劇場公開日 2021年12月17日

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「村上春樹の短編集のような趣向」偶然と想像 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5村上春樹の短編集のような趣向

2021年12月27日
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鑑賞方法:映画館

まさしくタイトルどおり、いずれも「偶然」を発端に、そこから発展する物語を「想像」したような、3つの短編からなる濱口竜介脚本監督作品。
共通するテーマは「性愛」と「心の穴」といったところか。「ドライブ・マイ・カー」以上に、村上春樹の短編集のような趣向が感じられた。
冒頭第1話のタクシー内のシーンから、延々と会話が続く。いわゆる濱口メソッドで、役者にテキストを染み込ませていったのだろう。玄理がとても自然で上手い。
第2話の二人の会話は固いが、小説の朗読がこの作品でも面白い。スリリングだか、結末は苦い。
第3話は、さすがにあり得ないだろうと思いつつ、もしあったら、という想像力が最も感じられた。占部房子と河井青葉の達者さと相まって、ユーモラスで後味が良い。
エリック・ロメールにならって、これからも連作短編を企画しているそうなので、次回作も楽しみに待ちたい。

山の手ロック