「諦めたら、そこで試合終了❣」THE FIRST SLAM DUNK bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
諦めたら、そこで試合終了❣
劇場で、あまりアニメは観ないし、『スラムダンク』も読んだことはないが、レビューも高評価で、「絶対に観るべき映画」という人も多いので、遅ればせながら鑑賞。一言で言えば、「もっと早く観ておくべきだった」。登場人物や設定を、何も知らない自分でも、最後は湘北高校の応援団となって、手を汗握り鑑賞していた。
単なるスポコン・アニメとは違い、決してバスケ・エリートではなかったコートに立った湘北メンバーが、それぞれに紆余曲折を経て、目標としていた高校バスケ界の王者・山王工業高校との激闘を描いている。本作では、本来の主人公の桜木花道をサブに据えて、これまで語られてくることのなかった、宮城リョータをメインに据えている。
湘北vs山王のバスケの試合を、ジャンプトスからブザービートまでの試合実況の中に、父や兄を亡くした、幼少期からのリョータの生い立ちを差し込んだストーリー展開は、観る者を釘付けにしていく。単に試合の流れだけでなく、リョータと関わってきたメンバー達それぞれに過去があって、今がある事を明らかにしていくことで、より一層、湘北メンバーへの親愛の感情も高まっていった。
そして、何と言ってもゲーム・シーンの描写やアングルが見事。自分も実際にコートに立っているかのように、選手を3Dの様に浮き上がらせ、バウンドするボールや体のぶつかり合い、シュートした時のリングの音、汗が飛び散る匂いまでもが伝わるような、アニメの領域を超えた選手の動きが際立っていた。背景にしても、選手を目立たせながらも、決して手を抜くことなく、大変ディテールの高い描写がされていた。
また、アニメの中には、何か事を起こしたり、闘ったりするシーンで、いちいち動きや技に説明的な台詞が入るシーンが多々ある。個人的にはそうした講釈を聞くと興醒めするのだが、本作は、ゲーム・シーンも殆どそうした講釈はなかった。選手の素晴らしい動きやプレーをリアルに描き、ぶつけてくることで、実際に試合を観戦しているかのような臨場感が伝わってきた。
本作を、声出し応援しながら鑑賞するというニュースが、先日流れていて、「なんてバカバカしい」と思っていたが、確かに、この作品は、先日のWBCさながら、声出し応援をしたくなる気持ちにも、十分共感できた。
改めて、日本アニメの素晴らしさを鑑賞したというより、体感しました。
『BLUE GIANT』も高評価な作品ですから、近い内に体感したいと思ってます。
今晩は
今作は、従来のスポーツアニメ映画を根底からひっくり返した程の傑作であると個人的には思っているのですが、矢張り評価は高いし、公開から三か月過ぎても、”変な付録を付けずに”お客さんは入っているし、観客の眼は確かなる事も証明していますね。
先日観た「BLUE GIANT」にも驚かされましたが・・。
では。