「日本のNetflix製作ではみんな面白い映画になれなかった」ボクたちはみんな大人になれなかった 東鳩さんの映画レビュー(感想・評価)
日本のNetflix製作ではみんな面白い映画になれなかった
今泉力哉とかその辺の映画監督が作ってそうな雰囲気青春恋愛邦画をNetflixが10倍の金出して作ったような映画です
まったく中身がありません
カラオケで流れてるくらいがちょうどいいMVの豪華版と言ってもいいくらいです
現実にちょっと不満があるというかマンネリを感じてる中年が、あの時こうしてたらどんな人生に成ってたのかな?ぐらいの気持ちで過去を懐かしんで、恋人や友人との回想がいっぱい入ってきますが、主人公の未来には何の変化もない、作り手のメッセージもない、ただただ昔を懐かしむだけで終わる話です
ドラマがないし、カタルシスがないし、未来に進展がないんです
オシャレでレトロな雰囲気だけがあるという……
Netflixにはダメな邦画やドラマを駆逐してもらいたいぐらいなんですが、逆に何故にダメ邦画の集大成みたいな雰囲気青春恋愛映画を作ったんでしょうか?
世界の人には燃え殻さん原作なんて何も通じないし、日本人の邦画マニアだけが見るような映画をわざわざ作る必要はどこにも無いと思うんですが……
金かけてるけど全裸監督のロケ場所や美術の使い回しみたいな印象も受けますし、ラストはやっぱり渋谷のスクランブル交差点とか、なんか呆れてしまいました
日本のNetflixにはイカゲームを超えるような、世界に通じるドラマを作ってもらいたいですね
そのためには日本の小さい市場のしょうもないシネフィルの好みなんて思いきり無視してもらいたいです
もちろん燃え殻さんの原作は面白いです
ただあれは小説というメディアだから成立していたというか、地の文を読んでて面白い部類の小説でしたから、映像化にはとても不向きです
そのまま再現するならナレーションやモノローグだらけになるし、それを省けば今作のような雰囲気だけで何がしたいかよく分からないシーンの羅列になります
それを脚本監督が無策で、そのまま映像化しようとするから、今回みたいにただの雰囲気青春恋愛映画になってしまう
回想のダイジェストに現代をちょいちょい挟んだだけみたいなストーリーになってしまうんですよね
面白い原作なのに非常にもったいない……
まぁ、平成初期の風俗とか、ラフォーレとか渋谷の街並みとかを再現する予算があるのはNetflixだけだから、ここ以外では映画化不可能だったんでしょうけども、なんかすっきりしませんね
あと気になったことは伊藤沙莉の無駄遣いでしょうか
全裸監督やタイトル拒絶のときも思いましたが、伊藤沙莉は仕事選びが下手すぎます
出演作品に駄作が多すぎる
それが気になりました
良い演技が出来る役者は絶対に台本の善し悪しが分かっているはずだから、たぶんNetflixとか監督とか人の繋がりを優先してやむなく出てるんでしょうけど……
良い女優さんの良い時期は意外に短いですから、彼女のキャリアが中途半端になりそうで不安です