「銃撃の雨」アウトポスト U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
銃撃の雨
とある前哨基地の話
なのだが…立地条件が最悪だ。
すり鉢状の低地にあって、360℃崖に囲まれてる。奇襲はかけ放題だし、攻略も容易に思う。
事実、小競り合いは頻繁に起こるし、小規模戦闘は日常茶飯事な様子だった。
戦闘シーンに期待して観に行ったのだけど、兵士の日常が映されるばかりで前半は睡魔の餌食に。
けれど、彼らが基地を引き払う前の大規模戦闘が始まると息つく暇もない。
銃弾は雨のように降り注ぐは、爆煙はそこかしこで上がるわ…戦場の真っ只中にいるようだ。
臨場感が、半端ない。
とても高性能でコンパクトなステディカムによる追走は目を見張る効果があって、この臨場感の演出に多大に貢献してたように思う。
爆煙の中にカメラは突っ込むは、超至近距離で着弾による爆煙は上がるは、戦闘表現は見事だった。
今作は圧倒的に不利な条件下で勝利をおさめた米兵達の話ではあるが…数多ある戦闘の一例には過ぎず、エンドロールで映し出される戦死者の年齢は20代前半が多数をしめる。
勿論、彼等は志願するのだろうし、誇りも持っているのだろうと思う。だけど本作は、その果てを冷酷に映し出す。
「死」だ。
一切の時間が止まる。
死んだ事を自覚する間もなくだ。
その死をもたらす殆どが流れ弾だった。
何かに躓いてこけたのかと思う程、あっけなくその兵士の時間は止まる。
苛烈な局地戦の一部始終を目の当たりにしたように思う。冒頭、登場人物達にテロップが入る。俺には全く見分けはつかないのだけど、データに埋もれていく数値ではなく、命を失った個として認知されるべきというメッセージにも思える。
戦場に待っているのは勝利の栄光だけではない。
勝者の数以上に敗者がいるのだ。
エンドロール最中に、実際その戦闘に参加してた兵士達のインタビューがある。蛇足に感じる人もいるだろうが、最後まで観る義務もあるんじゃないのかなと感じた。
と…何気に崇高なメッセージを感じながらも、寝てしまったので映画的には☆3.5だった。