劇場公開日 2021年3月12日

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「圧巻のブルガリアクオリティに唸らされる凄惨極まりない実録戦争ドラマ」アウトポスト よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0圧巻のブルガリアクオリティに唸らされる凄惨極まりない実録戦争ドラマ

2021年4月8日
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鑑賞方法:映画館

アフガニスタン紛争真っ只中の2006年にアフガニスタン北東の山奥に設営された米軍前哨基地、通称キャンプ“カスター”。米軍への物資補給拠点であり地域住民にも資金提供する重要な施設であったがた三方を山に囲まれた立地ゆえたびたびタリバン兵による攻撃を受けていた。ロメシャ軍曹他無事帰国出来ることを願いながら不安な日々を過ごしていたが、2009年10月ついに大勢のタリバン兵達による総攻撃が始まる。

上映時間2時間の後半部分を占めるのが実際にあった戦闘“カムデシュの戦い”。要するに映画の半分がクライマックス。兵士たちの日常をじっくり時間をかけて描いてキャラを立ててから突入する攻防の凄惨さがとにかくリアルで凄まじい。タリバン側の心理描写が一切ない一方的な描写ながら戦争の悲惨さや虚しさをしっかり捉えているのでエンドロールに登場する地獄から生還した兵士達本人の言葉一つ一つにずっしりとした重みがあり、彼らが沈痛な面持ちで当時を語る姿と戦闘で亡くなった兵士達の笑顔に涙を堪え切れませんでした。

偉大すぎる父の面影をようやく断ち切った感があるスコット・イーストウッド演じるロメシュ軍曹の凛々しさが印象的ですが、本作の主役は命懸けで戦友を守ろうと奔走するカーター特技兵。演じるケイレブ・ランドリー・ジョーンズは頭の悪いチンピラみたいな役柄から脱却して実に重厚な人物像を体現していました。

近年、優れた戦争映画にブルガリアが多大な貢献をしていますが本作も例外ではなく、ロケ地はおろか主要スタッフの大半がブルガリア人で占められているので実質的にブルガリア映画と言っても過言ではないと思います。

よね