偶然と想像のレビュー・感想・評価
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あの小説は読んでみたい
演劇的シチュエーション
言葉の棘があちこちに突起していて普段からキツい言葉に慣れていなければ攻撃力の強さにメンタルがやられてしまう可能性アリ
場面展開が必要最低限なので生の舞台で観た方がもっと没入感を感じられるかも知れない
3作共小説を読んでるかの様な会話劇が繰り広げられる
2作目のメルアドのタイプミス、3作目の宅急便の伝票の氏名共、非常に見え難かった 多分キモになる様なポイントだから画作りに工夫が欲しい
期待していた程ではないのが悲しい・・・
ファンタジーが成り立つところ
濱口竜介監督の作品は2作目。
東京芸術大学出身というのが気になってる。
今回の映画は、棒読みぽい台詞の流れに小津安二郎を連想させたり、ドライブマイカーのチエホフを思い出させた。多分、監督自身が信じている世界であることを感じる。
パンフレットに、エリックロメールの名を見て、然もありなんとやけに合点がいった。
日本語理解不能の人が「偶然と想像」を字幕で理解する感覚は、私が見たエリックロメールの映画に通ずると。
(けど、ロメールの方がもっと生っぽさがあった・・)
個人的には、「第3話もう一度」の話が良かった。互いの「もう一度」の再会を脱構築する展開は、とても楽しい。
果たして、初対面の相手(同性)に、私はあそこまで、心を開くだろうか? けど、開いたら(拓いたら)きっと世界は楽しくなる。
パンフレットの表紙に「wheel of fortune and fantasy」を見るに、想像=ファンタジーなんだということにたどり着く。
意味の世界は、それぞれ個々の人間の脳内で形になる。
そもそも、映画はそのようにできているのだ。
ひとつ、世界がより幸せになる映画の手法を目撃した。
色々とこちらの意表をついてきて
偶然の怖さと人間の本性
恐らく本年最後の映画鑑賞になるでしょう。タイトルは「偶然と想像」。最近の作品では「ドライブ・マイ・カー」がよく知られている濱口竜介の最新作で、短編3本からなります。この後に4本分の短編集を制作して完成らしい。「このままいくと、最悪の結果になるかも…」と言う不安をかき立てながら、最終的には軟着陸すると言うお話。
1本目は古川琴音演じるモデルとヘアメイク、モデルの元彼という構成。2本目は芥川賞を受賞した大学教授と、彼にハニートラップを仕掛けようとする学生(ただし人妻で子供あり。同じゼミの学生とちょっと不倫中)のお話。3本目は仙台に高校の同窓会で帰郷した女性と、たまたま駅で出会った同級生と思しき女性の一時の出会い。ほんのちょっとの偶然が思わぬ事態を引き起こす。車中や家、大学研究室などの閉じられた空間の中で言葉を重ね、それが時にこれまでひた隠しにしてきた本性を浮かび上がらせたりもする。
登場人物たちが胸に秘めたもの、ちょっとした嘘が、これまで大切にしてきた人との関係性を壊してしまうかもしれない、そんな危うさが日常に転がっていることを痛感せずにはいられない。それは少し前に観た「ドライブ・マイ・カー」と通じているところでしょう。
この作品は上映館も少ないけれど、何故か2室で日に7回も上映している。昨日は午後3回目の上映で観たが、ほぼ満席で若い人も多い。特に宣伝がされているというわけではないのに、良い作品については、口コミでその良さが広まるということか。
映画の可能性
今年見納め映画。
なんとまぁ、満席だった、とはいえ、一つ空きなのだが、この映画館で満席は久しぶりの事で、さすが御用納めとビックリしたのと、話題性もあるのか?と思った。
色々な偶然とそれぞれの想像が織りなすという画像作りは、非常に面白く映画の可能性を感じたし、映画って改めて、奥深く、そしてこういう映画は好きだなぁ🥰
で、私は3話が好き。何てったって笑いがあった。へー、そんな勘違いが今時あるのか〜、と思いながらも、全く偶然に関わった人と、あんな風に時間や思いを共有出来たのなら その一瞬の人生は楽しそうだし、しばらく幸せな気持ちでいられそうだ。私も欲しいな、そんな偶然。
アヤ役の役者が断然光る。声とその佇まい、ものすごく自然で日々の生活を 少しのクエスチョンを持ちながらもキチンと暮らしている感じを演じていたのがとても良かった。
俳優の力が試される会話劇
偶然がもたらす予想外の展開を楽しめた。
タイトルなし(ネタバレ)
「魔法」
途中の不快感は相当なものだったが、後半はソコソコ魅せてくれた。
「戸は開けたままで」
これは逆に途中までは面白いのにラストが不快。
「もう一度」
あれだけ付き合いのあった相手を20年ぶりに会ったからといって間違えるっていう設定に納得できないんだよね。
とはいえ、全体的にはソコソコ面白かった。
3話とも好きで3話がやっぱり好き
『ドライブ・マイ・カー』以上に好きな映画になった。セリフを聴いているのが楽しい。機械翻訳を通したみたいな硬いセリフの応酬もあれば、本当にリアルに今の日本で交わされている会話みたいなやりとりもある。おざなりに配置されたセリフが一つもないと思った。
1話は友達同士の恋バナのしゃべり方がものすごくリアルだった。特に古川琴音さん天才的。元カレ相手になると、妖精みたいな可憐な声でキッツいこと言うので、お好きな方はたまらないやつでは。知らんけど。青山トンネルや渋谷駅前のデッキの風景がナイスマッチ。
2話は一番笑ったかも。棒読みと相性のいい脚本。森郁月さんって初めて見たけど、初めて見たせいもあるのか、本当に主婦で子どもがいて大学に入り直したけど周囲になじめていない人に見えた。渋川清彦さんは、この人こそカメレオン俳優。
3話はストレートにいい話だった。二人の人生を祝福するみたいに、光あふれ、開放的で、緑たっぷりの画面が多くて、とてもいい気持ちになる。エスカレーター、いい使い方。
居心地のわるい渋谷で見る罠
村上春樹の短編集のような趣向
まさしくタイトルどおり、いずれも「偶然」を発端に、そこから発展する物語を「想像」したような、3つの短編からなる濱口竜介脚本監督作品。
共通するテーマは「性愛」と「心の穴」といったところか。「ドライブ・マイ・カー」以上に、村上春樹の短編集のような趣向が感じられた。
冒頭第1話のタクシー内のシーンから、延々と会話が続く。いわゆる濱口メソッドで、役者にテキストを染み込ませていったのだろう。玄理がとても自然で上手い。
第2話の二人の会話は固いが、小説の朗読がこの作品でも面白い。スリリングだか、結末は苦い。
第3話は、さすがにあり得ないだろうと思いつつ、もしあったら、という想像力が最も感じられた。占部房子と河井青葉の達者さと相まって、ユーモラスで後味が良い。
エリック・ロメールにならって、これからも連作短編を企画しているそうなので、次回作も楽しみに待ちたい。
やっぱり、基本的に、浜口監督が苦手なんだと思う。
いや、「寝ても覚めても」が私的には最低ランクだったと言うのもあり。
概念構成力と知性は別物。明確な答えなど無い問いに対して、何を見せてくれるのかは知性に拠り。物事の本質を見抜き、端的に簡単な言葉で説明するには、概念構成力の高さが要る。
なんか。どちらでも無くって。
会話劇で、これは辛かったです。
1話目は、若い人の恋愛なんで、割と面白かったですし、フェイクは効きました。
2話目が絶望的かも。いや、状況からは「概念化した会話」を期待する場面で、ただ婉曲化しただけの言葉のやり取りからの「直接的行為(自慰)」ってのが。
3話目は好きでした。この辺りが、浜口監督の身の丈じゃないかなぁ、って思いました。
シューマンのピアノ曲は、この映画内容にも合っていると思いました。曲が、っていうより、ロベルト・シューマンと言う選択が。
三種三様の『偶然にもたらされた運命の出会い』を描く大人向けのストーリー
監督はドライブ・マイ・カーの濱口竜介氏。
この映画は三編の短編作品によって構成されており、
①現カノのヘアメイク×元カノのモデル×実業家の青年
②芥川賞作家×ビッチ主婦×主婦とセフレのゼミ生青年
③かつて同級生同士だった女性二人
…という内容。
なお、この三作同士の関連性は(多分)ないようです。
多分演出なんでしょうが、①と②がかなりに棒読みな箇所があるため、この辺が許せんという方は全般的に苦痛に感じる作品だと思います。
ただ、話の展開自体はなかなか面白いです。特に②の作家→ビッチ主婦の評価のシーンや③の本当の関係性は そう来たか としてやられた感を感じます。
ざっくり言うと、三種三様の『偶然にもたらされた運命の出会い』を描く、大人向けのラブストーリーですね。
②は多分ラブストーリーと言っても過言では無いでしょう。上級者向けですが。
提供された偶然について観る者が想像する映画?
日常の中に大切な何かがあることが分かる映画
12/25、香川県高松市にある「ソレイユ」で鑑賞しました。短編集が3話ある映画です。
第1話(魔法)が圧巻でした。
モデルの芽衣子(古川琴音)がヘアメイクのつぐみ(玄理)から最近の恋愛話を聞いて、出会った彼氏の元カノが自分だと分かり、ドロドロとした人間関係が引き起こされるのかと思い観ていると、最後に芽衣子からそれを言っちゃおしまいというような強烈な発言が。。。しかし、濱口監督が温かい配慮をしてくれ、常識的な展開となり事なきを得ました。監督、ありがとうございました。
第2話(扉は開けたままで)は、森郁月さんの凛とした演技が光っていました。
第3話(もう一度)は、人は多かれ少なかれ、あの時言えなかったこと又は言い過ぎてしまったことなどの悔いを持っています。私自身もそのような感情を持っています。今作では言えなかったことの物語ですが、その時、言えなかったことを言いあうことで、癒し合うという映画です。占部房子さんと河井青葉さんが素晴らしい演技をしていました。私自身も込み上げてくるものがあり、目に涙を浮かべました。
この映画は、若い方からお年を召した方まで愉しめる映画ですので、時間の許す方は、是非、ご覧になってみてください。
素晴らしい映画を製作してくれた監督と映画会社、そして上映してくれた映画館に対し深く感謝いたします。ありがとうございました。
偶然と想像という名のシチュエーションドラマ
1 オリジナル脚本による3話のオムニバス。
2 一話は、男女3人の恋愛模様の行方を描く。場面が車内、オフィス、カフェと移りながら3人の人間関係が明らかになっていく。言葉の丁々発止のテンポが演劇的であり、オチの持って行き方がコント風。偶然の設定が作り過ぎの感あり。
3 2話は、軽薄の学生と主婦が仕掛けた陥穽の結末を描く。陥穽を仕掛けた訳やその内容は、不道徳であり、結果責任のとり方がアンバランスであるが、罠の仕掛けどころの描写は鮮やかでエロい。一方で、仕掛けられた人の脇の甘さと棒読みの台詞回しが残念な人そのものであった。
4 3話は、旧友との偶然の再会と真実を描く。会話の中から互いの生活ぶりや心の中が引き出されていく。そのうち話しが噛み合わなくなり、宅急便の登場で、二人の関係の様相が変わっていく。
5 濱口は、全編を通じ、「もしも〇〇だったら」という状況のもとで、人間関係の様相や人の心の深淵、感情に左右される人の姿を会話劇を通じて手際よく創っていた。1話がシリアスタッチのコメディに感じ、2話が起承転結のある短編小説の雰囲気、3話が映画の題名どおり偶然と想像に満ちていた。
迷い道
下調べもなくまっさらで映画と向き合った時、映画の快感は訪れる。
そんな状態が本当に好きです。
この3本の短編。それぞれに愛と復讐・エロティシズムと状況(いかにも現代風な)・過去との向き合い方(諦念と希望)等々・・ 私ごときが言葉にすると陳腐かもしれないですが、とても心地よい時間を送らせていただきました。
そこで思ったのは、それぞれに登場人物たちがこの困難な時代において、今を必死に生きているその躍動をびんびん心に感じたことです。
「人生」は偶然や必然で回っているけれど、それがあるから面白いともいえる。
道連れ殺人や自死を選ばない、選べない自由をもっとすべての人が謳歌してほしい。(今の閉塞感はあってもです・・)この映画の真の醍醐味に気づいてほしい。今はとてもすがすがしくそう思っています。
ありがとう濱口監督。
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