劇場公開日 2021年4月2日

  • 予告編を見る

「ある種の幸福論」ホムンクルス Marsmanさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ある種の幸福論

2021年6月5日
スマートフォンから投稿

悲しい

怖い

知的

作品中、この中で誰が幸せになれるかなーという話。漫画と違うラストが良い。映画オリジナルのラストになったのも、著者の監修なら良いんじゃないか。漫画は気持ち悪くて途中で読むのをやめた。読み返し、ラストも気持ち悪かった。
基本は「生きた現実感の無さ」が作品全体に通底していて、たぶんホムンクルスというトラウマを見てもらうことにこだわる人は、イコール"幸福になれない人"を指している。それに対して、ホムンクルスの幻視(ヨーロッパの敬虔な宗教者の間では神の幻視者は評価されるが)を何とも思わない人がいる。つまり、"幸福になれる人"だ。作品中で口に出して言われてないことだが、リアル世界で理解するにはそう解釈するものだと思った。
漫画では他人のホムンクルスを見ることイコールその人をトラウマから救うこと、のように言わんとしていたが、そんなこと無いって。
ペンフィールドのホムンクルス理論は、少し触れられているが、明らかに絵的に話が先行していて、本来の理論の意味を誤解させるから、著者の悪いところだと思う。
それにストーリーとして、7日間でこんなに幻視に振り回されたら、そりゃ発狂自殺する人も出てくるわ。最後に伊藤は屋上に向かったが、それを意味してる。
実際にこんなことはあり得ないと思う。小説としてのフィクションやSFということじゃなくて、無いよ。いくら何でも。ま、希望を描いてる映画などではない。幸福って、性格の問題なのかな‥‥。

Marsman