大国が中東や南米、アフリカなどに武器を供給し、紛争を悪化させている事は公然たる事実だが、その実態がこれほど酷いとは思わなかった、、、。
グリモンプレ監督は語る。
「世界の武器ビジネスは決して闇で取引しているのではなく、白昼堂々と首脳同士の話し合いで行われている。日ロ戦争で双方に武器を売り、荒稼ぎしたのは同じ売人だった」と。
本作ではBAEやロッキード、米大手軍事企業「レイセオン」などが、サウジ駐米大使バンダル王子らを介し、サッチャー、ブレアや歴代米大統領、チェイニーやラムズフェルドら世界の首脳陣や国防トップと公然と武器取引を行っていた状況を詳らかにしている。
先日、プリズンエスケープ観たばかりだがANCにも3億ドルの賄賂が流れてると知り、なんだか愕然とした。ANCは志の高い立派な組織だと思っていたのに・・・。
武器ビジネスの実態は「高額の賄賂ビジネス」だったのだ。
なんだかもう、サッチャーもレーガンもブッシュもヒラリーもオバマも大っ嫌いになりそうだぞ?
彼らの得る「汚い金」がどんな結果を生むか熟考しているのか?
命が散っているのは戦場ばかりではない。
家の近所でのどかに遊んでいた子供達が一瞬にして惨殺されている。
街中を歩いていた市民達の命が、次の瞬間には失われている。
ごく普通に暮らしている無辜の人々の血を、彼らは金に替えているのだ!
日本も2014年4月に安倍政権が武器輸出を解禁した。フィリピンに戦闘練習機TC90を無償譲渡し、防空レーダー4基を輸出している。
原作「武器ビジネス マネーと戦争の最前線」の著者アンドリュー・ファインスタイン氏は「武器取引は経済的な効果は非常に悪い。武器取引の4割は賄賂。日本は平和でなく戦争の側に、賄賂や汚職の側に立つつもりか。」と指摘する。
そして「武器輸出のような税金の使い方は絶対に認めないと、国民が強い意思をもち、規制を訴えれば現状を変える力になる」と日本人へのメッセージを込めている。
映画の冒頭とラストには、一次大戦中の独露最前線で、クリスマスイヴに双方の兵士が塹壕から駆け出し、敵と握手し、ダンスし、タバコに火を付け合う映像が流れる。
「人間 対 人間」として対峙したならば、誰だって「人間」を殺したくなどないのだ!
人間を「数字や記号」として捉えるから簡単に殺せる。ましてや、遠く離れた安全な場所からスクリーン上に描かれたモデル図なら呵責なくターゲットに出来るかもしれないが。
戦場においてですら、人々の胸に愛と思いやりは存在した。
この勇気ある告発を受け止め「輸出の為の武器製造」への否定が世界中で高まる未来を信じたい。