょう。ぜひとも、激やせっぷりを見て驚いてください。
冷戦時代はこのジャンルの宝庫
東西冷戦の最中に盛んに作られたスパイ物のハードボイルドタイプの香り。例えば「寒い国から帰ったスパイ」(マーティン・リット監督 ジョン・ル・カレ原作 1965年)など。娯楽に振った代表が007シリーズだ。ソ連側の情報源ペンコフスキーを演じたメラーブ・ニニッゼがいい。第三の男のハリー・ライムを思わせる人なつっこい風貌だ。アベル・コジェニオウスキの音楽もいい。ニーノ・ロータを連想させる哀愁ゆたかな、60-70年代の映画音楽の王道メロディに酔う。
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