お隣さんはヒトラー?

劇場公開日:2024年7月26日

お隣さんはヒトラー?

解説・あらすじ

アドルフ・ヒトラーの南米逃亡説をモチーフに、ホロコーストを生き延びた老人の隣家にヒトラーそっくりな男が越してきたことから起こる騒動を描いたドラマ。

1960年、南米コロンビア。ホロコーストで家族を失いながらも1人生き延びた男ポルスキーは、町はずれの一軒家で穏やかな日々を過ごしていた。そんな彼の隣家に、15年前に56歳で死んだはずのヒトラーに酷似したドイツ人ヘルツォークが引っ越してくる。ユダヤ人団体に隣人がヒトラーだと訴えるも信じてもらえず、自らの手で証拠をつかもうとするポルスキーだったが、いつしか互いの家を行き来するようになり、チェスを指したり肖像画を描いてもらったりと交流を深めていく。そんなある日、ポルスキーはヘルツォークがヒトラーだと確信する場面を目撃する。

隣人をヒトラーと疑うポルスキーをテレビドラマ「ロンドン警視庁犯罪ファイル」のデビッド・ヘイマン、ヒトラーだと疑われるヘルツォークを「スワンソング」のウド・キアが演じ、これが長編第2作となるレオン・プルドフスキー監督がメガホンをとった。

2022年製作/96分/G/イスラエル・ポーランド合作
原題または英題:My Neighbor Adolf
配給:STAR CHANNEL MOVIES
劇場公開日:2024年7月26日

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(C)2022 All rights resrved to 2-Team Productions (2004) Ltd and Film Produkcja

映画レビュー

4.0 ケシの実クッキーと黒い薔薇

2024年8月16日
iPhoneアプリから投稿

 ハートウォーミングコメディ…と思いきや。観終えてみると、ことのほか、ほろ苦い。しみじみと思い返したくなる、味わい深い物語だった。
 和やかなポーランドでの家族写真撮影から時は流れ、舞台は60年代、陽気なラテン音楽が流れるコロンビアへ。主人公・ポルスキーは一人、郊外でひっそりと暮らしている。彼の支えは、かつての我が家に咲いていた、黒い薔薇だけ。そんな静かな生活が、謎の隣人・ヘルツォークの登場で、突如かき乱されてしまう。
 彼はにっくきアイツに違いない!と確信するポルスキーの言動は、はたから見ると、隣人よりもよっぽど奇妙だ。ヒトラーの文献を読みあさり、部屋にカメラを据え付け、隣を監視し始める。何とか証拠を集めてユダヤ人支援団体に持ち込んでも軽くあしらわれ、過去にとらわれるなと自助グループへの参加を勧められてしまうのだ。
 空回りし、追い詰められたポルスキー。そんな彼に手を差し伸べたのは、皮肉にもヘルツォークだった。いやいやながらチェスの相手をし、言葉をかわすうちに、心ならずも距離を縮めていく。若者のように酔いつぶれたヘルツォークを介抱したり、恋バナに花を咲かせたり。やっぱりアイツだ!いやいや違う、疑うなんて…と、揺れ動くポルスキー。さらには、自分はアイツであってほしいのか、アイツだったらどうなのか、と新たな感情も生まれていく。そんな大混乱の末に明かされた秘密に、ポルスキーも私も、思わず息を飲み、言葉を失った。
 中盤で気になったのが、ヘルツォークがお茶とともにふるまう、手作り(!)のケシの実クッキー。一口食べたポルスキーは、こっそり何枚もつかんでがっつく。支援団体ではチョコクッキーを拒んだのに、なぜそこまで? 調べてみると、ポーランドでは、スパイス貿易を担ったユダヤ系民族の影響を受け、料理にさまざまなスパイスを使うらしい。ケシの実を使ったお菓子もポピュラーで、黒ケシのペーストを渦巻状に巻き込んだお菓子「マコヴィエツ」に似たペストリー「モーン・シュニッケン」は、ドイツでおなじみ。ポルスキーにとってもヘルツォークにとっても、黒ケシのお菓子は、懐かしい故郷の味だったに違いない。ヘルツォークが「黒い」薔薇にこだわる理由も、黒ケシと無縁ではないように思え、ラストで薔薇を贈った彼の想いに、心がじわっとした。
 戦争は、誰も幸せにしない。でも、そこから生まれる出会いは、時にきらめき、心に残る。殺戮や戦闘など残虐なシーンを一切入れずに、戦争を語った良作だ。

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共感した! 7件)
cma

4.0 小作ながらも二人の関係性の行方に引き込まれる

2024年7月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

本作では戦時中に起こった出来事がいっさい描かれない。すなわち、オープニングではまだ家族みんなが幸せだった戦前の時代が描かれ、それが開けると、そこは終戦から15年後の南米。その間に主人公の身を襲ったことについてはすぐに想像がつくが、あえて描かないことで彼のとてつもない悲しみが伝わってくるし、この「描かない」という点ではお隣さんも同じだ。辿ってきた人生は違えども、語らない過去を持つ点では共通している。かくも因縁の過去(?)を抱えた者どうし、またある意味では疑心暗鬼の募る「お隣さんミステリー」のセオリーを踏襲しつつ、さらに全く立場の異なる隣人どうしがいかにして関係性を構築していくべきかという現代的なテーマすら併せ持つ。これは想像していた以上に見応えと巧さを兼ね備えた作品だ。二人の名優を配し、嫌味なく、くどすぎず、点を描くことで全体を想像させる手法が優れている。ちょっとした展開の捻りも気に入った。

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牛津厚信

3.0 黒い薔薇の意味

2026年5月5日
PCから投稿

イスラエルとポーランドが作ったヒトラーの映画。
両国にとってヒトラーというアイコンには
どういう意味があるのか?
ユダヤ人にとってヒトラーへの思いは?
とか、深く考えなくても楽しく観られました。

でも面白かっただけに、
もう少しこうすれば…が多い惜しい映画でした。
脚本構成は両家と二人のシーンがほとんどなので、
ポイントは二つ。
・疑いはじめてからヒトラーと確信するまでの描写
・忌むべき相手から心通わす相手になるまでの描写
この主軸をもっと丁寧に描いてくれていれば
傑作になれたかもしれないのに…。

鑑賞後、「黒い薔薇の意味」を調べてみました。
すると「滅びぬ永遠の愛」と「死ぬまで憎む」という
相反する二つの意味がありました。
最初、バラはポルスキー側にありました。
亡き家族に対する永遠の愛を意味します。
ハルツォークはヒトラーではないか⁉
と疑い始めると、バラはハルツォーク側に移動します。
ポルスキーにはそれは”憎悪”であり、
ハルツォークは興味すらありません。
”犬が糞をする程度のモノ”です。
最後、二人が心を通わすとバラはポルスキー側に戻ります。
ポルスキーには”許し”であり、
ハルツォークには”新たな始まり”なのです。
そう考えると、イスラエルとポーランドが
この映画を作った意味が見え隠れします。

深く考えなくても楽しめる映画ですが、
深く考えるともっと興味深い映画。
でした。

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にゃろめ

3.0 あのクッキー食べてみたい

2024年9月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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共感した! 2件)
みき

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