「【少女とホワイトライオンの”友情”を通し、南アフリカの現実を映し出す感動ドラマ。娯楽のためだけに動物を狩る“トロフィー・ハンティング”が南アフリカの経済を支えている事実にもメスを入れた作品。】」ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【少女とホワイトライオンの”友情”を通し、南アフリカの現実を映し出す感動ドラマ。娯楽のためだけに動物を狩る“トロフィー・ハンティング”が南アフリカの経済を支えている事実にもメスを入れた作品。】
ー ライオンファーム経営のために家族で南アフリカに移ったミア。
慣れない生活のなか、ファームで生まれたホワイトライオンのチャーリーがミアの心を癒やしていく。
3年の月日が流れたある日、ミアは父親が”缶詰狩り””トロフィーハンティング”の業者、ダークにライオンを売り渡している事実を知る。ー
◆感想
・手元のフライヤーを見ると”3年以上かけてCGなしで撮影された・・”とある。
ジル・ド・メストル監督や制作陣、俳優陣の頑張りに、敬意を表する。
- 以前、リチャード・リンクレイター監督の「6歳のボクが大人になるまで」を鑑賞した際に、”長い期間を掛けて映画を撮影する大変さ”を述べたコメントを読んだ事があるので・・。3年の間に、誰かが欠けても、映画製作は台無しになってしまうのであるから。-
・で、よく見るとホワイトライオンのチャーリーは、ドンドン大きくなるし、ミアも、兄のミックも確かに大きくなっている。
- だが、外見だけでなく、今作ではロンドンから南アフリカに移住してきたミアが最初は、慣れずに反抗的な態度を取っていた姿から、クリスマスに生まれたチャーリーによって癒され、心も大人になって行く様が、キチンと描かれているのである。-
・前半は、ホワイトライオンのチャーリーの誕生により、ジョンとアリス(メラニー・ロラン)の夫婦の家族の結束が強くなっていく様が描かれる。
- この作品の構成が巧いのは、家族が南アフリカに移住してきた理由が、前半曖昧に描かれているが、最後半にその哀しき理由がアリスにより明かされる所である。
それにより、劇中ミックが屡、パニック発作になる理由も、観る側は理解するのである。-
・後半は、3歳になり大人の背丈ほどもあるホワイトライオンのチャーリーと、ミアとの変わらぬ”友情”と、南アフリカが飼育されたライオンの”缶詰狩り””トロフィーハンティング”を観光業の目玉として、経済に寄与している事実が並行して描かれる。
・チャーリーを殺されまいと、ティムババティ保護区に必死に連れて行こうとする、ミアの姿。
それを追う、”缶詰狩り””トロフィーハンティング”の業者、ダークと、妻アリスにも内緒でダークにライオンを売っていた父、ジョン。
アリスと、ミックも後を追う。
スリリングなシーンが続く。
ショッピングモールをチャーリーを連れ歩くミアの姿。
ー あのシーンは、どの様に撮影したのだろう・・。ー
・ティムババティ保護区直前まで来た時に、父、ジョンが身体を張ってチャーリーを撃たせまいと、立ちはだかる姿。
そして、ティムババティ保護区に足を踏み入れたチャーリーの姿。
迎えるシャンガーン人の長老らしき人物。
<エンドで流れる、子供が出来たチャーリーの家族と、再び家族の結束を取り戻したミアの家族の姿にホットする・・。
良かったなあ・・、と思いきや、ライオンの激しい減少の状況が、テロップで流される。
本当に20年後には、ライオンは動物園でしか、観れなくなるのであろうか・・。
今作は、感動ドラマであるとともに、観る側に重い問題を投げかけてくるのである。>