「イーストウッドはまたいいことをした。」クライ・マッチョ Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)
イーストウッドはまたいいことをした。
好きなところをいくつか書く。まずマイク(クリントイーストウッド)はラフォ(エドゥアルド・ミネット)に選択するチョイスを与える。ということは父親が誰かどんな人か、それに彼も騙されていたことなど包み隠さず話し、テキサスにいる父親の元にいくかどうかラフォに決めろという。ラフォにとってみるとテーブルの上に出された父親の良し悪しがわかり、それをどう選択するか自分で決める。決めた結果、その責任は自分で取ることになるという過程の映画。
クリントイーストウッドの映画はこのように公平性に焦点を持っていっていると思う。
それに二人で野宿をしている時に、メキシコで母親と暮らしていたラフォの体の傷跡をみて過去を聞くが、マイクもロディオスターで一世を風靡したが、家族を失った自分の心の過去の傷をラフォに話す。ラフォを子供扱いせず自分と同等で公平な付き合い方をする。好きだなあ。
本人マイクも今と前は違っていて、マイクの過去の問題点の償いで、今のマイクがあるように作品を導いていると思う。まあ、そういう脚本が好きなのかもしれない。
これとは別にイーストウッドの映画にはジェフベゾスタイプの金持ちは主人公になって出てこない。リベラルな教育のある人間の存在も少ない。 一般人が、かえって、過去に影のある人が、生きる使命を持って、自他ともに変わっていく。 そこが好き。 それに、この映画は『運び屋』や『グラントリノ』と同じようじゃないかと思っていたら、脚本家は三作ともニックシェンクなんだ。やっぱり!
あとは、個人的な批判だが、イーストウッドが主演を演じなければならない理由がわからない。大御所だから彼の采配にとやかく言っても始まらないが、腰を痛めているカーボーイといっても、無理が見える。特に発音と体の動きが緩慢。ただ言えることは彼の下で直接指導を受け巣立っていける人が映画界に増える。それに、個人的にイーストウッドが主役なら、人間性を追求する映画なので安心して鑑賞できる。