藁にもすがる獣たちのレビュー・感想・評価
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時系列をいじった語り口が巧い。全員崖っぷちな群像サスペンス
韓国映画をある程度観ていれば、この俳優よく見る、この女優も知ってるといった具合にかなりの豪華キャストに加え、バイオレンス描写などの見どころも多く、予算的にそこそこの規模を感じさせる作品を、これが長編デビューとなる新人監督に任せてしまうかの国の製作環境を羨ましく思う日本の映画人も多いのでは。
それぞれ事情は異なるが、いずれも崖っぷちな状況で「大金をつかんで今のどん底から抜け出したい」と切望する男2人女2人。その一人、食堂経営に失敗してバイト暮らしのジュンマンが序盤、職場のロッカーの中に残されていた大金入りのバッグを見つける。このバッグは誰が残した? その人物はどうやってこの大金を手に入れた?
本作は主要な4人の個々のエピソードを並行して見せる群像劇のスタイルを採るが、時系列をいじることによって先述のような謎を少しずつ観客に明かしていく仕掛けになっている。もちろん4人は途中から交錯し、さらに一癖も二癖もありそうな連中が関わってくるが、人物相関を分かりやすくすっきりと見せる手腕もなかなかに鮮やかだ。
曽根圭介が2011年に発表した小説を、脚本も兼ねたキム・ヨンフン監督が舞台を韓国社会に置き換えて一級の韓流ノワールに仕立てた。韓国映画界の機動力に感嘆する一方で、秀逸なストーリーを日本で映画化できなかったことがもったいない気もする。
韓国映画の腹の括り方に舌を巻く
原作はなんと日本人作家・曽根圭介氏の同名犯罪小説である。過去にも日本のコミックが韓国で実写映画化されて、「オールド・ボーイ」(パク・チャヌク監督)という傑作を生みだしているが、この「藁にもすがる獣たち」が長編デビュー作とは思えないほど、脚本も手掛けたキム・ヨンフン監督が鋭いキレ味を見せる。欲望を剥き出しにした人々が大金を巡って激しくぶつかり合う姿を予測不能な展開で描き、ハイクオリティなクライムサスペンスに仕上げた。
そしてキャストが凄い。「シークレット・サンシャイン」で第60回カンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞したチョン・ドヨンと、「私の頭の中の消しゴム」「アシュラ」のチョン・ウソンという実力派スター俳優の共演だけでも鳥肌ものなのに、加えて「スウィンダラーズ」のぺ・ソンウ、「生き残るための3つの取引」「哀しき獣」のチョン・マンシク、「MASTER マスター」「ベテラン」のチン・ギョン、「コンフィデンシャル 共助」のシン・ヒョンビン、「毒戦 BELIEVER」のチョン・ガラムと演技派、怪優たちが新しい才能のもとに集結し、確かな演技力でそれぞれ深い味わいをみせる。
大金を目の前にした時、人はいかに獣になり、それぞれの立場や境遇で人生を狂わせていくのか。物語は二転三転するが、前半に張られた伏線が次第に回収されていく展開にラストまで目が離せない。窮地に追い込まれ、藁にもすがりたい、欲望に駆られた獣たちの姿は時に醜く滑稽であり、しかしその報いを受ける様はあっけないほど残酷で、韓国映画の神髄が伺える。
崖っぷちに追い込まれた登場人物たちが、その崖っぷちから抜け出そうともがく物語
傑作短編集のような作品。小道具の使い方も絶妙。
プロットが素晴らしい。ルイヴィトンのバッグ(僕も昔同じ物を持っていた)とかラッキーストライクとかの小道具を効果的に使い、主人公と思われる3〜4人の人生が見事に繋がる(一部は既に繋がっていた)。このようなスタイル(短編集のようで全てが繋がる)の映画は何度も観ているが、トップクラスの出来ではないか?多分初めて見た女優だと思うのだが、Jeon To-yeonの演じる女社長の悪女っぷり)温泉でのすっぴんのシーンではとても同一人物とは思えなかった)が素晴らしい。オチの所は、万が一日本でリメイクしたら違ったものになっただろう。
油断で映画が進行する、終始、歯がゆい
気になっていた映画。
アマプラであと24時間と表示されていたので
慌てて、ひとりTWENTY FOURスタート。
24時間以内に見られるのか!
100分強の物語は、いくつかのチャプターで分けられており
時系列もバラバラとしながら、最後につながる
「マグノリア」フォーム。
この伏線の回収の仕方には、もはやお上手な落語のようなもんで
ハイ!名人芸! といった表現方法なんですよね。
おもしろい、よくできている、それなりにオチも理解できる。
どんずまりの、どんつきの、どーにもならない登場人物に
どよーんとなってしまうのは、僕だけかな?
フリーアンサーの記述式解答なんだけど、
正解の流れが決まっている、そんな一方通行な映画でした。
面白いけど、この映画の枠外にはみ出るものが
世の中にはもっとあると思うので、
なんとなく、獣といいながらも、
常識人たちが集った映画だったように思う。
この映画の軸は登場人物の「油断」。
油断する人と油断させる人
このペアで物語が進行していくと、
だんだん飽きてくる。
僕の中では「油断をつく」ってのは、映画に1回
出てきていいかどうかぐらいの切り札感がある。
やたらめったらと、油断で物語が進行する構成に
間抜けさがぬぐえず、どこにも感情移入ができなくなるという構造。
やっぱり、きちんと映画の必然性をもって、物語が進行しないと
それはもう、作り手の思うがままじゃん!となるわけだよ。
タイトル通り
人間にっちもさっちも行かなくなると、本当に獣化するんだなと。
主要なメンバーは三人。
借金まみれの社長ヨンヒ。
ヨンヒの失踪で借金を肩代わりするはめになった、その恋人テヨン。
事業に失敗し、ホテルの銭湯でバイトするジュマン。
10億ウォンもの大金が入ったボストンバッグ。これはいったい誰のもの?どこから来て、誰がなんのために用意したのか?
最後に手にするのは一体だぁれ?
前半は、それぞれの話。
テヨンはヨンヒのせいで、ヤクザから借金返済を迫られる日々。なんとも情けない男をイケメンのチョン・ウソンさんが演じます。
ラッキーストライクの話なんて、最初はヘェーそんなお守り的な話が彼にはあるのかとおもいきや、最後にはやっぱりただのタバコはタバコ(笑)と、虚しく思わされたりwテヨンになんじゃかんじゃと頼まれては、大変な目に合わされるデメキンもいい味を出してます。
メインの三人以外の役者が、それぞれに味のある俳優さんたちで、その中でもやはり認知症を患うジュマンの母を演じるユン・ヨジョンさんや、ジュマンの妻など、みなさんさすがの存在感。
韓国映画らしい、容赦ない暴力シーンもおもわずオェッてなりそうやくらいエグいですが、これぞ韓国。
皆さんおっしゃるとおり、点と点が後半には繋がっていくところが、そしてラストにはこの人が!っとなる、スッキリ終わらせてくれるので見応えあり、爽快感あり。
飽きさせ無い構成も見事
大金を手にするとロクなことが…
作り込まれた脚本
お金はまわるよどごまでも
曽根圭介節
とってとられて
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