BLUE ブルーのレビュー・感想・評価
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タイトルマッチ以外、赤も青も同じ挑戦者
ブルーコーナーに立つ人々の物語
昨今の日本ボクシング映画と言えば「ああ荒野」「アンダードッグ」がありますね。
どちらも前後編の2部構成でとても見ごたえのあるの作品でした。
本作は一本分の尺しかありませんが、上記の作品とどの様に勝負してくれるのか興味がありました。
吉田恵輔監督は「ヒメアノ~ル」「犬猿」は好きなのですが「愛しのアイリーン」が面白くなかったので今作には期待半分、不安半分。
面白かったけれど物足りないそんな作品でした。
鑑賞後に思ったのはボリューム不足。「ああ荒野」「アンダードッグ」ほどにドラマパートに時間を割けないのはわかりますが、それでも物足りない感が否めない。
松山、東出、柄本の三人がそれぞれ生活、ボクシング、2つのパーとがありそれを1時間40分で描くには尺が足りないとしか言いようがない。
描きたい事はわかるし最低限の出来事と感情の機微はあったけれど、それがラストで昇華された所で熱量と積み重ねが足りないので感動までにいたらない。
作品のバランスや流れなど全体的に面白かったけれど、2時間くらいにして、もう少しそれぞれのエピソードが見たかった、そうすれば愛着や共感が生まれ感動できたかもしれない。
あと残念なのは予告編がほぼすべてを物語っていて、見せ場がほとんど予告で見てしまっているのであまり驚きがない。予告編での場面を鑑賞中は消化していくだけっだった。
3人の中では松山ケンイチが一番体ができてなかったでね、そんな体じゃ勝てる試合も勝てないですよ。まあ勝てない男役なのでいいのかも知らないけど。
柄本時生はよかったですね、うっすらですが筋肉あった、腕も案外太い。いっつもヒョロガリ役ばかりなので彼の意義な一面が見れてよかったです。
東出昌大はいつも通り、スタイルいいし天才感ありありでしたね。
個人的に今作で一番よかったのは木村文乃です、いつもよりメイクが薄めで近所の美人さん風でいい感じ。
東出を心配しながらも支えるいいパートナー役でした。おバカなギャル役がおおい印象でしたがこんな地味で芯の有る姿が見れたのは新鮮でした。
3人の男の物語ではありますが、紅一点の木村佳乃はこの作品に清涼感というか癒し?をもたらしました。
例えるなら焼肉屋のウーロン茶。肉ばかりで口の中ギトギトでもウーロン茶飲めばすっきり、また肉が美味しく食べれる!
変な例えですみません。
演出的によかったと思ったのは
自転車で二人が並走するシーン
軽くぶつかっていちゃツイてるのかと思いきや・・・いい伏線でしたね。
柄本時生がどんどん成長していき、ボクシングが生活の中心になっていく過程。
ダメダメ野郎だし見栄っ張り、ボクシングを始めた理由も不順なのにどんどん成長していき、生き生きしてくる姿はかっこよかった。
あとは終わり方が個人的にかなり好きです。
当然の事ですが、我々には明日が有る。劇中の彼等にも我々と同じような明日が待っている。
登場人物たちと自分が同じなんだと気づかせるラストは感動よりも清々しい気持ちにさせてくれました。
日常の合間にも体が動く、動きが体に染みついている。
ボクシングを接点に交差した彼らの人生はそれぞれの道へ別々に進んでいく。
しかし、それぞれに闘志を忘れず、挑戦を続ける。
私も挑戦し続けられるようになりたいです、今は逃げてる場面が多々あるので・・・
ちょっと面白かったところ、赤髪の男の両親がまさかの「ミセスノイジー」の夫婦でしたね、いや~まさかの再開に思わずニヤリとしてしまった。
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劇中セリフより
「本当に強いよ、あの人」
自分が成りたい目標にとどかないと知っても、腐らずに同じ目標を目指す誰かの背中を押せる人。
他人の為に動ける人になり、真の強さを手に入れたいですね。
諦めの悪い男達
この作品にオチは…
私達はスポーツ、ボクシングなどを題材にした作品に、結果勝利することが大前提で観てしまっていますが、この作品はそうじゃないんです。
ここに出てくる男達は本当にボクシングが好きでしょうがない奴ら。
途中までは病を患っている友人のために、ボクシングの試合で初めて勝つのを見せてあげる感動作かと思ったりしたんだけど、全然そうじゃない。
ただ、ボクシングが好きなんです。本当にそれだけ。実際に監督がボクシングをやってきて、ジムにいた人をモデルにしたそうなんだけど、まぁ勝てない笑
だけど、鍛え上げた肉体で必死に戦ってる姿は、御三方とも見応えありました。
そういう奴らの話で、若干の男女の三角関係もありますが、そこは話広げてこないので、オチのないボクシング映画といいましょうか。
努力、才能、運命
タイトルなし
単なるボクシング映画ではない。優しさと強さの物語
一生「青(ブルー)コーナー」=挑戦者でありながら、ボクシングに打ち込み続けた男の生き様に胸を熱くする。
ボクシングが中心ではあるが、試合にも恋にも勝てない男の内に秘めた深い情、勝ち続ける男の止められない熱い思い、強くなろうとする男の変わっていく心、大切な人を想う女の愛情、誰もが誰かのために生きる優しさと強さが滲み出る作品。
どこか淡々と進むのに、どんどん惹き込まれていく展開。
BGMを敢えてなくしていることがボディーブローのように効いてくる。脳に損傷を抱えた小川が朦朧としていく視覚効果も相まって、いつその時が来てしまうのかドキドキが止まらない。
ただ最後まで引っ張った結末の余韻に浸れるか、もの足りなさを感じるかは賛否両論分かれるところだろう。
ボクシングシーンは迫力があるというより生々しく手に汗握る。スパーリングや試合のシーンの割合が多いため、そのリアリティさは重要な部分。
無音を効果的に使い、手ブレの撮影技法を巧みに操るのは『ヒメアノ〜ル』の吉田恵輔監督らしい演出だ。
ひと握りになれなかった者たちのドラマ
ボクシングジムに流れる青春の汗、挫折と努力を知っている人への讃歌
想像以上に大人向けというか、挫折と努力を知っている人こそ観て欲しい作品。負け続けても戦う男が、何故に挑み続けるのか…爽やかに汗が飛び散る、これまでにないようなボクシング映画だった。この作品を観た後に、監督からの話も聞けたので、そこを含めながら考えていく。
はじめに、瓜田という人間について。監督は30年もボクシングを続けており、ジムも転々としていたらしいのだが、モデルがいたそう。前座で戦っては負けて、祝勝会でニコニコしているような人。実はそういう人は、努力と挫折を強いのではないか。そういうところから始まっている。実際、瓜田が活躍するようなシーンは少ない。リングで戦う仲間に声を掛け続ける方が上手く、自分が戦えばすぐに負ける。よって、主人公と呼んでいいのかと思うくらい。後輩の小川や樽崎の方が道を走っているので、スポットがあまり当たってなかったように思える。彼自身の心情を内々に描きすぎたのか、監督の意図を聞いて納得するところも多かった。そこが少し残念。
次に、ボクシングシーンについて。これがとにかくスゴい。監督自身が殺陣を指導しているので、本物の試合を観ているかの臨場感とテンポに圧倒される。それだけではない。監督が「ボクシングジム版『トキワ荘の青春』」を目指したと言うように、ジムの魅せる表情が面白い。瓜田がトレーナーとして入る昼のムードと、選手が精を出す夜のムードではまるで違う。そこで生まれるドラマは、決してリングの上だけでは生まれない重厚感を持っている。その過程がリングにのぼる時までに繋がっているため、応援に熱が入る。
最後に、キャストについて。松山ケンイチの真っ直ぐで勝てない役どころは、背中が最もカッコいい。表にしないからこそ、秘めた何かと常に戦い続け、ボクシングに誇りを持っている。ただ、それ以上にカッコいいのが、柄本時生演じる樽崎。気になる子を振り向かせたい一心で始めたボクシングだが、次第に覚悟を持って成長していく姿はグッとくる。同時に、瓜田が戦い続けた意味をもたらすので、なかなかカッコいい。若干食っている気すらする。それくらい、スポットも当たっていたように思う。
ボクシング映画に吹く青い風は、諦めの悪い人や挫折を知っている人への人生讃歌となる。故に、私の人生経験はまだまだ。大人になっても、いい年してもずっと続けられる姿は、誰が言おうと無敵なのだ。そして戦い続ければいい。自分自身に。
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