アウトポストのレビュー・感想・評価
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圧巻のブルガリアクオリティに唸らされる凄惨極まりない実録戦争ドラマ
アフガニスタン紛争真っ只中の2006年にアフガニスタン北東の山奥に設営された米軍前哨基地、通称キャンプ“カスター”。米軍への物資補給拠点であり地域住民にも資金提供する重要な施設であったがた三方を山に囲まれた立地ゆえたびたびタリバン兵による攻撃を受けていた。ロメシャ軍曹他無事帰国出来ることを願いながら不安な日々を過ごしていたが、2009年10月ついに大勢のタリバン兵達による総攻撃が始まる。
上映時間2時間の後半部分を占めるのが実際にあった戦闘“カムデシュの戦い”。要するに映画の半分がクライマックス。兵士たちの日常をじっくり時間をかけて描いてキャラを立ててから突入する攻防の凄惨さがとにかくリアルで凄まじい。タリバン側の心理描写が一切ない一方的な描写ながら戦争の悲惨さや虚しさをしっかり捉えているのでエンドロールに登場する地獄から生還した兵士達本人の言葉一つ一つにずっしりとした重みがあり、彼らが沈痛な面持ちで当時を語る姿と戦闘で亡くなった兵士達の笑顔に涙を堪え切れませんでした。
偉大すぎる父の面影をようやく断ち切った感があるスコット・イーストウッド演じるロメシュ軍曹の凛々しさが印象的ですが、本作の主役は命懸けで戦友を守ろうと奔走するカーター特技兵。演じるケイレブ・ランドリー・ジョーンズは頭の悪いチンピラみたいな役柄から脱却して実に重厚な人物像を体現していました。
近年、優れた戦争映画にブルガリアが多大な貢献をしていますが本作も例外ではなく、ロケ地はおろか主要スタッフの大半がブルガリア人で占められているので実質的にブルガリア映画と言っても過言ではないと思います。
大音量で観るべき作品
不利な環境の中、敵が多すぎる!!特に後半の激戦が過酷。RPGの凄まじさや、四方八方からの銃撃には息つく間もない。「アパム、弾」どころでは無い、あちこちで弾が足りない。あの状況の中、走り抜ける兵士たちの姿に圧倒されました。映画館の大音量で観るべき作品ですね。これが実話と言うことに心が痛みます。
任務は生き延びること
何のために戦争に参加しているんだ?という疑問が兵士の中からももたらされるほど目的さえも見失ったキーティング前哨基地。山の中のジグザグ道を車を移動するのもタリバンよりも恐ろしいと言われていた。
毎日のようにタリバンのゲリラ部隊から攻撃を受け、いつか総攻撃を食らうに違いないという中、兵士たちは恐怖を克服するためなのか猥談やゲームに興じている。とにかく狙われたらひとたまりもない、険しい山に囲まれた谷底の基地。なぜこんな場所に?という疑問に不満を持ちながらも粛々と任務をこなさなければならないのだ。
そうした兵士たちの日常を描きつつも恐怖心を煽るように戦争の愚かさを訴え、絶対にこの基地に赴きたくないと思わせる描写が大半を占め、激戦の末ではやっぱりアメリカ万歳といった描写で締めくくる。なんて勿体ない作品。名前が次々と表示され、すべて名もなき兵士で終われば立派な作品になったであろうに、多くの生存者が勲章を与えられることによって亡き戦友を称える鎮魂歌になってしまったのが残念だった。
2009年といえばオバマ政権が誕生した年。テロとの戦争も終わらせてくれるかと期待させながらも、中東やアフガンの戦争は終わらなかった。この映画にしても、反戦の面は見せながらも戦争の愚かさまでは描き切れなかったようだ。むしろ終盤の戦争のヒーローたちを称えることによって、わけがわからなくなりました。
そんな中でもリアルで迫力のある爆撃や白兵戦には寒気がするほどだったし、臨場感は凄かった。そしてエンドロール中の兵士たちのインタビューでも語り継がなければならない事実というメッセージが届いてくる。しかし、結局は米兵の死者は8人。タリバン兵の方がもっと多く死んでるのだ・・・ベトナムと同じか!そして、驚いたことに生存者の一人が本人役を演じているという事実。見てない人に教えたくなるエピソードだな・・・
53人の守備隊
最後に空撮で映し出されたアフガン奥地の山々の姿に呆然としてしまう。何のために、こんなところに前哨基地なんか作らなきゃいけないの?すり鉢状の谷底に基地なんて、頭オカシイ。
反戦要素、やや多め。
政府批判要素、ゼロ。
軍上層部批判要素、並み。
敵は悪魔!要素、ほぼゼロ。
突き詰めると、あの地で命を落とした兵士たちへの鎮魂。
生々しさはあります。戦闘シーンの迫力もあります。戦争映画としては普通ですかねぇ。
ドローンを使った撮影(渡り橋・総攻撃を受けた際の基地内)が斬新だったのと、兵士の荒い息遣いを重ねる音声の造り込みが良かったのと、なんと言ってもケイレブ・ランドリー・ジョーンズが良かったです。
短期間に大尉が二人も死亡すると言う異常な地。物語は2009年に起きた実際の襲撃事件を元にしています。タリバンは「軍隊」じゃ無いので、当時、2~300名が集まり、主要拠点でも無い場所を総攻撃すると言うのも異常な気がします。最初んとこで、資金・開発を約束して折衝しましたが、何かがまずかったんでしょうねぇ。
ラストの本人インタビューは印象的。トラウマを抱えて帰って来た者もいれば、誇らしく語る者もいる。米軍が、そこにいるだけで戦闘行為が発生してしまうのが、中東でありアフガンであり。つまりは、これは過去の終わった話じゃ無い。またいつ、どこで同じことが起きるか分からないよ、って事で。
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3/29 追記
ちょっと萌えた場面について。
入り乱れた乱戦の中、クリント軍曹は丘の上にタリバンの狙撃兵を発見します。手にしていたのはM-4カービンとM203グレネード・ランチャーのコンビ。咄嗟に、そばに倒れていたアフガニスタン兵士の狙撃銃FPKを拾い上げます。
FPK(PSL)は、AK-47を元にルーマニアで設計・製造された狙撃銃。アメリカ陸軍の軍曹が、旧ソ連のカラシニコフ・コンツェルンを起源とするFPKを手にして、丘の上の敵狙撃兵を倒します。逆狙撃に成功した後、FPKを「ポイ」と投げ捨てる姿に萌えですわ。
ち。敵のライフルに頼っちまったぜ。
的な。
戦闘シーンは見事!・・・だが。。。
戦闘シーンの迫力と緊迫感、緊張感、臨場感がハンパないです。
エグい四肢損傷描写がふんだんにあるわけではないです。そーいうことではないんです。なんだろ?兵士の視線がカメラになっているかのようなアングルが多用されているからなのでしょうか?やばいやばいやばいーーーーー!って。早く早くーーーー!って。やられるやられるー!って。
なんだか、戦闘シーンはずっと奥歯を噛み締めてた気がします。それほどの臨場感でしたからクライマックスの絶望感たるや。
ただ、すごーく気になるのが、アメリカ軍の立ち位置で語られ、話が進んでいく部分です。
この気の毒この上ない基地に配属された兵士の皆さんは、素晴らしい働きをなされたんだと思いますが、あくまで本作の目線はアメリカ軍なんですよね。
懐柔しようとしている地元民や、共闘しているアフガン兵、タリバン(これは無理か)などの視点からの描きがこれっぽちも無いのです。アメリカの都合で決めた戦争、その戦争を勝つためにアメリカの都合で話を進めていって、得られた結果を一方的に賛美しているような見え方になってしまいました。僕には。。。。
アフガン兵の働きが悪いとか、地元民とのコミュニケーションロス(に見えますが)も、相手が悪いと言うような着地に見えるし(すごい偏見ですが、結果が伴わないと他責発言すること多いですよね?欧米の方々。。。映画やTVのドキュメントでよく見ます)。
本当にーーーー?????って言いたくなります。
タリバンの攻撃を察知できなかったところに落ち度はなかったのか?
事前にできる防護策はなかったのか?なぜ、他の基地を考えなかったのか?・・・などなど疑問に思うことは多いですが、言及なしです。
なんだろな、なぜこんな時期(2018年制作開始、2020年3月公開予定)にこの映画なんだろうか?
実在の軍人さんたちが出てきますが・・・軍人さん万歳!サイコー!な映画をなぜ作ったのだろうか?
確かに知られるべき事実であり方々だとは思いますが、このなんとも「正当化してない?」な疑念が消えないのです。どーにも、こーいう映画は、表彰式のVTR、軍の広告みたいに感じられてしまって、、、、僕はひねくれているのかなぁ?
アフガン紛争はまだ続いています。20年以上も。もしかしたらアメリカ国内の士気高揚、軍隊の士気高揚、もしかしたら公開予定年末に予定していた大統領選挙への効果狙い?なんて穿った見方をしてしまいます。・・・考えすぎか・・・・。
けど、それほど優等生的アメリカ軍映画なんですもの・・・。
あ、そーいえば・・・。
プラトーンなどで描かれる「戦争(兵士)の狂気」はこの映画には無いです。クリーンなんです。
復讐が目的にならない、理性的な兵士たち。
面白半分、私情で銃をぶっ放さない。
薬物を厳しく律する上官。
タバコを吸う人がほとんどいない。
酒飲んで、ハッパ吸ってアッパラパーになる人いない。
変わったものです。狂ってしまうほどに恐ろしい白兵戦がなくなったのでしょうか?
(戦争未経験の僕が言うことでは無いですが)
うーーーむ、アメリカ陸軍の勧誘VTRとも思えちゃうなぁ。。。
やはり、ヒネクレモノですね、僕。
生々しすぎて直視できない…。
四方を山に囲まれた前哨基地って…素人目にみても恐怖。軍人でいる人達に対しても常々死と隣り合わせでとても想像できない心持ちなのに更にこの状況下。和平のためとは言えすごい人達だよな、とつくづく思う。それにこの作品の銃撃戦の臨場感のすごさ。実話ベースと知ってるから尚更リアルに感じる。命は大切、軍事対決はNG 、とつくづく痛感させられた。凄い作品でした。
臨場感はあるけど
そもそも戦争映画のカテゴリーは苦手なので、この★の数でフラットに評価はできていないと思う。
まず、それぞれ役ごとのキャラクター付けはされてるっぽいんだけど、ヘルメット被られてホコリだらけでは、兵士の顔の区別がつかなかった。
で、結局最後まで私にはほとんどの登場人物が同じ人の様に見えていた。そのあたりも感情移入しにくかった要因かも。
エンドロールでは、実在した戦死者達それぞれに、享年(ほぼ20代前半)と、贈られた勲位が示される。
私はむしろこれを「勲章贈られたって彼らは戻らないのに…」という皮肉めいた表現だと思って席を立とうと思ったら、さにあらず。
その後に差し込まれた、帰還兵達のインタビューを聞くと、この作り手はかなり真正面から彼らを讃える映画にしたいんだなという事が伝わってきてしまう。
もちろん命を掛けて任務を果たそうとし、仲間を守ろうとした兵士達の功績は讃えられていい。ただ、やっぱりそれが「お国のため」として正当化されるのはすんなり飲み込めない。
念の為言うと、本編の内容は決して悪くない。
彼ら兵士達が1日でも早く任務を終え、愛する者達の元へ帰りたいと願っていることも描かれ、映画の前半は日常と異常が隣り合う怖さ、派遣される上官に振り回される部下の戸惑い、後半45分は、ずっと臨場感溢れる戦場の怖さが伝わってくる。
でも、やっぱり現地のイスラム教徒たちやタリバンは「コミュニケーション不能のエイリアン」として描かれているし、米兵は怪我一つで救護班だけでなく総員フル稼働の大騒ぎなのに、敵兵は銃弾一発で簡単に絶命・退場する(様に見える)存在。少なくとも彼らの命とアメリカ兵の命は等価に表現されてはいない。
「アメリカ礼賛映画」とまで言うつもりはないけど、反戦という観点から考えると「殺し合うことの愚かさ」ではなく「米兵の命の重さ」が偏重されていて、簡単に「いい映画でした」とは言えないなぁ、というのが率直な感想。
15
最悪な状況
補給の要とは言え、最悪な状況の前哨基地。派遣された時点で死を予感させる様な状況に置かれて、毎日銃撃される。生きた心地がしない中、総攻撃を受けて全滅覚悟。ゼロどころかマイナスからの戦いに望みはあるのかが、エンディングに向けての見所です。
臨場感半端ねぇ。
監督さんが元軍人で、実際の戦闘現場に居た兵士が制作に加わったり、闘った兵士が本人役で参加していたり等、実話を基にかなり細かく作られているようでした。カメラも手持ちで撮影してるのでリアリティや臨場感が半端無かった。戦闘シーンは手持ち撮影なので、スクリーンから少し離れた席の方が楽しめるかもです。
久しぶりに面白い戦争映画でした!
似たような題材が多くある中で
ストーリーは、タリバン流出防止のために山岳地帯に前哨基地をおいたアメリカ軍が敵の大群に襲撃され、撤退するまでの話を実話に基づいて描いたもの。
複雑な話はほとんどないため、あまり考えずに映画をみることができた。また、隊員が家族に電話するシーンがあったが、ここから大きな戦いが始まるんだ、という緊張感や臨場感がありこの手の手法は割と好き。
中尉が評価されてたけど、他の隊員やローはもうちょい評価されるシーンがあってもよかったんじゃないのか?というのは思いました。
アサルトライフル。握った手が震えてる
「ブラックホークダウン」を思い出させる。だってレゴラスが出てるんだもの、びっくりしたよ。
それはさておき静と動のコレは動。オープニング以降ずっと動。クライマックスが~!とか、ラストバトルが~!とか推してくる作品は数あれど、舐めると危険を地で行くオールクライマックス映画。緊迫が過ぎて口が乾いてるのも、喉が渇いてるのも、コーラの氷が溶けてるのも忘れてました(苦笑)。
だがしかし。この映画の大事な所はそこではなくて。「ブラックホークダウン」でも描かれていた上官との軋轢もそうなのだけれど、大事なのは「人であること。その行動。」だと思い知らされる、エンドロール。名誉に纏わる静。と共に是非ともご賞味頂きたい作品でございました。
やるせない
劇中の台詞
「キリスト教」と「イスラム教」との
闘い、どちらの正義が正しいのか?
「どっちも間違っているかもしれない」
この会話が全てを物語る気がしました。
それに戦争のプロ(と言う表現でいいか?)
であるアメリカが四方を山で囲まれた土地に
前哨基地を置くのが信じられません。
事実をベースにした作品でエンドロールでは
戦死された方も生き残って勲章を授与された
方も実際の写真が流れます。
皆、若くして戦死された事に驚くと共に、仲間を
失いながらも生き残り勲章を授与された皆さん。
複雑な思いのままなんだと想像してしまいます。
鑑賞後は様々な思いが頭の中を駆け巡る作品でした。
これから鑑賞される方は必ずエンドロールの最後まで
観て下さい。
アメリカ人が作ったアメリカ兵の物語
ランボー以来どうもスーパーアメリカ兵が好きなんやね。
あんなに相手殺しても少数の犠牲者で済んでよかった?
確かにハリウッド映画らしく戦闘シーンは金かけている。
でも残ったのは、怖い国やなという印象のみ。
大迫力!
実話だったんだと衝撃を受けながら見てましたがか、エンドロールに実際にこの戦争を体験した米軍の方達の写真や話などが映し出された時に改めて戦争は他人事じゃないなと痛感しました。
作品全体的には序盤はいまいちでしたが、後半の戦闘シーンはとにかく大迫力で凄かったです!ただ兵士達の会話が女性目線からだとどうしても下品な言葉使いの多さに少々げんなりしましたが、、、。
この手の映画って作った側の国が自国を美談する傾向がありますが今回はどうだっただろうか、、、、
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