ベル・エポックでもう一度 劇場公開日 2021年6月12日
解説 大切な思い出を映画撮影セットで再現する体験型サービスを巡る人間模様を描いたヒューマンドラマ。世の中の変化についていけない元人気イラストレーターのヴィクトルは、仕事を失い、妻からも見放されてしまう。息子はそんな父を元気づけようと、友人アントワーヌが始めた“タイムトラベルサービス”をプレゼントすることに。それは映画制作の技術を応用し、利用客の大切な過去を再現する体験型サービスだ。ヴィクトルは「1974年5月16日のリヨン」をリクエスト。指定されたセットを訪れると、そこには当時そのままのリヨンの街並みがあった。用意された70年代ファッションに着替えたヴィクトルは、今はなき思い出のカフェで、アントワーヌの恋人である女優マルゴが演じる“運命の女性”と出会う。ヴィクトルを「隠された記憶」のダニエル・オートゥイユ、妻マリアンヌを「8人の女たち」のファニー・アルダンが演じる。監督・脚本・音楽は、「タイピスト!」などに俳優として出演し、本作が監督第2作となるニコラ・ブドス。
2019年製作/115分/R15+/フランス・ベルギー合作 原題:La Belle Epoque 配給:キノフィルムズ
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崩れかけた関係性を修復するには、過去の最も愛おしい記憶を呼び覚ますのが最善だ。それは長年の愛をモチーフにした物語の定番ではあるものの、本作はやや複雑な舞台設定の中でこの流れをうまく踏襲してみせる。要となるのは映像製作会社の新サービス。美術セットや俳優たちを使ってオーダーメイドで「顧客の望む時代、空間」を再現し、生の手触りをそっくりそのまま顧客に味わせてくれるという。果たしてD.オトゥーユ演じる初老の男が再現したい記憶とは何か。あふれ返る70'sファッション、音楽、カフェの雰囲気ーーーーその虚構性を認識しながら、なぜか心にリアルな感情が再燃しはじめる過程が美しい。と同時に、裏方スタッフの見せる感情のもつれやドタバタも見どころの一つ。「ワンダフルライフ」や「トゥルーマン・ショー」などの設定や断片などもわずかに思いおこしつつ、観客をそれらと全く異なる味わいへ導いていく非常にユニークな作品である。
2021年6月10日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
「トゥルーマン・ショー」「トータル・リコール」「脳内ニューヨーク」にそれぞれ使われていたユニークなアイデアを少しずつ拝借して組み合わせ、フランス流の恋愛喜劇を構築したという感じだろうか。新聞に風刺画を描く仕事を失い、妻にも愛想を尽かされた初老の男ヴィクトルは、息子にプレゼントされた“タイムトラベルサービス”を試すことにする。それは、利用者が戻りたい過去の時間と当時の出来事を伝えると、映画撮影セットと俳優を使って忠実に再現してくれるサービス。利用者本人もセットに入って、当時の自分を演じる。 ヴィクトルが指定したのは1974年5月16日のリヨン。運命の女性とカフェで出会い、恋に落ちた瞬間を追体験するのだ。なんともロマンティックな設定ではないか。サービスを提供する会社の創業者で監督も務めるアントワーヌは、恋人の女優マルゴを運命の女性役に起用するのだが、彼女とヴィクトルが演技を超えていい感じになりかけるとやきもきしたりして、そのあたりの笑わせ方もうまい。 青春真っただ中という層を除けば、大抵の大人、特に中高年になるほど、折に触れて若い頃の恋愛を思い出し、今あの時に戻れるならどうするだろう、違った選択をしていたらその後の人生はどう変わっただろうかなどと夢想してしまうのではなかろうか。本作に登場するサービスがもし実在したら、裕福で時間のある層が結構利用しそうだ。 ベル・エポックとは「良き時代」を意味するフランス語。狭義では19世紀末から第一次世界大戦前までのパリが繁栄していた時代を指すそうだが、本作ではセット内に再現されたカフェの店名でもある。 古き良き時代を懐かしむノスタルジックな要素も確かにあるが、それだけではない。変えられない過去の積み重ねが現在なのだと改めて認識することで、今日と明日を少しでも良くできることを映画は教えてくれる。
2021年9月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
ー 作品設定が、奇想天外ではあるが、秀逸である。 お客さんの希望に合わせて、時代設定、俳優を準備し、ノスタルジーに浸れる空間を提供するサービスを考える、完璧主義者のアントワーヌ(ギヨーム・カネ)。 そんな中、ショボクレタ、元イラストレイターのアナログ夫のヴィクトル(ダニエル・オートゥイユ)はデジタル妻マリアンヌ(ファニー・アルダン)に、家から叩き出され・・。ー ◆感想<Caution !内容に触れています!> ・ヴィクトルが、大枚払ってお願いしたのは、1970年代の”ステキな女性”に会ったリヨンの”LA BELLE EPOQUE”があった街を再現し、傷ついた心を癒す事であった・・。 ー 重ねて書くが、この映画の設定が秀逸である。 お客さんの要望に応え、ノスタルジーに浸れる空間を提供する一方、アントワーヌ達スタッフは、”俳優”にキビシイ要求をし、スタッフルームから様子を観察し、”俳優”に必要な情報を300ユーロもする通信装置で伝え、音楽の音量を調整し、時に雨を降らせ、時に地面を揺らす・・。ー ・ヴィクトルは、かなーり高飛車な男であるが、”女優”マーゴット(ドリア・ティリエ:ステキナ女優さんだなあ・・)と、仲が良いのか悪いのか、不思議な関係を保っている。 ー この二人の関係性も、もう少し突っ込んで描いてくれると、良かったかなあ。 けれど、主役はあくまで、ヴィクトル&マリアンヌ夫婦だからね。 ー ・スタッフの一人が、矢鱈にエロいのも、なんだかオカシイ。 ー 乱交シーンが終わった”俳優”サン達に、”僕も混ぜて・・”っていうかなあ・・。クスクス。ー ・作品自体も、お国柄なのか、妙にエロティックなオーラルシーンが多い気がする。 ー おフランスだからかなあ・・。ジュテーム、ジュテーム・・。ー ◇邪魔だった筈の夫がいなくなり、愛人を連れ込んでいたマリアンヌ。一方、リヨンの”LA BELLE EPOQUE”で、若き日の”ステキな女性”を演じるマーゴットと会話し、当時を思い出し、徐々に精気を取り戻して行くヴィクトルの姿。 一方、マリアンヌは、愛人の男の鼾やら、自分の行いに徐々に嫌気が差したのか、徐々に元気が無くなって行く・・。 そんな中、ヴィクトル&マリアンヌ夫婦の会社経営しているリッチな息子が、粋な計らいをする・・。 <多少、展開が粗い部分もあったが、”LA BELLE EPOQUE”で再会し、楽しそうに会話をするヴィクトル&マリアンヌ夫婦の姿を見ていたら、回顧主義も悪くはないかな・・、と思った作品である。 あと、子供はキチンと育てようとも思ったかな・・。”子は鎹”と言うしなあ・・。> <2021年9月5日 刈谷日劇にて鑑賞>
2021年8月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
正直、途中で置いてけぼり。€10,000/日でも、元取れなさそうな商売にしか見えないし、そもそも登場人物の内心が複雑過ぎて付いていけないし、オチも意外性無いしで。 凄く丁寧に、金と時間を掛けて作られてるトコロには感心するし好き。 だけど。 根本的に、ストーリー自体に共感出来ないネタがチラホラで、全く心を動かされませんでした。 と言う事て、退散。
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