日本独立のレビュー・感想・評価
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(ある意味で)見る前に予備知識が必要かな…。
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★内容的にレビューが荒れやすい映画です。
どうしても映画の性質上、個人の思想が入り込むことは否定できませんが、それをここでどうこうするつもりはないことは「強く」断っておきます。
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今年61本目(12月20日)。25日の週も良い映画が多いですし今年は最後の最後まで楽しめそうですね(コロナには気を付ける必要がありますが)。
なお、私は理系卒で教員免許を持っているため、日本国憲法の単位を履修済みです。
さて、こちら。
多くの方が書かれている通り、現在の日本国憲法の成り立ちを描く内容です。多少は誇張が入っているのだとは思いますが、9割以上は史実通りになっているのでしょう。
戦後の日本でGHQの指示のもと、日本国憲法ができていきますが、GHQがこだわったのは、今の憲法でいえば1章(天皇/1条~8条)、2章(戦争放棄/9条)が大半であったことはよく知られています。これは特にGHQが強硬的だったため、最終的には日本側が折れた形で大半飲んだわけですが、中には基本的人権(10~40条)や憲法改正(86条)についてもGHQは多少なりとも介入しています。
特に後者(憲法改正条項)については結局今の形になったわけですが(衆議院参議院の2/3の賛成+国民投票の過半数の同意)、日本国憲法は質素な成り立ちになっており、だからこそ(憲法と比したとき)序列として下位になる法律制定などで補っている部分や、解釈で補っている部分(例えば、時々問題となる私学助成は89条に形式的に違反するように見えるが、「公の支配」を広くとり、公費濫用防止説に立つことで事実上広くとるというもの、などが最たる代表例)があり、だからこそこれまで(2020年まで)改正もなされておらず、その点は「あえて複雑怪奇にして何度も改正を要するような憲法にするより、質素な憲法にして解釈次第で柔軟に解釈していけばよいのでは」という考え方も成り立ちうるところです。
※ 当時の日本や、そもそもGHQもそれを想定していたのかは確固たる証拠がなく不明。GHQは急がせていたし日本はGHQの言うことを聞かざるを得なかったので、「結果として」簡素な憲法になった、という考え方も成り立ちえます。そもそも、戦後の混乱期で焼け野原だというのに民法典なみの憲法を作る話になったら、それこそ何十年かかっても終わらないのはどうみても明らか。
内容的に非常にセンシティブな映画で、一歩間違えると炎上しかねない内容ではありますが(どのような立場によったとしても)、できるだけ炎上しないように史実を描写しきることで炎上しにくくし、かつ今の日本国憲法の成り立ち(厳密には、明治憲法の改正にあたる)についてまとめた点は良かったかな…と思います。
ただ惜しむべきは公開時期で、内容が内容だけに、憲法記念日などに合わせればよりよかったのかもしれませんが、そもそも今年はコロナ問題がありますし、来年に回すにしても内容がセンシティブで、あえて憲法記念日にあてると、これまた別の意味で「なんでその日を選んだの?」ということになりかねず、そこはまぁもう本当に難しいですね…(12月のこの末にひっそりと公開された、という点がどうしても否めない)。
減点対象は下記0.2のみですが、大きな傷ではないので5.0にしてあります。
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減点0.2 作内で何度か「行政(権)」という語が出ますが、「行政」という語は実は明確な定義が存在しにくい語句です(中学校の公民でもぼかして書いてあったりする)。実際、日本国憲法では「行政権は,内閣に属する」(65条)とするような程度であり、「行政とは何ぞや」ということについては明確に書いていなかったりします。
現在では行政(権)とは、「国家作用から司法と立法権を除いたすべてのもの」という引き算定義方式(控除説)でとらえられることが多く、ある意味「定義をあきらめた」状態に近いのです(逆に、積極的に行政とは何か、を定義しようとした学者も(戦後)いましたが(積極説/田中二郎説。行政法の有名な学者)、今ではこの「控除説」が一般的理解です)。
となると、日本国憲法の制定にあたってもこのように出てくる「行政」とは何ぞやという定義が制定当時、GHQや国内で議論されていたか否かという点は当然気になるところで、そのあたりの説明がまったくなかったのがちょっと残念に思いました。
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いろいろ意見はあると思いますが。
色々意見はあるだろう。押しつけ憲法論。戦力の不保持が行き過ぎという意見は確かに正論です。前の安部さんじゃ無いけどそろそろ多少の軌道修正が必要と思う人がいてもおかしくはない。
ただ、映画にも出ていたように当時の状況考えてください。大見栄切って喧嘩売っといて、壊滅的かつぶざまな大敗北。正直終戦の詔勅なくとも敗戦は必至だった。そう言う時に焦土と化した日本は意見言う立場にないでしょう。敗戦とはそう言うこと。属国にされても何一つ文句言う立場にない。実際、属国だし。
色々スクリーン上、憲法調査会?の大臣松本烝治や吉田茂、そして「ミルクボーイ」白洲次郎が少しでも自主性を持たせた憲法制定に折衝努力するが、当時の状況ではアメリカ製の憲法も致し方ないだろう。徹夜で作った憲法みたいだが、おかげで極東委員会でのソ連の言いがかり、そして北海道占領更に南への進出を阻止できた点は大きい。ソ連占領なんて地獄の悪夢だよ。
ただプログラムパンフレットもないこの映画、同じような背景の場面の連続、海戦の描写の貧弱さ等で少し寝てしまいました。それにしても吉田茂役の小林薫太ったし、老けてない?
檻に入れられた12歳
終戦後の憲法改正に際する日米の議論と、暗躍した吉田茂と白洲次郎の話。
第2次世界大戦直後のGHQ占領下の日本を舞台に、憲法問題調査委員会、憲法研究会、GHQによる憲法の草案や議論と、駆け引きの様子をみせて行く。
極東委員会の介入による天皇制廃止を嫌い急ぐGHQと、自国草案を曲げない日本政府、占領下からの脱却=独立を最優先に考える吉田茂の議論は、ある種の精神論のぶつかり合いにもみえるし、細かい事実は知らないけれど、何かちょっとアメリカに忖度したつくりにもみえるんだけど…。
知識に乏しく、今の憲法在りきで、それが常識な自分には理解出来ないところも多いながら、並行して吉田満、及び、著書「戦艦大和ノ最期」の話と絡めながらみせることで、当時の関係者、主に白洲次郎の口惜しさが伝わってきたのは判りやすくて良かった。
結果的にはマッカーサーのおかげでソ連や中国による日本の分割統治を防げたのかもしれません
憲法の成り立ちや歴史全般について、過去の少ない読書経験しかなく、ましてや資料を当たっての研究などしたこともない私には、何を語るのも難しい映画です。
ただ、これまでの多くの事実に照らせば、アメリカによる占領政策は、今思い付くだけでも、戦後の日本のあり方に多大な影響を及ぼしています。
例えば…、
①日本の政治は基本的にはアメリカの戦略や意向を最優先してきたこと(これを従属というのか、選択的方針というのか、よく分かりません)
②沖縄をはじめ、一定の地域に偏った負担(基地だけでなく米兵によるレイプなどの犯罪も含めて)と壁(日米地位協定など)があること
③第二次大戦後、戦争や紛争による自衛隊員の戦死者はたぶんゼロ(国際貢献のために海外に派遣されて、現地での病気や帰国後のPTSD等によるものはあるかもしれません)…これは9条のおかげだと思います。
アメリカにはどう足掻いても敵わない、という前提が確固として存在するのであれば、
・強(したた)かに服従したふりをしながら生き残りを図りつつ(生き残るためには他国から好戦的に見られないようにしなくてはいけません)、独立国家としての誇りを持てるようなビジョンや政策で一貫する。
・そのために、なによりも自由を尊重し、他者に寛容で、自立心を養う、そんな教育を重視する。
絵空事のようですが、そういう青臭いことを堂々と主張する政治家ってなかなかいないものですね。
『鬼滅の刃』の煉獄さんの言葉が刺さるのは、堂々とした青臭さが清々しく届くからだと思います。
最近のニュースで見たドイツのメルケル首相の国会での言葉。
『ホットワインを楽しむことの代償に590人の命が奪われるようなことは、私には耐えられない(だから規制を行なう)』
青臭さとは違いますが、発せられていた真摯な思いは同じように胸に刺さってきました。
映画でのマッカーサーの言葉(成熟度について、ドイツも含めたアングロサクソンは45歳だが、日本人は12歳だと言い放ちました)にカチンときた方もおられると思いますが、少なくとも、今のドイツと日本の政治リーダーについての成熟度にはかなりの差異を感じないわけにはいかないですね。
参ったな。
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