「ありのままの現実に驚嘆。」SNS 少女たちの10日間 かぐやぷりん。さんの映画レビュー(感想・評価)
ありのままの現実に驚嘆。
とても衝撃的かつ興味深い作品でした。
幼い顔立ちの成人女性が未成年で12歳という設定のもと、SNS登録をすると一体どのような事が起こるのか10日間に渡り検証したドキュメンタリー。
序盤から容赦なく卑猥な誘いを仕掛けてくる男たち。はじめは相手が"12歳の少女"という自分よりも年下ということに欲情し、性的欲求を満たしていく様子がなんとも不快であったが、中盤、後半は性欲だけではない、支配欲に駆られエスカレートしていく男たちの要求に不快指数はさらに上がっていく。
そこには思春期に突入したばかりの年齢を巧妙に利用し、上手く断ることができない少女たちの心理を上手くついているところに怖さを覚えた。何せこれはあくまで検証であり、実際は成人女性が12歳の少女に成りきっている演技なのだから。
本作はチェコで起きているSNSを利用した社会問題を提起している。鑑賞中疑問に思ったこともあり、チェコでは手軽にネットの中の相手とビデオ通話をするものなのかということだ。これが日本ではどうだろうか、見えない相手とやり取りを繰り返し、ある程度の信用のある人と認識はしていても、顔を出すことには抵抗があるのではないだろうか。作中は主に通話を通して展開されていくので、そもそも…。というところはあるが、問題はそこではない。12歳という年齢にインターネットという環境を与えるとどうしても好奇心が勝ってしまう。初めてやり取りした相手が本作のような卑劣な人間たちだと、その子たちがどんな精神的なダメージを負うか想像もできない。「問題はサービス提供者が制御しないことだ。」と作中の台詞が核心をついている。
しかし、悪い人ばかりでは無いのも事実。看護学生の青年とのやり取りには心底安堵したところ。まともな考えを持った善人も一定数必ず居て、思わず涙を流す描写にこの撮影の過酷さを伺うことが出来る。
本作はR15+指定。正直なところ、今の中高生に鑑賞してネットに対する危険性を学んで欲しい作品ではあるが、撮影、検証したありのままを映し出しているため厳しい描写などが多々ある。だがそれでも、現実で起きている性的虐待や性犯罪と向き合って欲しい。そうすることで自身だけでなく周りの大切な人を守り、安全なインターネットの活用が構築できるのではないだろうか。