かげを拾う

かげを拾う

解説

特集上映「映像作家・小森はるか作品集 2011-2020」(東京・ポレポレ東中野=2021年3月6~19日ほか)で上映。

2021年製作/日本

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  • 青野文昭

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(C)KOMORI HARUKA

映画レビュー

3.5無音処理でカモメの群れのカット

2022年5月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 浜辺で何かを拾う人。清掃でないことは、すぐ分かる。空き缶とか、ゴミのようなものも拾っているのだが、パイロン(赤いカラーコーン)の切れ端を見て喜んだり、鶏の頭部の骨を、壊れないようにプラスチック容器(これも拾ったもの)に入れる。主人公は、拾ったものや、それを修理したもので作品を作る、仙台市八木山のアーチストなのだ。箪笥やテーブルなんかを使った、けっこう大きな作品もある。かつての神社と朝鮮学校の跡地を散策する場面で、泥だらけのパイロンを見つけ、あれイタダキだな、と嬉しそう云うのには笑った。

 中盤で、唐突に主人公の妻が車を運転するシーンに切り換わる。彼女の実家の跡地を散策し、うすれた記憶を呼び戻して、震災前の町の様子を紹介する。宮古市の鍬ヶ崎。港と防潮堤の前にたたずみ、近くの学校からのものだろうか、17時の音楽に聞き入る。そして、こゝに、無音処理でカモメの群れのカット、震災直後の宮古の港の風景が挿入されるのだ。このセンス。

 終盤では、アーチストの制作の全体像がある程度見えて来る。展示された成果物の数々を見ると、凄い作品なのだ。奥さんが、展示物一つ一つに消臭剤をかけて歩く。面白い!

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ゑぎ

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