「【一月毎に変わる縦構造の異様な建物の中で繰り広げられる食物ヒエラルキー。人間の悪性と善性と、如何に足掻こうとも運命には逆らえないというシニカルな内容を暗喩タップリに描いたSFシチュエーションホラー。】」プラットフォーム NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【一月毎に変わる縦構造の異様な建物の中で繰り広げられる食物ヒエラルキー。人間の悪性と善性と、如何に足掻こうとも運命には逆らえないというシニカルな内容を暗喩タップリに描いたSFシチュエーションホラー。】
■ある日、ゴレンは目が覚めると48階層にいた。
部屋の真ん中に穴があいた階層がはるか下まで伸びる塔のような建物の中、上の階層から
順に食事が“プラットフォーム”と呼ばれる巨大な台座に乗って運ばれてくる。
上からの残飯だが、食事はそれしかないない中、同階にいたトリマガシという初老の男に塔の構造やルールを教えて貰う。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・ゴレンは48階で目覚めるが、その後171階、33階、202階、6階と食物ヒエラルキーを経験する。
ゴレンがその中で教えられたルールが面白い。
1.中に持ち込めるモノは一つ。ゴレンはドン・キホーテの本を持ち込む。
2.最上階で”プラットフォーム”の上には豪華な料理が載せられるが、当然下の階に行くにつれ、料理は無残な状態になり、無くなって行く。
3.食物をプラットフォームから取り出して貯蔵しようとすると、階の温度が急速に上がり、耐えられない状態になる事。
4.建物には16歳以下は入れない事。
・ゴレンは、それを教えられ、且つ自身で経験し理解していく。
・各階層で出会った人物も、トリマガシのように下層に行った際にはゴレンを縛り、その肉を喰らおうとするもの、6階で出会ったバハラトは持ち込んだロープで更に上を目指そうとするが5階の悪意ある男女により、縄を外されてしまう。
・ゴレンは、それを見てバハラトを説得し、食料を得られない下層の人達のために”プラットフォーム”上の食料を分割配布しようとするが・・。
<今作は、見る側に色々と推察させるような構造になっている。私は難しく考えずに素直に食料のヒエラルキーの中、人間の悪性と善性を描いた作品であり、如何に足掻こうとも運命には逆らえないというシニカルな映画ではないかと思った。
何にしろ、考えさせられる点では面白かったが、今一つ完全に納得できる回答には至らなかったし、何よりも映像がグロテスクで、且つ人間性否定のトーンに立った作品ではないかなと思ってしまったので、評点を3.5にした次第である。>