「【クルエラとセットで/毛皮を止めても搾取は継続?】」グリード ファストファッション帝国の真実 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【クルエラとセットで/毛皮を止めても搾取は継続?】
エンドロールのテロップを見ると衣料業界の発展途上国を中心にした搾取の状況を訴えたかったのだと感じる。
毛皮や皮革は残酷だから、今後は使用しませんなんて宣言したブランドがあったように思うが、労働搾取は許されるのか、誰か聞いてほしいものだ。
こうした搾取は、なにもファッション業界だけの話ではない。
業界を変えれば、遥か昔から行われていた。
バナナや紅茶の大規模プランテーションは典型だ。
特に、紅茶栽培の労働環境は、超低賃金なうえ、過酷であることが知られている。
関わってる企業は先進国の有名な企業だ。
今現在については確認できないが、日本の割り箸の殆どが東南アジアの木材を伐採したもので作られていたこともあった。
日本のスギなどの間伐材を使うより、もっと安かったからだ。
最近のメキシコのアボカド栽培が環境問題を引き起こしているというニュースも同様だ。
欧米や日本でアボカドの人気が高まり、作付けを増やしたところ、土壌が痩せ細って、アボカドはおろか他の作物を作るのも困難になるかもしれないということだった。
ファッション関係に話を戻して考えてみても、縫製作業以外でも、最近の、中国による新疆コットンの搾取状況は、これを製品に使っているとして、アメリカがユニクロ製品を輸入禁止にしたほか、H&Mやナイキが、原材料としての使用を中止したことで、注目が集まった。
日本の製造業でも、最上位に位置するメーカーが、下請け企業に厳しいコストカットを迫ったり、建設業界が、下請け、孫請け、ひ孫受けと下に行けば行くほど、実働に対する利益は小さくなることは、似たようなものではないのか。
コロナ禍のもとで、政府が主導した、マスク配布や、給付金関連の仕事も、類似した構造で成り立っていて、落札した企業は、利益を中抜きして、その更に下請けが実働を請け負うことになるのだ。
ファストファッションや、スマホなどについて言えば、企画は最上位に位置する企業が行い、自分達は工場などは持たず、組み立ては別会社で、そこが搾取的な労働環境にあっても、知らぬ存ぜぬが基本のような気がする。
そういうことがないように管理しているという企業もあるかもしれないが、本当に管理できているのか、どのように確認しているのかなどについて説明できるところが、どの程度あるのか、定かではない。
まあ、最後のライオンの場面は、あまり気持ちの良いものではないが、買収、借金、事業閉鎖、倒産、事業譲渡などを繰り返し事業を拡大、肥え太るプロセスなども含めて、上手くまとめてあると思うので、社会勉強として観るのには良いかもしれない。
法治国家の中での事業のうつろいや節税はともかく、やはり、搾取は良くないと思える人が多くいることを願う。
毛皮や皮革は動物に残酷だからというこであれば、人間にとって残酷な搾取も止めれば良いのだ。