声優夫婦の甘くない生活

劇場公開日:

声優夫婦の甘くない生活

解説

ソ連からイスラエルに移民してきたスター声優夫婦の第2の人生を描いたイスラエル製ヒューマンドラマ。1990年、ソ連からイスラエルへ移民したヴィクトルとラヤ。2人はソ連に届くハリウッドやヨーロッパ映画の吹き替えで活躍した声優夫婦だった。第2の人生を謳歌するつもりで移民をしたものの、イスラエルでは声優の需要がないという現実に直面してしまう。生活のためにラヤは夫に内緒でテレフォンセックスの仕事に就き、思わぬ才能を発揮し、一方のヴィクトルは、違法な海賊版レンタルビデオ店で再び声優の職を得る。なんとか生活を軌道に乗せはじめた2人だったが、妻の秘密が発覚したことにより、お互いが長年気付かないふりをしてきた夫婦の本当の声が噴出し始める。旧ソ連圏から移民したエフゲニー・ルーマン監督が自身の体験をもとに、海を渡ったロシア系ユダヤ人のリアルな姿を描き出す。

2019年製作/88分/G/イスラエル
原題または英題:Golden Voices
配給:ロングライド
劇場公開日:2020年12月18日

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映画レビュー

4.0声優は若い役も演じる

2020年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

俳優は大抵自分の年齢相応の役柄を演じる事が多い。子役は子供を演じるし、20代の若手俳優はその年齢に見合った役を演じ、年をとれば老人の役をやる。しかし、俳優の中でも声優だけは少し事情が異なる。40代や50代のベテランが子供の演じることだってある。本作はその声優特有の事情を見事に活用している。
イスラエルに移民をしてきたスター声優だった夫婦は仕事にありつけない。妻はそこでテレフォンセックスのバイトにありつく。初老といっていい年齢の彼女だが、さすがプロの声優である、22歳の女を演じきってみせる。夫の方は、海賊版ビデオの吹替という裏家業に手を出す。22歳の女を演じることで心まで若返っているように見える妻が印象的だ。演じるというのは、装うということではないのだ。
クライマックスに訪れるイスラエルの現実が、まるで映画のようだ。ガスマスクが配布される日常の非日常感。事実は小説より奇なりだ。フェリーニ作品をはじめとして名作への愛の表明も見逃せない。

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杉本穂高

4.0一見淡泊だが噛むほどに滋味豊かなシニア夫婦の再出発ドラマ

2020年12月18日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

幸せ

ソ連崩壊期の90年代以降、大勢のユダヤ人がイスラエルに移住し人口の2割を占めたという史実に驚く。ロシア語とヘブライ語は当然別の言語で、国民の5人に1人が一時的とはいえ言葉がろくに通じない移民になった計算だ。監督と共同脚本の2人の親世代の体験に基づいた物語だという。主人公夫婦の職業が声優ということもあり、言葉によるコミュニケーションが話の鍵であり、映画愛もたっぷり詰まっている。

インテリでも話せなければ真っ当な職に就けず、夫が得たのはチラシ貼りの仕事。外回りの先で見つけた海賊ビデオ店で、違法の吹き替えをすることに。妻はロシア移民男性相手のテレフォンセックスのオペレーターに。若いセクシーな女を演じ、相手によって巧みに声色を使い分けて客を魅了し、ロマンスの気配も…。ままならぬ再出発、積年の不満も爆発して危機を迎えるシニア夫婦だが、とぼけた笑いと穏やかなペーソスでしみじみと楽しませてくれる。

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高森 郁哉

3.5ヴィクトルとラヤ、二人それぞれの望み

2024年2月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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つとみ

4.5ソ連からイスラエルへ

2021年10月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

1990年、崩壊寸前のソ連からイスラエルに移住したユダヤ人老夫婦が主人公。
二人はソ連で声優をしていたが、そんな仕事はなかった。
妻は実力でテレホンセックスのバイトを始める。
夫はプライドが邪魔をしてなかなかいい仕事が見つからない。
この二人の飄々とした日常が、なんとも言えない空気を醸し出している。

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いやよセブン