クライ・マッチョのレビュー・感想・評価
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少年と心を通わせる作品
クリント・イーストウッドの静かなドラマだった。
自分の中ではアクションの印象が強い俳優だが、
決して飽きさせる事なく、十分に見応えのある作品。
50年撮り続けたからこそ為せる技、その見事さが余韻に
「クリント・イーストウッド、いい歳の取り方してるな…」とずっと思って観てた。漠然と日々を過ごしているのだけど、その中にある歳の取り方に愛嬌があって凄く心地良かった。
何かこう、永く映画を撮ってきた人の悟りを観たというか、説得力というか。晩年と言うと怒られそうだが、若さに勝るものを知っている人だと感じた。まだまだ…!と聞こえてきそうな邦画の監督さんには無い視点。器の大きさが滲んでいるし、映ることの意味を知っているからこその趣きがある。途中寝ちゃったのに満足感は高い。寝たのは自分が悪いけど。笑
クリント・イーストウッド監督はまだ冒険を続けるつもりなんだろうし、良い映画を撮りたいとする風格は伝わる。同時に滲む、感受性の豊かさが渇いたメキシコに息づいている。カウボーイとしてのカッコよさもあり、届かない風貌も兼ね備える。マッチョの抱く強さを否定せず、こういう形の強さもあるのだと忍ばせる。そこが何とも粋というか、達者というか。その代わり、場面の因果は少ない。割とプラスに働いていたのがまた面白い。
器用さとブレない強さ。50年も最前線に立ち、カメラを通して自分を写してきた人だからこそ醸成された価値観。見事だなぁ…。
『マークスマン』と期せずして師弟競作となった一作。
メキシコに住んでいた少年を米国に移送する男の物語…、って、最近どこかで似たような話があったような?と思ったら、リーアム・ニーソン主演『マークスマン』がそうでした。『マークスマン』の監督、ロバート・ローレンツはイーストウッドと繋がりが深いようで(ローレンツ監督の初監督作品『人生の特等席』(2012)はイーストウッド主演)、なんでここまで企画が被ったのかなー、あえて同じような筋の映画を作って、師弟競作を打ち出そうとしたのかなー、と思ってました。実際は単なる偶然らしく、『クライ・マッチョ』の方は1991年には撮影を開始しているので、なんと30年越しの企画ということになります。その後出演俳優の問題などで長らく撮影は中断。2020年に入って撮影を再開したけど、さすが早撮りの名手イーストウッド、元々短い撮影期間を、予定より早く終わらせたようです。
イーストウッド監督は「あらすじ聞いただけではどう面白くなるのか見当もつかない」話を、現代的な問題意識を取り込みつつ超絶面白い映画に仕上げる名手で、その手腕は本作でも健在。
『マークスマン』のように派手な銃撃戦もないし、ロデオの名手という設定だけどほとんどロデオのシーンがないにもかかわらず、最後まで牽引力を失わない語り口はさすがです。ただメキシコで特に意味もなく女性がイーストウッドに色目を使ったりと、ちょっと(今まで以上に)イーストウッド監督の願望を反映しすぎでは…、と思うところもちらほら。『グラン・トリノ』(2008)で俳優としての自らを総決算したんじゃないんかーい、と思わなくもないけど、お元気である限り「イーストウッド」は決して手放さないんでしょうねー。次回はドリトル先生役かな?
「マッチョ(男らしさ)」を題名に据えているわけだから、男性性の問題について何らかの相対化や批判が込められているのかな、と思ったら、そんな形而上学的な問いには特に触れず、実に意外な用法。
米国のマチスモ神話はCイーストウッドの老いとともに終焉を迎える
流石のイーストウッド監督と鑑賞後にため息をつかざるを得ない作品。老いてなお、そのありのままの姿をスクリーンに表現するマジックをまざまざと見せつけてくれる。
ロードムービーとしての画の美しさ。
Cミュージックの調べにあわせ、古き良きアメリカを彷彿とさせつつ、自らの老いゆく姿に米国の繁栄時代の終わりを重ねあわせる。
そこには決してトランプ前大統領が唱える「復活」の希望なぞなく、だがしかし悲観一辺倒の「絶望」ではない。
マッチョ(チキンではないw)や馬等生き物との共生のさまは、人間中心主義の自然から隔離された都市生活やその先に描かれた「気候正義」へのアンチテーゼか。
観るものを選ぶ作品。すべての観客に支持されるものはない。映画って、それでいいと思う。
ヒーローは雄鶏
この映画ではクリントイーストウッド演ずるマイクのちょっとしたロデオや応戦シーンがあるものの、演出は抑え目でストーリーは淡々と進んでいく。これはマイクと少年との心あたたまる交流を主体とした映画だからなのだろう。ラストも普通に終わってしまった感じがしたが、二人とも収まるところへ収まったので、まあこれでいいかと思った。そして二人の女主人に比べて孫娘たちの可愛さが印象的な映画だった。これでラストと言わず次回のイーストウッド95歳主演の映画を見てみたい。
91歳すごい!
クリント・イーストウッドは昔から大好きです!
しかし、しかーし、流石にもう無理があります。
ストーリーうんぬんより、
映画の出来上がりうんぬんより、
あ〜、歳取っちゃったなぁ~みたいな感覚でずっと見ちゃいました。
古き良き時代の米国版フーテンの寅さん・・・かな?
クリントイーストウッドの世界観、人生観を端的に見せてくれる映画です。
押しつけがましくなく、背中で見せる。
いくつかの伏線も見事に回収されていました♪
原作は1975年の小説だとか、だから上記のコメントタイトルを思いつきました。
イーストウッドだから成立する映画ですね
一言で言うと、クリント・イーストウッドの映画ですね。イーストウッドが監督と主演を担当するから作られたのだろうし、彼が主演じゃなければ面白さが半減してしまうかもしれない。そのくらいイーストウッド頼みの映画だと思います。
まず古くさいんですよ。この作品の舞台は1980年のメキシコと40年以上も前ですし、イーストウッドが演じるマイクが元ロデオのスターという設定も古いです。テーマ自体は「自分の生き方は自分で決めよう」という普遍的なもので、今制作する意味がないとは言いませんが、果たしてこの設定や題材を今やる必要があるのかというと、疑問符をつけざるを得ません。
もしかすると今でもアメリカやメキシコではロデオやカウボーイが、13歳の少年にとって憧れの存在になりうるのかもしれませんが、ちょっと考えにくいですよね。それなら1980年を舞台にする必要がありませんし、もっとカウボーイの情報が日本に入ってくるはずですしね。野球のスター選手とかでも良いのにロデオのスターにしたのは、主演が『荒野の用心棒』などの西部劇で名を馳せたイーストウッドだからでしょう。
で、僕もそうなんですけど、イーストウッドというだけで観に行く人たちがいるんですよね、世界中に。たとえコケてもある程度の収入が見込めます。だから古くさくても企画が通るというのはあると思います。
ただ、悪い作品ではないです。多少の疑問点はあるものの、うまくまとまっています。ヒーローが少年を助けに行って新しい世界に送り届け、自分は地元の女と恋仲になって留まるという王道の流れです。ピンチが弱いのと、少年が意外にあっさりとマイクについて行くので盛り上がりに欠けますが、まぁ楽しめました。
それにしてもイーストウッドはどんだけ元気なんですかね。監督として映画を一本作るだけでもすごいことなのに、主演までして、しかもちゃんとカッコいい。とても90歳を過ぎているとは思えません。たまにヨボヨボしてて「別の俳優を使えばいいのに」と思ったりもしましたが、最後まで観たらやっぱりイーストウッドでなきゃダメですね。説得力が違います。彼でなきゃ少年もついて行かなかったでしょう。
僕もあんなじいさんになりたい。恋愛しても違和感のない90歳って、羨ましすぎですよ!
人としてどうあるべきか示した作品
クリントイーストウッドが監督役者として撮られたことが、素直に凄い。
歳はとってもカウボーイ姿が似合うし、ストーリーも良かった。
愛こそが強者、なるほどと思わせてもらいました。
年老いたカウボーイ
91歳のクリント・イーストウッドの主演・監督作品。かつて世話になった男から頼まれ、メキシコにいる彼の一人息子を連れ戻そうとする年老いたカウボーイを演じている。
少年との交流を通じて、男の生き方を見せていくというテーマは、これまでのイーストウッド作品を思い起こさせるが、時には非情にも思えるような厳しい人間観察といったものはなく、全体としてゆったりとした緩い造り。
物語の発端がよくわからないし(一人息子と母親の関係は?一人息子はなぜ主人公についていくことにした?)、その後の展開も、言ってしまえばご都合主義。とにかく、追っ手が弱すぎる。
しかし、メキシコの砂漠を走る車、西部劇から抜け出たような田舎町の風景、情け深い人々、動物たちなどなど、画面に流れていくものを、ただ眺めているだけで、ゆったりとした気持ちになれるのが、この作品の魅力となっている。
主人公の設定としては、初老といったところか。イーストウッドのダンスシーンは、微笑ましくもあり、ちょっと痛々しくもあった。さすがにスクリーンで彼の姿を見られるのは、今作で最後なのかな。
弱弱しすぎる。
ストーリーはわかるんだけど、イーストウッドが弱弱しすぎる。
喧嘩の場面とか、気を使われて晩年のジャイアント馬場だね。
それにしても昔のメキシコ、車を盗むのって、あんなに普通のことだったんだろうか。
そこが全く問題にならないことに違和感。
「Sabor a mi」だけが強烈に印象に残っている
70年代の映画みたいだ。
前情報を何も入れずに観たが故に、この映画がロードムービーであることに気づいたのは上映開始からだいぶ経ってから。まぁそれも良い。イーストウッド映画には、いい意味で、もはや何も期待していない。イーストウッドの映画はとりあえず観る。それだけだ。
シンプル。物語もオーソドックスで、なーんの飾り気も捻りもない。でもね。アメリカとメキシコの荒野、そして、メキシコの名もなき村に滞在している間にかかる曲「Sabor a mi」だけが強烈に印象に残っている。
最近考えが変わった。
映画には「目的」も「意味」も「うんちく」も必要ないと思うんだ。観ている間にそれらの余計なことを全て忘れることのできる映画こそが、その人にとっての本当に良い映画だと思う。本作は、全て忘れて観れました。結構こういう経験は珍しい(余計なうんちくばかりが日々溜まっていくからにゃあ)。映画の最初から最後まで、スクリーンをただただぼーっと眺めていただけだ。でも眠くなったりはしなかった。
イーストウッドもそろそろお迎えが来る歳だ。彼の新作が観れなくなるのは寂しい。
ラストスタンドの漢
砂埃・馬・木造建物の飲食店・メキシカン、まるで西部劇を観ているような感覚になり、途中謎の涙が溢れて来ました。イーストウッドはやっぱりカッコ良い。後半に前作をいじる辺りは笑ってしまった。銃を構える辺りはファンサービスかな?
イーストウッドならではの佇む姿
彼ならではの人間ドラマなのですが、少し間延びしてる点や少年との出会いなど少し無理矢理な感じがあり、心を惹きつけるにはちょっと弱い気がしました。
ただ年老いたどこか物悲しい雰囲気を持ち佇む姿は、彼ならではと思いました。
お疲れ様です。
クリントイーストウッド、90歳を超えても主役を演じるには、並々ならない努力があったのでしょうが、もう歩くのもおぼつかない程の老化、痛々し所も見て取れた映画。
まだまだ頑張って欲しいが、引退して老後を楽しく暮らして欲しいとも思います。
本当にお疲れ様です。
良い話だったけど…
良い話だった。グッとくる場面もあった。
が、ちょっと凡庸に感じたのも事実。
映画館から出た時に、後ろを歩いていたカップルが、イーストウッドもヨボヨボだね、という会話が聞こえて、少し切なかった。
おじさんのロードムービー
なんの不安もなく鑑賞
イーストウッドの映画を映画館で見るのが初めてでワクワクしてた お客さんが全くいなかったので映画館独り占め
あの歳で映画の主演、監督できてる事が奇跡だと思う
淡々と進んでいくロードームービー 物足りなさなんて私は感じなかった あのゆっくりした感じがたまらなく好き お馬さんも美しいし、空も綺麗だし、人の温かさで心が満たされる
運び屋、パリ行きも大好きな作品だけどまたイーストウッドの好きな作品が増えた
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