クライ・マッチョのレビュー・感想・評価
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2022年 105本目
映画としては普通。どうしても盛り上がりに欠ける。 しかし、レジェンド。渋いし、映像は◎ 比べてはだめだがマークスマンを観てたからなんかなぁと思ってしまったのかもしれない。 この先あと何作クリント・イーストウッドの映画を観れるかわからないが、自分もこの人の映画の良さがわかる年齢になったんだなぁ。とつくづく感じました。まだまだ長生きして傑作を生み出してほしいです。
トゥルー・マッチョ
監督歴50年、監督作40本。
このキャリアだけでもクリント・イーストウッドがレジェンド・スターでありつつ、名監督である事が分かる。
映画監督の中には10年ブランク空いたりもするが、途切れる事なく作品を発表し続けるハイペースと精力に改めて驚かされる。
節目の本作。
キャリア史上に残る新たな傑作誕生!…には正直ならず。
が、これまでの作品からの醍醐味やらしさが濃縮された、非の打ち所の無い“イーストウッド作品”。
寡黙で武骨で頑固。妻子に先立たれ、独り身。イーストウッドが演じる役柄はイーストウッドが演じる為にあるようなもの。様々な役に挑むのが映画俳優ならば、一貫して己のスタイルを固持し続けるのはイーストウッドのような銀幕スターである。
米テキサスの荒野。元ロデオスター。現代に置き換えた西部劇。
元雇い主である牧場主から、メキシコに居る別れた妻の元から息子を連れ戻して欲しいと頼まれる。以前は麻薬だったが、今回は人の“運び屋”。
メキシコへ。見つけ出し、アメリカへ戻るロードムービー。その道中の心の旅路。老人と少年の交流は『グラン・トリノ』を彷彿。
また、これは後ほど改めて触れるが、『マディソン郡の橋』を思わせるロマンスも…。
イーストウッド作品好きなら、思わずニヤリとしてしまう定番やあるある。
派手なアクションやスリリングなサスペンスは無く、静かで地味な人間ドラマながら、二人の交流をユーモアを交えつつ、心に刺さる台詞、しみじみと温かく、手堅く魅せる。
傑作や名作の類いではないかもしれないが、紛れもなく佳作で良質作。
絶対的信頼性のある手腕に、安心して作品に没頭出来る。
一言二言で言えば簡単な仕事。が、実際は…。
元雇い主の元妻は、メキシコの豪邸で毎夜のようにパーティー三昧。男も取っ替え引っ替え。“女”であって“母親”ではない。こちらの要望など受諾する訳が無く…。
親の愛を受けられず、どんなに可哀想な子供…会ったら驚いた!
盗みに闘鶏賭博、態度も悪けりゃ口も悪い。
自分の事を“マッチョ(=強い)”と大言壮語の“悪童”。
当然素直に言う事聞く訳がない。
が、父親の牧場や馬、少なからず父親に会いたいという気持ちはあり、アメリカ行きを決意。
役目の半分をこれで終え、後は彼を父親の元へ連れて行くだけなのだが、ここからが本当に大変。
ロードムービーであり、バディ・ムービーである。
旅のバディとの相性が良ければ最高の旅になるが、相性悪ければほとほとうんざり疲れる旅になる。
老カウボーイと少年。年齢も価値観も人生も全く違う。
事ある事に言い合い、対立、反発。
頑固ジジイvsクソ生意気ガキ。ある意味、見せ場満載。
でも、共通点も。最も大事な点かもしれない。
孤独。独り身の老人と親の愛を知らない少年。
マイクはラフォに何を重ねたのか。
亡き息子か、若かりし頃の自分か。
今この少年に誰か手を差し伸べなければ、少年に未来は無い。
雇われ仕事ではあるが、請け負った以上、大人としての責務。
大人や世の中に反発心剥き出しのラフォ。誰にも頼らず、一人で生きていけると意気がる。実際、そうやって生きてきた。
しかし、このままだったら歩む道は…。
口は強気だけど、子供は子供。これから先、一人ではどうしようもない苦難や困難、岐路がある。
その時、どうすれば…?
助言者が必要だ。誰かを頼ったっていい。
成り行き上だが、その相手がこの頑固ジジイ。
偏屈だが、長い人生の中から酸いも甘いも経験してきた。
それを少しずつ、学んでいく。
人と人の出会い、交流。
これから人生を歩んでいく為の何かがそこにある。
旅はトラブル続出。
車が盗まれ、立ち往生。
母親が放った追っ手。銃を持った危険な奴。
ラフォが承諾したとは言え、母親からすれば誘拐同然。あちこちで警察の検問。
故に車が盗まれた時も警察に助けを乞えない。
それを避ける為、かなり時間掛かるが裏道を行く。
人生は時に寄り道すると、思わぬ出会いと岐路がある…。
荒野の田舎町。
そこで酒場を一人切り盛りする女主人、マルタの世話になる。
警察から匿ってくれ、毎日の食事。寝床の提供も。
世話になりっ放しで面倒掛けてると申し訳なく思うが、マルタは“したい事をしてるだけ”。
無償の奉仕、精神。それこそ“聖母(マリア)”のような。
夫や娘夫婦に先立たれ、幼い孫たちと暮らす。彼女もまた独り身である。
次第に惹かれ合っていくマイクとマルタ。
二人が抱き合って踊るシーンは、大人の男女だからこその味わい深さ。
もし、父親の元に帰るなんて目的が無かったら、ずっとここに居たい。
それほどの心地よさ。
ラフォもマルタの孫娘と惹かれ合い、おそらく生まれて初めてなのだろう、こんな気持ち。自分が居ていい場所。自分が居たいと思う場所。
が、マイクも頼まれた以上、ラフォも一度決めた以上、行かなければならない。
母親の追っ手がこの町に現れ、これ以上迷惑掛けられないと、別れを告げ、旅を続ける…。
旅再開してほどなく、マイクはラフォにある事を打ち明ける。
父親が息子に会いたいのは無論親子愛もあるのだが、それとは別のある理由…。
ショックを受けるラフォ。
自分は父親や母親にとって、自己利益の為の“所有物”なのか…?
さらに腹ただしいのは、マイクがそれを知っていながら今の今まで隠していた事。(マイクも後になって知ったのだが)
良好になっていた二人の関係に、またまた険悪な雰囲気が。
そこに、警察や追っ手が現れる。
旅も終盤。この最大の局面をどう突破するのか…?
見始めたら二人と一緒に旅に同行しているような、さすがの語り口、引き込ませだが、少々引っ掛かった点も。
車が盗まれ、立ち往生。もっと荒野を放浪する心身困憊のシーンがあっても良さそうだが、あっさりと田舎町に着く。
いがみ合っていたが、仲を深め、打ち明けてまた険悪に…。終盤の局面を突破し、父親の待つ国境に送り届け、名残惜しさと共に別れる。いつの間にか対立感情が無くなっていて…??
ラフォは父親の元へ。あの町に戻るという選択肢もあって良かったのでは…?
でもこれは、ラフォが自分自身で選んだ事。
母親の元に居た時の二の舞になるか、父親の元でしっかり牧場経営を学び立派に成長するか。
マイクと過ごした心の旅から影響受けた“マッチョ”が試される…。
本作のテーマの一つは、マッチョ=強さ。
強さとは何か…?
それをアピールし、見せびらかす事…?
誰にも頼らず一人で生きていく強さ…?
もしそうだったら、この旅は無意味だった。
強さを自分からアピールし、自慢気にしない事。
困ってる人を無償で助け、悩める者を導く。
全ては旅の中にあった。
強さとは、優しさ。
それが本当のマッチョ。
イーストウッドが教えてくれる。イーストウッドだからこそ伝えられる。
尚、旅にはもう一人…いや、もう一羽同行。
ラフォの闘鶏、マッチョ。
終盤、思わぬ活躍! 彼こそ“マッチョ”であった。
ほっこりした
悪くはない。だけどめっちゃいいわけでもない。 好き嫌いが別れるかも。 私はこの映画のイーストウッド氏に恋をしたのかも(笑) 分かる人いると嬉しいです。イーストウッド氏の最後の結末は途中で予想ができたがあの子のはどうなったのか…ちょっともやもやが残りました。
結果論良作
イーストウッドの出演作としてはこれが最後なんじゃとビクビクしながらも楽しみにしてます。 最初大丈夫だろうかと心配になったけど、最終良作でした。 イーストウッドは年齢、動き的に出演はもうつらいのではと思ってしまいました。 監督として生ある限り良作を作り続けて欲しいと切に願います。
チキンラン、チキンリトルに続く鶏のアクション映画
マッチョ(雄鶏)がクリント・イーストウッドを差し置いての大活躍。 この作品で一番身体を張ったのは鶏のマッチョ(ジェドと言う名前らしい) で、クリント・イーストウッドだが何だろう…これは日本でも見掛ける雰囲気だ。 そう吉永小百合の様な扱い…。 年相応の役じゃない…。 役の上じゃあ40~50代、でもどう若づくりしても60前位に見える吉永小百合の様な扱いだ。 吉永小百合も妙に若い男性に好かれる役どころで「歳離れすぎてない?」と感じる事多々であったが、クリント・イーストウッドの見た目だと70代の枯れた老人にしか見えない。 原作ではもうちょい若い主人公なんだろうとは思う。 メキシコまで行って息子を拐かしてくる荒事を頼むとしたら、倒れたら骨折しそうなお爺さんに頼む筈もない。 そう思うとメキシコにしては皆さま大人しい。 もっと苛烈な展開もあっておかしくない… 爺さん一人にあんな優しい筈はない。 女性も皆優しい 見た目結構な歳の差なのに誘惑されるし、恋もする。 クリント・イーストウッドに対する忖度めいた雰囲気が漂っている。 それでも観てしまうのがクリント・イーストウッド映画だ。 高倉健に爺さん過ぎると文句を言ってるようなもんだし、これは優しい映画なんだと思うとこの作品は悪くない。 観られる年齢を下げただけだ。 ラフォの両親はちょっとイヤだが(笑) こんな爺さんなら話したいよね。 当然こんな爺さんならチョイと年若い女と踊ってキスする位のロマンスもあって良いし許せる。 クリント・イーストウッドありきの作品になっちゃってるが、もう少し若い人がマイクを演ってたら内容も随分変わってたとは思うが…。 クリント・イーストウッドのサービストラックと思えば楽しめる。
イースト・ウッド映画作りやめて欲しい
最近の作品は実話をもとにした映画が多かったが、本当を言えばどれも駄作だった。 もう90歳の老人が恋愛じみたこの映画、悪いけど老醜以外になかった。 演出もシナリオもでたらめだし、もういいでしょう引退してください。
ピックアップトラックとか馬とか田舎の町とかほんとイーストウッドは似...
ピックアップトラックとか馬とか田舎の町とかほんとイーストウッドは似合いますね!流石に歳をとったなーとは思いましたが、この年齢で映画撮って、しかも主役として映画に出てるって凄い!イーストウッド王道のストーリーですが、余韻は心地良かったです。
肩の力が抜けたロード・ムービー!
最近は実話ベースの映画ばかりだったが、久々にフィクション映画。しかも最初の企画は40年も前のことだと言う。機が熟したんだね。愛すべき佳品だった。両親の愛を知らずに育って、人が信じられなくなっている少年や、人生の酸いも甘いも知り尽くした食堂の女主人など魅力的な登場人物を配して、いつものように頑固ジジイを演じたイーストウッド。初めはかっこ悪い爺さんが、だんだん強くて逞しい男に見えてくるから不思議だ。ラストは私には意外だった。同じように頑固ジジイを演じた作品で、インフレを考えなければ最も収益が上がったという「グラン・トリノ」よりも私は好きだ。
イーストウッド大好きで楽しみに見たのだが、これは話があまり面白くな...
イーストウッド大好きで楽しみに見たのだが、これは話があまり面白くなかった。スケールもこじんまり、齢90を越えてのラブ・ストーリーにはやはりやや無理が。 しかしイーストウッドはやはり偉大。一作一作を大事に鑑賞したいと思ってます。
はっきり言って、そんなにだった。前回のがよかったので期待しすぎたか...
はっきり言って、そんなにだった。前回のがよかったので期待しすぎたかもしれないが。もしかしたらこれが遺作かも。とすると、ちょっと悲しい、、、
ハリーの先の…
※星取りは苦手。何か書きたくなった時点で星5つ。 相変わらずの女性不在感は 安定してたけど、私にしてみると、 「あの」ダーティ・ハリーが あの先にある老いを惜しげもなく見せてくれることに、 劇映画もドキュメンタリーだ、 ていうことに至って感動する。 そしてお爺ちゃんが、 お爺ちゃんの知恵と勇気と落ち着きで対処していくのも感じいい。 そして、馬と乗用車が並走したり、 広大な土地の景観だったり、 雄鶏目線のイーストウッドからの〜 雄鶏と会話するイーストウッドだったり、 野生馬を売れる馬に育てる様子とか、(私の)見たことないもの見せてくれるイーストウッド監督の映画的おもてなしもナイス♡ ここ何作か個人的に 肚に落ちず好きになれなかったけど、 これはよかったなー。 あと、おじいちゃんだけどちゃんとパートナーあてがう…いや、モテる設定なのとか丸く収めていく感じはアメリカだったな。いいんだ。観やすいから。 人はなんだかんだ安心したいから。 ただ、キタ!多様性! …は茶化さないとして、 メキシコ手話とアメリカ手話は 通じるものなのか?が気になったのと、 翻訳字幕が「聾唖」としていたのが 1979年の設定だからだよね?!てなったな… この作品の本質ではないんだけどね。
人生の岐路は人との出会いでもたらされる
最後にラフォは、迷うことなく新しい道を選んだ。どうなるか分からないが、とにかく新天地を選ぶ。彼の愛するマッチョをマイクに渡して、真っ新な人生を歩み始める。
一方イーストウッド扮するマイクは、自分を愛してくれるあの村に引き返す。二人の決断の差が、残された人生の時間のようで切ない。ヨボヨボでもいいから、イーストウッドには俳優を続けて欲しいと思った。
歳を重ねても分からぬコトもある。
80歳を超してなお映画を撮るのは並み大抵の事ではなく体力的には限界を超えているはず 。心的ストレスと身体的苦痛は希代のマゾヒストと言わねばならんだろう・・・しかし、それを実行して見せるイーストウッドは世間に怒りを覚えているのだろう。「軟弱すぎる。今の社会はどこかで間違ってしまった。」そんな彼の声が聞こえる。それは、ドナルドが大統領選を戦い始めた頃に発した言葉だったような気がする。自分の意見を言う時には必ず「私は何も知らない一介のサラリーマンですが・・・」とまずは失敗をしたときの言い訳じみた言葉投げかけて話をするのだ。それは我が身の保全。間違ったのは私の所為ではなく社会の責任だと言わんばかりだ。いったいいつからこうなってしまったんだ? 「人間のすることは完璧なまで間違っている。そう認識をしておいた方がいい。ただ、許される間違いを選択する努力はあっていいはずだ。」 この映画のラストに少年に向かってイーストウッドが言い放った言葉には、そんな意味が込められている気がした。 そして、これからは軟弱に時を過ごすことなく強く生きていくのだと語り掛けている。
生ける伝説による、不思議で自由な映画
アメリカとメキシコの国境を越え、少年を誘拐して連れてくる。要素だけで言えば、麻薬カルテルが絡んできて荒野でドンパチ繰り広げる話にも思える。フタを開けてみればなんと穏やかなことか。追手も大したことはなく、連れてくる少年も聞き分けが悪いわけじゃない。イーストウッドの演じる主人公マイクは、60代、いっても70代だろう。当初、アーノルド・シュワルツェネッガーが主演を務めるプランだった本作は、あらゆるば意味で不思議な映画となっていた。いわゆる「ゆきてかえりし物語」となるロードムービーかと思いきや、案外そういうわけでもない。とにかく自由なのだ。しかし、それができるのはこれまでの彼の積み上げてきた作品があってこそ。考えてみれば、誰もが荒野のカーチェイス、銃撃戦やアクションを期待していたわけではないだろう。そんなものはイーストウッドのこれまでの作品をみればいいのだから。
前向き
やんわり、ほっこり、 王道な昔ながらのアメリカの良き時代の映画を観た感じ。 ロードムービ +少年の成長と人生の先輩からの学び +老いても新しい人生は始められるよ、の前向きな作品。 母親の追っ手のどんくささが、ツボ。 なんでやねん!って、心でツッコミました。
全311件中、61~80件目を表示