ジャーニー 太古アラビア半島での奇跡と戦いの物語

劇場公開日:

ジャーニー 太古アラビア半島での奇跡と戦いの物語

解説

日本の東映アニメーションとサウジアラビアのアニメ制作会社マンガプロダクションズが共同で手がけた、初の日本・サウジアラビア合作による長編劇場アニメ。古代アラビア半島を舞台に、侵略者に立ち向い、未来を切り開いていく主人公と仲間たちの姿を描く。貿易都市メッカを目指す侵略者アブラハの軍隊に対し、当初は平和的な解決を望んでいたメッカの民だったが、アブラハの提示する非情な条件に怒り、戦うことを決意する。そんなメッカの民の志願兵のなかに、ひとりの青年アウスがいた。彼はかつて盗みに入った家で陶工のジュバイルと出会ったことで大きく運命が変わり、成長してジュバイルの娘ヒンドと結婚した。過去の罪を贖うため、そして家族との幸せな生活を守るため剣を取ったアウス。やがてメッカとアブラハの軍が激突する。映画の主な構成やコンセプトをサウジアラビア側が手がけ、映像制作を東映アニメーションが中心となって担った。監督は「名探偵コナン」劇場版や「GOZILLA 怪獣惑星」を手がけた静野孔文。日本語版声優は「機動戦士ガンダム」の古谷徹、「進撃の巨人」の神谷浩史ら。

2021年製作/110分/G/サウジアラビア・日本合作
配給:東映アニメーション
劇場公開日:2021年6月25日

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(C)2021 マンガプロダクションズ

映画レビュー

3.5ウケは悪いだろうけど、出来はいい

2023年11月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

イスラム教、キリスト教、ユダヤ教なんかはもともと同じだったわけだから、同じ神話があることは当然だけど、あまりそんなことは考えないから、ちょっとした驚きがあった。
例えば、私たち日本の多くが「モーセ」と認識している人物の呼び名はたくさんある。そんな差異を見るのが楽しかった。

なんとなくこんな話になるのではないかと、つまり、信仰についての物語になるだろうと想像していたので、幾人かのレビュアーさんが書いているような忌避感はない。むしろ、そこを楽しめなくて何を見るんだというくらい。

まあざっくりと、作中で語られた奇跡と、本作の物語が最後の奇跡なわけで、つまり、ずっと奇跡の話だけをしていたわけだ。
脚色はされていると冒頭に出るけれど、この出来はサウジアラビア王太子も満足したのではないかと思う。

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つとみ

3.0イスラム伝承の合作アニメ

2021年7月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

東映アニメーションとサウジアラビアの会社との合作。
メッカ侵攻への防衛戦をメインストーリーしたアクション映画で、間に3つのイスラム説話が挿入される。説話部分はスライドショーで画風も異なる。

作中で描かれるメッカ侵攻は象を従えた軍団によるもので、コーランにも描かれる紀元前570年ごろ、ビザンツ帝国支配下のエチオピア軍の侵攻と思われる。この時のメッカの指導者は預言者ムハンマドの祖父で、ムハンマド誕生の前日譚ともとれる。
挿入される説話は、ノアの箱舟(旧約聖書)、出エジプト(旧約聖書)、円柱都市イラム(コーラン)。信仰の重要性が解かれ、それぞれ奇跡が起きる。

防衛戦のパートは今どきのアクションで、選抜された戦士による決闘や、集団戦のパートは今どきのアクションになっている。説話の挿入で物語が分断されたり、市民軍の練度が心配になるが、静野監督らしい派手な空撮やアクションも入る。

歴史上、侵攻軍は天然痘の流行で撤退したと言われるが、本作では神の奇跡が大きな役割を果たす。
全体に説話部分の主張が強く、市民軍の戦術が薄いこともあって物語の駆動力が弱く感じるが、イスラームの世界観を感じる作品としては良いのではないか。サウジアラビアでの教育用コンテンツとしても機能しそうである。

敵の将軍アブラハの悪悪しい感じは素敵。イラムの巨人族のデザインがファンタジーSFっぽいのも楽しい。

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A・ガワゴラーク

4.0鑑賞後に湧いてくる様々な考え

2021年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

アラビア出身の友人の勧めで見に行った。見てよかったと思う。映画はアラブの重要な伝承を描いているらしい。ヤマトタケルが何者なのかを他国の人が知る由もないのと同じで、日本生まれの自分にはこの作品の歴史的な背景が分からない。だが、そういう気づきを与えてくれるだけでも価値があった。この物語を文字で読んだら興味を抱くきっかけが得られなかっただろうが、アニメのおかげでかの地の人々の情念に触れられたように感じる。

映画は、象の軍隊を率いるアブラハという軍師と、アブラハに襲撃されたメッカ市民との攻防を描いている。アブラハを検索すると6世紀に実在した人物で、この物語の舞台がイスラム教のはじまる直前だとわかる。だとするとメッカの民が土地の象徴として守ろうとしているカアバ神殿とは何なのか?メッカの人々が自分たちを鼓舞するために旧約聖書の逸話を語るシーンからすると、当時のカアバ神殿ではユダヤの民が信じたと同じ絶対神を奉っていたのだろうか?であればムハンマドの登場によってそれまでの信仰がどう更新されたのか?悪役のアブラハは無神論者のように描かれているが、インターネット上にはクリスチャンであったという解説もある。では絶対神を信じる者同士がなぜ戦ったのか?現代社会に巨大な影響を及ぼしている預言者の伝統文化を自分は何も知らないということを痛感する。

民族の危機に際して神の御業を待望する感情は、神風の思想で多くの若者の命を失った日本国民にとっては思い出したくないものだ。この映画にはそういう感情のうねりが強くある。それは日本では明らかに敬遠される類のものだが、それを避けたら物語の軸がなくなってしまう。敵の奴隷にされるか、それとも神あるいは超越的な何かを信じて命がけで戦うか、そういう心情で生きている人々が今も世界各地にいる。見たくないものは見ないというのでは平和主義は成立しないだろう。映画を見終えて、自分の環境についてそう考えた。

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3V

3.0日本製異国アニメ

2021年6月29日
iPhoneアプリから投稿

突っ込み出したら止まらないので「制作側はこういう考えを持っているんだな」で流した。ちょっと昭和風の作画と豪華声優陣の演技は素晴らしかったです。

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共感した! 22件)
たこまゆ

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