茜色に焼かれるのレビュー・感想・評価
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カラマーゾフの兄弟
個人評価:4.0
剥き出しの感情を書き殴った様な物語。
尾野真知子の演技が心に沁みる。
まるでカラマーゾフの兄弟のお話の様に、神なんてこの世にいないという様などん底の不幸。
息子役の男の子の演技がとてもよく、この物語の雰囲気を作っていると感じた。
石井裕也作品で1番好きな映画だった。
この監督の映画は映画レベルではない
この監督の映画は2本観たが、映画レベルではない。テレビドラマレベルだ。とってつけたようなセリフ、奇妙、奇天烈なキャラクター。結局、女優を起用して人肌脱がせたら、それで客がつかめる、という程度の話題性でなんとかやっていけてるだけ。
オダギリジョーがちょい役でも、出たかったの!?
尾野真千子は、河瀨直美監督の作品と見比べてみたら…。
映画撮ってるよ的な、映画が一番質が悪い。まだ、完全に現実離れしたエンタメ映画のほうがはるかにまし。こういう、エセ映画を売り出すのは本当にやめて欲しい。
観て5分でわかる、チープな映画。
尾野真千子が圧巻でした
ずっと見たかった作品をようやく見れました。
やっぱり見るべき作品でした。
世の中は弱者にはとことん冷たく、
毎日不条理を押し付けられ
底辺を必死にもがきながら生きている人たち。
田中親子もさることながら、ケイちゃん、風俗店店長みんないい味だしてました。
中学生の純平を演じた和田庵くん、思春期の難しい不安定な状態を演じ切っていてお見事でした。
そして、この作品、田中良子役は
尾野真千子さん以外は考えられないと言えると思います。
居酒屋で自分の溜まりに溜まった胸の内をケイちゃんに打ち明ける長台詞の泣きの芝居は最高でした。
ケイちゃんこと、今注目株の片山友希さんも
あの薄幸出しまくりの容姿もそうですが、
とてもキュートな一面もあり、いいお芝居されてました。
永瀬正敏さんは当たり前なので何も言いませんが何だってできるんですから。あんな風俗店店長いますよね。
でも陰の立役者はなんといってもオダギリジョーだと思うんです。セリフも特になく、ほんの一瞬の出演シーンなのに、あれだけのキャラ付けとどういう人間だったかわかるってすごいです。
そして、同じ母親として思うのが
大好きな人がいなくなったとしても、
その血を受け継いでいる男の子がいるって
本当に嬉しいことだと思うんです。
読書好きで正義感が強く、母ちゃんと父ちゃんを理解しようと努力してる…そんな息子が誇らしいんですよね。彼がいるから自分も生きていけるんです。
そんな田中親子にエールを送りたくなりました。
純平は母ちゃんを守るきっといい男になるね。
勝手ながら、、、の評価です
石井監督のカメラワーク、尾野真千子、片山友希、永瀬正敏らの演技。とても良かったです。ただ、脚本が良くない。なんだか詰め込み過ぎでリアリティに欠けるところが多く、雑に見えてしまうのが、とても勿体ない。
ついでにいうと、作品名を象徴的に印象づけるラストシーン。あそこはなんとかロケにして欲しかった・・・
結局の所、時間との勝負で作った映画なりになってしまったという印象があります。
社会に立ち向かい、まっすぐな母の姿を見て育つこと
強くて真っ直ぐなその主人公は強い目をしていた。
まさに尾野真知子のためのような作品だ。
愛する夫を理不尽に亡くし、1人で子供を育てるだけでも大変なことだが、夫の父親の介護費用から愛人の子供のための養育費まで、工面するために風俗でも働く。
息子もまた、その母の姿や姿勢をきちんと受け取って、とんでもなく真っ直ぐに育っていた。
この映画を観たら、母として子供に見せるべきことは何なのか、自分を守るとはどういうことなのか、思わず顧みることになるだろう。
最後まで涙が止まらなかった。
ちょいちょいリアリティにかける
役者もいいし、脚本もいいと思うが、ちょいちょいリアリティにかけるのが冷める。
まず地域の設定。途中で渋谷が出てくるし、自動車事故の感じだと東京。ただ東京近郊だったら近所で風俗はないよね。あと、ホームセンターから歩いて帰る描写出てくるけど、地方であれはありえない。どこやねんここ、というのが頭から離れなかった。
最後のほうの、弁護士が…という箇所。誰の弁護をするのかがわからず。普通だと、あれはやくざ側が訴えられる以外ないんだけどね。
母ちゃんは、負けない、と言うけれど!
2021年。石井裕也・監督・脚本・編集。
力強くメッセージ性のある映画でした。胸撃たれました。
コロナ禍で居場所を失い貧しさに拍車のかかる人々。
田中良子と息子の純平(和田庵)の悪戦苦闘の日々が描かれます。
母親を演じた尾野真千子は、「山路ふみこ映画賞」女優賞を受賞した。
「死ぬ気でやる」と石井監督に告げた尾野真千子。
すごい熱量、迫力。
多面性を持つ母親・田中良子(リョーコ)を表現豊かに演じ切りました。
リョーコは7年前に夫(オダギリジョー)を、交通事故で亡くした。
暴走してブレーキとアクセルを踏み間違えた運転者は、アルツハイマーの老人で、
元官僚の上級国民だった。
特異なのは良子が保険金を全く受け取らなかったこと。
映画はその交通死亡事故を起こした老人の、
盛大な葬儀に田中良子が参列したシーンを写す。
「あなたが現れるなんて、嫌がらせではないですか?」
「なんなら、警察を呼ぶ選択肢もあるんですよ」
加害者の息子(鶴見慎吾)の言い草だ。
リョーコは夫を殺した老人の顔を心に刻みたいだけだ。
(私は加害者の家族にも重大な過失と責任があると思う。)
誰もが「池袋暴走事件」を連想すると思います。
多分石井裕也監督がこの映画を撮るキッカケは「池袋暴走事件」だったと思います。
理不尽な社会で、シングルマザーは虫けら。
夫のいない女の立場は弱い。
一番最初に切られるのは弱者。
リョーコと純平そしてケイちゃん(片山友希)に
《世の中の理不尽と不条理》が襲いかかる。
ケイちゃんは生まれつきの糖尿病の風俗嬢で、父親から性的虐待を受け続けていた。
リョーコの経営していたカフェはコロナ禍で傾き、
花屋のバイトでは生計をたてられずに、夜は風俗で働いている。
義父が脳梗塞で倒れて、施設費用のうち10万円を負担しているし、
夫が浮気して生ませた娘の養育費6万円も負担している。
花屋の時間給・・・・930円。
風俗の時間給・・・3200円×6時間=19,200円。
(風俗店での描写は赤裸々です。客が風俗嬢をいかに見下すか?よく分かる。)
…………俺を喜ばせないなら、高い金払ってんだから、責任とって、死ね!!………………
風俗は男たちのストレスの捌け口。
そんな3Kの職場でケイちゃんは職業病に罹患する。
市営団地の家賃・・・・27,000円。
これを純平の中学校の友達が、
「税金をかすめてる」と言う。
公営住宅の住民はそんな蔑みの目でみられるのか?
…………まったく思ってもみなかった…………………
観てて一番、辛かったのは純平が友達に虐められるシーン。
今の子ってこんなに荒んでるの?
病んでいるの?
弱者をいたぶる描写に慄然とする。
友達の行動は辛くて書けないし、ネタバレでも書けない事件もある。
上級国民がずる賢く、
「すみません」と謝る言葉を知らない。
リョウコはただ一言、「すみません。申し訳ない」が聞きたかった。
上級国民は下級国民に頭を下げて謝らない。
夫(オダギリジョー)の口癖は、
『TOPのTOPをとってやるぞ!!』
…………純平はその可能性を秘めている……………
(嬉しそうに空を見上げて笑う尾野真千子が可愛い)
ピアノ曲がいつも優しく寄り添うように流れる。
風俗店店長の永瀬正敏。
清濁併せ呑む人間。
夫(オダギリジョー)も清濁併せ呑むひとり。
(好きだなぁ)
世の中の《不条理》にめげず、信念を貫く《田中良子》が見る茜色の空。
母ちゃんを世界一と思ってる純平のひと言・・・・
2人で並んで歩くだけで母ちゃんも純平も・・十分シアワセだ。
どんなに理不尽な世の中でも、生きて、生きて、生き抜いて、
リョーコは希望の種を蒔く。
一粒の希望でも、希望は希望だ。
過去鑑賞
3年前の実際の交通事故を思わせるような冒頭の事故。良子が加害者の...
3年前の実際の交通事故を思わせるような冒頭の事故。良子が加害者の葬儀に行くのは確かに何故?とも思うが、あの加害者家族の良子に対する対応は酷すぎないか?弁護士も。良子が被害者家族でありながら何故あんな酷い対応をされるのか、、、加害者側には反省の気持ちも無いように思える。映画の中で良子が言う。一度も謝ってもらっていない。最低な家族だな。
この映画では観ていて腹の立つ最低な人間は他にも。息子淳平の先輩たち。あんなに心無い言葉をわざわざ言う必要はないでは無いか。中学3年にもなってそんなこともわからないのか、最後は立派な放火犯だ。
それともう1人、良子の夫のバンド仲間のリーダー。息子の前で良子にお金の話をしたり、俺が面倒みようかとか。良子に相手にされないと今度は良子の旦那の浮気相手に同じようなことを言って言いよる。最低な男。
良子の夜のバイト先の店長だけが唯一マトモな男性でしたね。
とにかく辛い状況なのに、まあ、頑張りましょう〜と口癖のように呟きながら生きる良子とバイト仲間のケイさんもまた辛い過去を持ちながら病気と闘い,必死に生きている。もう2人が健気で観ていて辛くなってしまう。
尾野真知子の演技力といい、ストーリーもとても良い素晴らしい作品なのに、こんな映画が何故日本アカデミー賞にノミネートもされないのか、、、(「空白」もノミネートされていなかったのは不思議)2021年の邦画の代表的な作品である。
シャー
不幸や劣化をサンプリングしてパッチワークのように嵌め込む。表層的で記号の羅列。風俗を屈辱に耐える仕事と呼び、見下されているって、作家自身が見下している。弁護士を見下し、学校を見下し、性欲を見下し、人間を見下している。ホームセンターの糞店員の変な歩き方、運動神経悪くて悪かったか?それ見て腹抱えていた類か?作り手と放火犯中学生と変わらん。
熊木はそこまで悪いとも思えん。天誅喰らわせるならば前田亜季を拐かす芹澤興人にして欲しかった。アウトローにつるむ話の流れもついてけない。必殺シリーズであれば割り切るのだが。
「まあ、がんばりましょう」
高齢者ドライバー、コロナ禍、貧困、いじめ、DV。
いろんな社会問題や、いろんな話を一つにまとめたストーリー。
そんな印象を受けました。なんか、盛り込みすぎじゃないでしょうか?
じっくりとていねいに作ったという感じがしませんね。
それに、問題を投げかけるだけで終わってしまっているので、
もやもやが残ります。
風俗で働く主人公(母)のお金の使い道も納得がいかない。
義理の父のために、というのはわからなくもないですが、
亡き夫の愛人のために、というのは無理がありすぎじゃないですか?
尾野さんの熱演がもったいない気がしました。
がんばってる人に一番使ってはいけない言葉が「がんばろう」だと
思うのですが、「まあ、がんばりましょう」というセリフの意図は???
ますますもやもやだなあw
・開始2分くらいで事故死してしまうオダギリジョーの扱いが酷い。 ・...
・開始2分くらいで事故死してしまうオダギリジョーの扱いが酷い。
・そのオダギリジョーの妻と愛人に下心丸出しで迫るバンド仲間が気持ち悪い。
・尾野真千子の中学の同級生の男、妻と子どもがいたことを黙っていたとはいえ、ぼこぼこにやられてヤクザに売り飛ばされるほど悪いことをしただろうか?
見ず知らずの片山友希にいきなり殴り蹴られて、「誰だよ?」ってなっているのが笑えた。
・息子をいじめ、放火までした悪ガキどもが結局最後までお咎めなしというのはすっきりしない。
・一人劇「神様」はとんだ茶番。
作品に出てきたキーワードが散りばめられているけれども、何のためにあのシーンを入れたのかさっぱり分からない。
石井裕也イズムにあふれた人生賛歌
ようやく観られた。いつものことながら、タイトルやあらすじだけでは到底判断できない、意外な展開に巻き込まれる。
単純なドラマではない。ベタなメロドラマでもお泣かせ作品でも、もちろんない。
登場人物の肩書きや状況だけを一瞥すれば、それらはとてもシリアスなものなのに、なぜか作品からは一貫してあたたかさが感じられる。
主人公の良子がつぶやく「私にもわからない」という言葉。この言葉の重みを感じた。生きていくということは、つまりそういうことなのだろう。
これが映画であり、人生の縮図。石井裕也イズムにあふれた、異色の人生讃歌だ。
融合なき分断
世の不条理を受け入れて淡々と闘うヒロインが、関わる人々に触発されて感情を爆発させる。分断される彼女が分断する側にまわる事が物語に深みを与えている。中庸を行くって難しいなぁ。
尾野真千子さんの根なし草感が、茜色に焼かれるヒロインを体現している。
救われない、が。
池袋の例の事故を思い出した。絶対あれモデルだろ。まぁあっちは最後には認めて謝罪したけど。ほんと、いつ死んでもおかしくないくらい追い詰められ、怒るべき相手に怒れず、それはそれは限界だったでしょう。でもその怒りをやっとぶつけられた時、気づいたら共感してくれる人たちがいた。その人達と、何よりも息子がいたから、生きれた。最後に少しだけ救われた。息子の未来に期待。
尾野真千子の熱演光る佳作
コロナ禍の世界になって約2年となるが、「コロナ禍の中で生活する人々を描いた映画」として記憶されるような作品だった。
まさに、コロナ禍の現代、観るべき映画にみえた。
ロケ地(渋谷など)で映る一般人を含めて出演者たちもマスクをしたり、手を消毒したりするシーンなどが、普通に切り取られている。特に、「マスクしている時の目線」を描いたシーンでは映像の下端にマスクらしきものが映っているのは斬新な演出。
石井裕也監督作品だが、やはり尾野真千子の熱演が光る。
高齢男性が運転する車が自転車に乗る男(オダギリジョー)を轢いてしまって、自転車の男は死亡。車を運転していたのは高齢男性で元高級官僚であり逮捕もされない……というのは池袋交通事故を想起させる。
交通事故から[七年後]から、夫を亡くした妻の良子(尾野真千子)と中学生の息子、良子の花屋パート先~風俗店の店長(永瀬正敏)や若い同僚(片山友季)、良子の学生時代の男友達などとのドラマが紡がれていく…。
物語の詳細は割愛するが、渋谷センター街でロケしたかと思えば、荒川の土手(戸田市側)でのロケなどが印象的。
尾野真千子が何回か言う「まぁ、頑張りましょう…」という言葉に背中を押される感じがする見事な映画であった。
<映倫No.122561>
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