夏時間
劇場公開日:2021年2月27日
解説
本作が初長編となる韓国のユン・ダンビ監督が10代少女の視点から家族や友人との関係を描き、第24回釜山国際映画祭で4部門を受賞した作品。10代の少女オクジュと弟ドンジュは、父親が事業に失敗したため、大きな庭のある祖父の家に引っ越して来る。しかし、そこに母親の姿はなかった。弟はすぐに新しい環境に馴染むが、オクジュはどこか居心地の悪さを感じる。さらに離婚寸前の叔母までやって来て、ひとつ屋根の下で3世代が暮らすことに。それはオクジュにとって、自分と家族との在り方を初めて意識するひと夏の始まりだった。
2019年製作/105分/韓国
原題:Moving On
配給:パンドラ
スタッフ・キャスト
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2021年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
90年生まれのユン・ダンビ監督の長編デビュー作だが、とても心地よい時間と空間の作れる優秀な監督だと思った。少年と少女の姉弟と父が、夏の間、祖父の家に居候することになる。頑固な祖父とそりの合わない思春期の姉は恋人がいるが、なかなか会えない。さらに家に叔母も転がり込んできて、奇妙な家族生活が始まる。居心地は決して良くはないが、絶対にここが自分の居場所ではないと言い切れるほどに嫌なわけでもないという、奇妙な宙ぶらりんな感覚が全編に溢れている。この気持ちはなんと名前をつけたらいいだろうと戸惑う感情が描かれているのが本作の素晴らしい点だと思う。
特別なことが起きるわけではないが、なぜか匂いとともにずっと忘れない記憶となるような、そんな特別な雰囲気がある。古い家屋の匂い、庭の菜園の匂い、アスファルトの匂い、夏の汗の匂いなどなど、匂いが見える映画だった。
主義主張よりも生活の実態を細かく描く作品は好感が持てる。人の基本はやっぱり生活だ。
2021年10月21日
iPhoneアプリから投稿
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実家っていいなぁ。実家があるから、皆集まってくる。そう思って観ていたが、観終わると、おじいさんがいたから実家なのだと再認する。皆、意識はしていないが、おじいさんがいたから集まってきたのだ。主人を失った実家は、もう実家ではなくなった。その寂しさは、おじいさんが死んだ悲しみを、倍増させる。最後のオクジュの大号泣には、そんな思いが感じられた。
作品全体の様子が、どこか小津安二郎の作風を感じさせる。随所に現れるローアングルが、深みを醸しだす。この作品では、テーブル・椅子の食事風景がなく、全てちゃぶ台という所も、そう思わせる所以だろう。ラストの、一人号泣するオクジュのシーンで終わる余韻も小津風だった。何でも贔屓目に見てしまう。
2021年8月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
実在の人物ならまだしも、架空家族のフィクションな日常を淡々と大したオチも無く終わられ「???」な感じ…
2021年7月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
どこかにいそうなちょっとダメな父親と叔母、どこにでもいそうな弟、老いてコミュニケーションが取りずらい祖父、特に何があるわけではないがどこかでありそうな日常を繊細な感性を持った思春期の少女目線で描いている。みんな家族はいい人なんだが、みんな少しずつずれているところがあり、少女はそれが少し気になる。役者の演技やロケーションなど、世界観は完成されたものがあり、その世界観を楽しむための映画。